思想新聞2000年7月15日号
シリーズ Q&A 共産主義は間違っている!!
安易な図式からイデオロギーを形成恐るべき共産主義者の階級思考
「前衛」意識が独裁社会に
Q 共産党の発行する書籍などに、よく「働くものの」という言葉が枕詞のように付けられています。「新・働くものの学習基礎講座」(学習の友社)等々です。共産党が何らかの意図を持って使用しているように思われるのですが、どうしてでしょうか。

階級闘争史観で社会現象を把握
A みんな働いているのにどうしてわざわざ「働くものの」などと強調するのかと思われたのでしょうね。これは共産主義者が社会を把握する基本的な視点なのです。人間の歴史は原始時代を除いては全て階級社会であったという捉え方をしています。支配階級と被支配階級です。資本主義社会では、前者は資本家階級、後者は労働者階級という具合です。「働くもの」というのは労働者を表しているわけです。
「労働者」の権力掌握で粛正は必然的帰結
社会主義社会とは労働者階級が権力を掌握する社会のことをいうわけですが、それがよりよい社会であるという根拠は「働いている人=労働者」が「働いていない人=資本家」より主権者としての資格があるという「人間観」から導き出される結論なのです。これも共産主義的唯物論から導き出される当然の結論であり、粛清の悲劇をもたらした根本的要因の一つでした。
根底にあるのは進化論的自然観

共産主義者は猿が人間になったと考えています。当然、進化論の立場です。「労働は人間生活全体の第一の基本条件であり、しかもある意味では、労働が人間そのものをも創造したのだ、といわなければならないほどに基本的な条件なのである」(エンゲルス「自然の弁証法」より)と表現されているほどなのです。
さらに協同で行う労働によって、互いの意志を伝えようとする欲求が起こり、猿の咽頭が進化し、言葉が生まれたというのです。労働と言葉がさらに理性を生み発達させていき、ついに猿は人間となったというのです。
革命運動における大衆の動員は言葉を単純に理解させようとする傾向があります。その結果恐ろしい結論を生み出したのです。すなわち、労働者以外は人間らさをそなえているとはいえない、というものです。資本家の大量粛清や労働改造の悲劇などの淵源は、共産主義的人間観にあるのです。
イデオロギー体質丸出しの宮本発言
十年ほど前、宮本顕治議長(当時)が語った言葉があります。日本共産党第二回全国協議会(二全協)の冒頭発言です(九一年十月九日)。
「さて、世界の今後はどうなるかという問題であります。この点では党が決めた科学的社会主義の見方の根本問題である体制、運動、学説を区別してみることが重要です。正確な順序で言いますと、学説・理論が一番で、運動、体制です。体制というのは、理論からできるものですから、理論があやまっていれば、いくら長くがんばってもダメです」。
人間の尊厳性の裏付けをもたず、前衛としての意識で判断し行動する共産主義者が作り出すものは、やはり独裁社会以外なしといわざるを得ないでしょう。


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