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【第2回国際安全保障セミナー開催】 統一へと動き出した韓国を訪ねて

思想新聞2000年8月15日号 

実感した世界平和連合の使命大阪府連合会  

 世界平和連合大阪府連合会主催で、第2回目の国際安全保障セミナーを7月20~22日に開催した。南北首脳会談から1カ月、ソウルは落ち着きを取り戻していた。今回の参加者は約40名で、ご夫婦や親子での参加もあり、和やかな雰囲気の中で過ごすことができた。日本にいて考える統一問題と現地で感じるそれとは大きな違いがあった。 (報告=大阪府連合会事務局・川村俊彦)

 あれほど世界を驚かせた南北首脳会談である。きっとソウルにはいまだその興奮さめやらぬ状況が続いているに違いない。そんな思いで日本を出発した。ソウルの中心に向かう道路は渋滞だった。原因は労働組合によるデモやストであるという。この現実が民主主義国家であり、統制された国との違いである。強みでもあり時には弱点にもなりうる。韓国のありのままの状況を受け入れながら統一問題を考えることの重要性を自覚した第一歩だった。

西大門刑務所歴史館見学

 関西国際空港を出発してソウル・金浦空港に到着したのが午後2時。入国手続き後バスで西大門刑務所歴史館にむかった。統一を語ろうとすれば分断の背景にも触れなければならなくなる。分断という結果は多くの要素が絡み合ってのことであるが、36年間に及んだ日本の統治を一つの要因としてあげざるを得ない。解放後の韓半島が米・ソを中心とする信託統治から出発するようになったのは、徹底的な植民地政策のもとにあった韓民族に建国を任せることはできないと判断されたことが大きい。独立運動の烈女・柳寛順の獄死したところでもある西大門刑務所歴史館見学は、自虐的感傷をこえて平和への人道的責任を実感する時間であった。見学の終わりにユンヒョンジュン館長が歩み寄り、セミナー開催の目的や意義について質問してこられた。是非多くの日本の人に来てもらえるよう働きかけて欲しい旨、要請された。平和統一の実現のため互いの努力を約束して別れた。

世界日報社見学と南北統一セミナー

 今回はソウルの龍山区にある世界日報社を訪問した。昨年2月に創立10周年記念パーティーが金大中大統領を迎えて盛大に開催されている。文鮮明総裁によって創立された世界日報は、南北統一問題に関して常にオピニオンリーダーとしての役割を果たしてきた。
 訪問した時間が新聞制作にとって一番忙しいときだったが快く応対してくれた職員に感謝し、記念品を贈った。
 駐車場も兼ねる大きな中庭を挟んで、世界日報社の反対側に国際研修院がある。その一室をかりて南北統一セミナーが開かれた。世界日報(日本)ソウル支局長・武田滋樹氏を講師として迎え、「南北首脳会談後における南北統一情勢」と題して講演してもらった。武田支局長は、現地における取材をふまえながら韓国内の現状を語った。「共同宣言」を巡る与野党の論戦や朝鮮日報、金泳三前大統領の厳しい言論に対する北朝鮮の容赦なき批判などを紹介し、「確かに韓国政府に対する批判はなくなったが、言論界や野党政治家に対する対応の厳しさは変わらない」と、一挙に前進し得ない現状を語った。
 また、すすむ統一プロセスに対する韓国内の準備不足、対応の遅れが目立ってきていることを指摘し、平和共存を前提に統一方案をすりあわせていくとき、国家保安法のみならず現在の韓国憲法では対応できなくなり、憲法改正論議まで起こってきていることを紹介した。現実をふまえて一歩一歩前進しなければならないのが当事国である。講演を通じて統一への課題が明らかになり、これまで文鮮明総裁が主張し続けられた「頭翼」ビジョンの重要性を認識する時間となった。  

