思想新聞2003年7月1日【マスコミ論壇ウオッチング】
過去2回にわたり最近の「朝日」系メディアの“健闘”ぶりを取り上げ、長らくわが国言論界における左翼思想の旗振り役を演じてきた「朝日新聞」など「朝日」系メディア正常化の兆しとして一連のエピソードを紹介したつもりだった。
ところで6月20日、「テレビ朝日」の看板番組「ニュースステーション」は独占スクープと題し北朝鮮の最高幹部の一人で、1997年に韓国に亡命した黄長燁・元朝鮮労働党中央委員会書記の独裁政権打倒の提言を放送した。
黄元書記は自身の考えを日本語で語ったが、その内容は核開発や大量破壊兵器問題ではなく、国民の多くを飢餓で苦しめる北の政権の人権侵害に対する国際的な包囲網を築くと共に中国国内に脱北者のキャンプをつくり、そこに収容された難民への援助を通じて下から政権崩壊を進めるべきだとの戦略を提示した。
「政権打倒に武力は不要」とのテロップが示すように、「ニュースステーション」は最近の北朝鮮への強硬論に対して、黄氏の提言を紹介することで強硬論への反対を代弁させたと思わせる番組づくりだった。しかし、その最後の部分で黄氏は「金正日が挑発すれば、アメリカは徹底的に『膺懲』(敵に大打撃を与え、二度と戦争ができないように懲らしめること)すべきだ」と述べ、北朝鮮に対して確固たる姿勢で臨んでこそ、人道支援策が政権崩壊をもたらせるとの見解をもっていることを示していた。
ところが、日本語で語る元書記の言葉にかぶせるように、「金正日が挑発したらアメリカは徹底的に要求すべきだ」とのテロップが添えられていた。これは、日本人でもほとんど使わない「膺懲」という言葉を制作者が認識できなかったからか、それとも黄氏の発言が「北解放に武力は不要」とのメッセージでまとめようとの番組の制作意図と矛盾するため「要求」という言葉に改竄したかのいずれかになる。もし後者なら朝日系メディアの「お家芸」を発揮した面目躍如ということになるが、茶化すにはあまりに犯罪的だと言えよう。


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