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スパイ防止法制定を

思想新聞1998年10月15日号

深刻なNEC漏洩事件

北朝鮮ミサイルにも日本人関与

写真は防衛庁背任事件ばかりか防衛秘密漏洩事件まで起こしていたNEC本社=産経

 防衛庁の装備品納入をめぐる背任事件の一環として発覚した、航空自衛隊のバッジ(自動防空警戒管制)システムの秘密情報漏洩は、日本の安全保障を根幹から揺るがす重大事件といえる。折りしも、北朝鮮のミサイル開発に日本人技術者が関与しているといわれ、あらためてスパイ天国日本を浮き彫りにしている。スパイ防止法制定が不可欠といえよう。

 航空自衛隊のバッジ・システムに関する文書がNEC(日本電気)府中事業場からコピーされ、フィリピンで売却されかかったのは1990年6月のこと。漏洩したのは、バッジ・システム全体の概念図や関連部品の設計図のほか、レーダー・システムの性能諸元や89年から運用が始まった新バッジ・システムを整備するための情報など。いずれもNECが防衛庁の資料を基に独自に作成した文書。 これらの文書の中には、防衛庁の防衛秘密指定の「秘」(防衛秘密としては「機密」「極秘」「秘」の三段階がある)にあたるものもあり、明らかに秘密漏洩事件だ。

国防の基本情報なのに厳罰なし

 バッジ・システムとは、日本に領空侵犯した航空機の情報を全国のレーダーサイトで捕捉し、これを迎撃するために戦闘機やミサイルを指揮するもので、防衛の根幹システムである。それがやすやすと漏洩したわけだが、防衛庁はこれを公表せず、NECに再発防止の誓約書を提出させ、二ヶ月の取引停止という軽い処分ですませた。
 軍事評論家の江畑謙介氏は、「防空レーダーの周波数まで分かるような資料が流出していれば大変なこと。一種のスパイ事件と言ってもいい」と述べている。また、軍事アナリストの小川和久氏も「バッジ・システムは国防の基本であり、その情報は、文書の所有者が民間企業か役所といった次元の問題ではない」と指摘している(読売9月26日)。
 にもかかわらず、驚くべきことに注意程度ですませてしまったのは、防衛庁の背任事件で露わになっている癒着関係もさることながら、なんといっても防衛機密保護法(スパイ防止法)が制定されていないためだ。スパイ防止法がないから取り締まりようがないのである。

北の工作員が日本で暗躍している

 一方、産経新聞(9月20日付)によると、北朝鮮から亡命した金秀幸氏(元高麗電子技術副社長=北朝鮮)は、ミサイル開発を担当している朝鮮労働党機械工業部所属の秘密機関の指示を受け、90年の一年間だけでも5人の日本人技術者をひそかに平壌に招き、ミサイル開発に協力させたと証言している。
 こうした工作を、日本国内で行っているのは北朝鮮のスパイ工作員だ。日本にスパイ防止法が制定されていないので、まさに日本は「スパイ天国」になっているわけだ。
 スパイ防止法なくして、日本の平和と安全はないことを銘記すべきだろう。

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