板門店視察

 2日目の主要なプログラムが板門店視察である。歴史的な南北首脳会談後の変化を肌で感じ取ろうとする思いで、現地に向かった。軍事分界線を挟んで南北それぞれ2キロの知地域が「非武装地帯」である。その中にJSA(共同警備区域)がある。
 途中の検問の厳しさは以前(昨年11月)と変わらず、全員のパスポートチェックなどは以前より厳しさを感じるところもあった。「氷が溶け始めるときが最も危険」との認識なのだろうか。
 JSAを警備する青年兵士の姿も以前と変わりなく、事あらばいつでも反撃できる姿勢を保っていた。警備区域を走るバスの中で案内役の韓国青年兵士に南北首脳会談の感想を聞いてみた。「ショックです。それ以外ありません」との答えが返ってきた。多くの言葉よりも、多くの内容を含んだ一言であると感じた。
 その日は土曜日ということもあったのだろうか。韓国の人や日本の旅行客などで以前よりはにぎわっていた。

韓国国会議事堂見学

 板門店視察をおえてから、前回にはないプログラムとして国会議事堂を見学した。国会事務所の金課長が案内をしてくれた。最初に向かったのが本会議場。傍聴席から会議場に向かって正面に大きな国会のマークがかけられていた。ムクゲの花の中に「國」の文字が刻まれているものだった。ムクゲは韓国の国花である。国会議長席、議員席、記者席、来賓席の位置などを確認し、国会議員の特権として議会で何を発言しても罪に問われることはなく、それは議事録となり永遠に国会図書館に保存されるという。
 また、有事に備えて地下には防護室があり、会議室も設けられていることや南北が統一された場合、第2会議室と一緒になって大きな会議室として作り替えられるようになっているとのことであった。大統領制をとる韓国と議院内閣制の日本との違いもあり、国会見学はもっともっと時間が欲しいという気持ちが募る有意義な時間となった。

感動と反省、そして決意

 3日目のスケジュールは午前中に昌徳宮・秘苑はじめ 市内観光をし、午後3時に帰国の途についた。ここで今回の参加者の感想を紹介しよう。
「共同警備区域内に入り、微動だにしない緊張感いっぱいの警備兵士やすぐその向こうに見える北の兵士の姿を見ながら、また過去にあった悲しい事件(ポプラ事件、ソ連高官の亡命事件)の話を聞きながら、本当に何故! という気持ちが起こりました。同じ民族が兄弟がどうしてこのようなことになってしまったのか。人類の罪を今もこうして代表して背負ったかたちで犠牲になっているのだとしたらあまりにも申し訳ないことだと感じました」(石丸辰夫さん、板門店視察をして)
「やるかやられるかの時代であったかも知れない。しかし侵略して略奪したのは紛れもなく日本である。土足で他人の家に上がり込み、殺戮を繰り返した事実をぬぐい去ることはできない。その事実をしっかり記憶しようと思った」(横山典明さん、西大門刑務所歴史館を見学して)
「日本のマスコミの報道では南北統一が早急に進むように流されているが、韓国内では以外とそうではないように感じた。板門店視察は入り口でのパスポートチェックの厳しさや、写真撮影の規制、若い兵隊が小銃やピストルを携帯して活動しており、緊張感があふれていた。(略)私たち日本人も国を愛し、自国を守る強い決意が必要だと感じたし、今後多くの会員が参加し、現状を見ていただきたいと思った」(松本俊次さん)
 3日間という時間は短い。しかし、日本にいては感ずることのできない、肌からしみこみ心に至る、ある種の感覚が参加者の中に共通に残る。それが国際安全保障セミナーである。
 韓半島の平和統一は東アジアの平和秩序構築の要となる。日本がどのようにかかわるかがアジアと世界における我が国の立場を決定づけることになるだろう。日本の未来を開くのは一人一人の「真情」であって、客観的評論ではない。国際安全保障セミナーに参加することはその「真情」を啓発する絶好の機会となるだろう。 

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