思想新聞2002年3月15日号【マスコミ論壇ウオッチング】27
不祥事のつづく外務省改革への期待を担って就任した田中前外相は、就任早々、その言動から外務大臣としての資質に疑問が投げかけられていた。結局、アフガニスタン復興に関する国際会議へのNGOの参加拒否問題に端を発した国会混乱の責任の一端を取るかたちで更迭された。ところが、時を同じくして議院運営委員長辞任を余儀無くされた鈴木議員をめぐる様々な疑惑が深まることで、田中前外相への評価が女性を中心に国民の間で一気に高まることになった。
このような田中人気に関連して、『朝日新聞』3月9日夕刊の論説委員によるコラム欄「窓」は、「受けない話」と題する一文を載せている。同欄は、『朝日』の論説委員が交替で担当しているコラムだが、〔量〕氏はまず、ある財界人の「田中真紀子さんが総理になってビシバシやらないと、この国はだめですね」との意見を紹介している。
そして、「非政府組織(NGO)をめぐる騒動に限っては、田中氏に分があった。首相が『けんか両成敗』を理由に田中氏を処断したのはまずかった」としながらも、注目すべき意見を述べている。
〔量〕氏は、先の財界人の発言を受けて、「それにしても、田中首相待望論ですって? 正直なところ、願い下げである。彼女がトップにいたからこそ外務省の腐敗が次々に白日の下に暴かれた、というのは真実のようで真実でない。思いつきと激情で外務省をかき回し、改革の実は上がらなかった。外交の混乱と停滞は目に余った。更迭は遅かったくらいだ」と述べている。
「正論」である。『産経』の「正論」と見まごうほどに事の本質を突いた意見といえよう。『朝日』は度重なるトラブルに、田中外相の資質を問う社説を載せたこともあり、このコラムもその評価に連なっている。
田中氏に対する評価は〔量〕氏のいうように当節、「受けない話」かもしれないが、「正論」は当座は受けないものだ。大『朝日』にはここで踏ん張り、名実共に「木鐸」の役目を果たしてほしいものだ。


コメント