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男女共同参画社会 家族解体を企てる「夫婦別姓」

思想新聞2000年10月15日号【主張】

 政府は昨年6月に施行された男女共同参画社会基本法を受けて、同法に基づく初の基本計画を年内中に策定する予定だが、その基本的な考え方についてさきほど男女共同参画審議会が答申を首相に提出した。この答申には夫婦別姓の導入案が含まれているなど、わが国の伝統を否定する内容が少なからず存在する。男女共同参画を大義名分に家庭崩壊を助長する考え方に我々は反対する。

共同参画を口実に家族の絆が崩れる

 首相の諮問機関「男女共同参画審議会」(会長・岩男寿美子武蔵工大教授)は9月26日、「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」と題する答申を森首相に提出した。
 これは男女共同参画社会の実現をめざして、国の施策を提言したもので、育児・介護を行う労働者が時間外労働の免除を請求できる制度や子供の看護のための休暇制度、さらに夫婦同氏制の見直し(つまり夫婦別姓の導入)、配偶者控除制度や企業の配偶者手当などの見直しを提言している。
 男女は同権であり、互いに人権が尊重されるべきであって、女性差別や蔑視、あるいは家庭内での「夫の暴力」があってはならないことは論を待たない。そのための施策については誰もが否定しないところである。

唯物思想が色濃く反映した男女共同参画論

 しかし、男女共同参画を口実に、「男らしさ」や「女らしさ」などの性差を全面否定したり家庭の絆を弱体化させる施策が、国の手によって強制されるような事態は断じて容認することができない。
 その第一は、答申が夫婦別姓の導入を求めていることである。答申は「夫婦同氏制の見直し」という表現をしているが、これは夫婦別姓の導入にほかならない。
 なぜ夫婦同姓は男女共同参画の弊害なのか、その理由を答申は何ら答えていないが、そこには家族観の喪失ばかりか、個人主義を金科玉条とする唯物思想が色濃く出ている。
 たしかに結婚した際、旧姓を名乗れず不利益を被ると考える一部の女性がいるかも知れないが、その場合でも旧姓を呼称として使用すれば済むわけで、それを日本社会全体の家族・戸籍制度を根幹から壊す夫婦別姓制度の導入へと飛躍させる必然性はなんら存在しない。
 にもかかわらず、答申が夫婦別姓に言及するのは、男女共同参画をてこに日本社会を変質させようとするイデオロギーが背景にあると言わざるを得ないだろう。
 すでに国会には、何度も民法「改悪」法案が提出されている。同法案は、いわゆる選択的夫婦別姓制を導入しようというもので、結婚の際、夫婦は別姓を選択でき、子供が産まれた際には、その子の姓は父母のどちらかに決める、また、非摘出子の法定相続分を摘出子と同等にする、あるいは「5年以上の別居」で離婚が可能など、家族解体を容易に行い得るのが特徴である。
 こうした考えは、左翼人権学者によって推進されている。彼らは、1985年に批准された「男女差別撤廃条約」を持ち出して夫婦同姓は男女差別であると決めつけており、「姓名は個人名であり、夫婦同姓は一方の配偶者が改姓を強制されるので憲法十三条の個人の尊厳の保障条項に違反する」などと主張している。
 そこには、家族を男性が女性を支配する「最初の階級闘争の場」(エンゲルス)と捉える共産主義的家族観が如実に現れている。夫婦同姓を「支配の形態」と考え、この解体をはかることこそ民主化として夫婦別姓の導入を主張するのである。

働かざる者は食うべからず、なのか

 このような唯物思想に基づく家族解体論=夫婦別姓制の導入を、男女共同参画を口実に実現されてはならない。
 第二に、答申の容認できない点は、配偶者控除制度や企業の配偶者手当の撤廃を求めていることである。
 これら制度は配偶者がいること、つまり家族を考慮して税制上の優遇処置や手当を支給しようという制度であるが、これを止めよということは家族を考慮するなと主張しているに等しい。ここには「働かざる者は食うべからず」との共産主義思想が根底にあり、男女共同参画の名のもとに妻や母を「労働者」に仕立てあげ、「共産社会」の実現を企てようとしているとしか言いようがない。
 男女共同参画の大義名分に「男らしさ」「女らしさ」といった性差まで否定し、そのことによって父性や母性、つまり家族の基本的な愛の絆までをも否定して家族を解体させ、すべて国民を「労働者」にする。そんな目的が秘められているのなら、男女共同参画社会はお断りである。

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