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マオイストと戦うネパール

思想新聞2002年9月15日号【視点論点】

ネパール民主党中央幹事
ブパナラヤン・ガルティマガル氏

武力で農民らに支持を強要

農村から都市部へと活動範囲広げる

 ネパールにおける反政府武装組織、すなわちマオイスト(ネパール共産党毛沢東主義派)は、ネパールの民主化が始まった1990年代前半に誕生した左翼組織の流れを汲んでいる。
 彼らの思想は、マルクス・レーニン主義に毛沢東思想を取り入れ、貧困からの解放、農村から都市の包囲を唱える。議会制民主主義を否定し、王政廃止、共和制の確立、社会主義経済の構築を目指し武装闘争を行っている。96年には、中西部の農業銀行と警察を襲撃し、最近では農村から都市部へと活動範囲を広げている。
 5月からネパール政府軍は、マオイストに対する過去最大規模の掃討作戦を実施している。だが、まだ彼らは完全に制圧されたわけではない。彼らの支持基盤は主に農村だが、武力を背景に支持せざるを得ないような状況にある。農民たちも決して本心から支持しているわけではない。
 彼らが農村に影響力を持つ理由の一つは貧困である。ネパールでは経済が未発達段階で、失業率も高い。第二の理由は、社会的な差別の存在。残念ながらネパール社会ではブラーミンという階層が非常に力を持っていて、それ以外の階層の人たちを差別している。地方では原住民の少数民族が差別を受けている。政府によってもそういう人たちは差別されている。マオイストは、自分たちが政権を取れば優遇するという甘い夢を与えて彼らを「革命への支持」に誘っているのだ。

 マオイストの実態はテロリスト

 個人的にもマオイストの攻撃を受けたことがこれまで2回あった。最初は1996年3月2日、爆弾を仕掛けられ、それによって受けた傷跡があごと腹部にある。家の近くの小さな水力発電装置がある所で、2人の友人と一緒に被害に遭った。
 2度目は、地方選挙があった1997年5月21日、選挙運動である建物の中にいた時、爆弾と銃で攻撃された。外から鍵を掛けられ、14カ所で爆発が起こったため、建物は燃えてしまった。1人の友人は殺害され、私は神に助けられたのだと思っている。
 彼らは民主的、平等、自由、王政支持のグループを敵とみなしている。ネパール民主党はそれらを掲げているから攻撃されたのだ。
 共産主義について言えば、このイデオロギーのいう理想は甘いが、実践はひどいことをする。平気で人を殺すし、死体を細かく切り刻むなど残酷なことをする。
 マオイストと隣国との関係については、インド政府はもちろん支持していないが、インド国内にもマオイストがいて地下活動をしている。また、中国との関係は一切なく、彼らはヨーロッパに本部があるRIM(国際革命運動)という国際組織の下で活動している。
 わがネパールは2つの危機を抱えている。一つは経済的な危機で、もう1つは軍事的な危機だ。産業が未発達で、電力や上下水道などの社会的インフラも不十分であり、国際社会にその方面の支援を期待している。ゲリラ活動をしているマオイストとの戦いでは、政府軍の力が十分でない。3万5千人ほどの自衛的な陸軍があるだけで、優れた兵器やヘリコプターが不足している。
 日本との関係では観光客は多いものの、貿易は多くはない。ネパールは日本から電化製品などあらゆるものを輸入しているが、輸出しているのは手製のショールやカーペットなどの毛織物や工芸品など伝統的な製品にすぎない。
 国内にこれといった産業がないため、各国の傭兵として出稼ぎに行くような現状だ。インドには9万5千人、シンガポールには9千5百人、イギリスは5千人のネパール人兵士が所属している。
(取材・協力=世界思想)

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