思想新聞2002年12月15日号【マスコミ論壇ウオッチング】
さる9月17日、北朝鮮の金正日総書記が拉致事件を「認め」、その後5人の拉致被害者が帰国して後のわが国の北朝鮮報道に接し、30年余りにわたり勝共運動に挺身してきた方々や、『思想新聞』の読者の中には違和感をもっておられる方がいるのではないだろうか。
というのも北朝鮮が史上まれにみる全体主義的国家であり、全国土を要塞化し、主体思想で国民を教化し韓半島の赤化統一の野望を抱いてきたことは、本連合が創設以来訴え続けてきたことであり、世界平和連合が発足しても変わらず警鐘を鳴らし続けてきたことである。
拉致事件はいうまでもなく、最近とみに関心が高まっている北朝鮮による「帰国事業」に伴う悲劇、特に日本人妻の窮状を救うための自由往来運動も30年にわたり続けられてきた。
ところが、最近の北朝鮮に関するメディア報道、中でもテレビ番組を見ると、NHKから民放に至るまで北朝鮮問題に関しては、これまで本連合が制作してきた『情報パック』をそのまま流しているのでは、と思わせるような内容が放送されている。このような北朝鮮に対するわが国の世論やマスコミの急激な変化を目の当たりにすると、真実はいつか明らかになるとの感慨と裏腹に、日本人の物事に対する態度が一夜にして極端に変わることに一抹の不安を感じるほどである。
戦後長い間、典型的な進歩的文化人として論壇に君臨し、60年安保反対の旗頭を演じた清水幾多郎という社会学者が1980年当時、少数意見だった保守派の拠り所であった『諸君!』(80年7月号)に「核の選択―日本よ国家たれ」という衝撃的論文を発表したことがあった。
現在の北朝鮮に関するメディア状況は、戦後の反米的な世論形成に極めて大きな役割を果たしたその言論活動に加え、政治的にも実践的活動の先頭に立った清水氏が、公人としてその責任について反省もなく、「日本が国家として自立するためには核武装すべきだ」云々なる清水論文を読んだ後のような、不自然な気持ちは拭えない。


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