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File-29 共産政権下で破綻した「家族廃止」の試み

堕胎と離婚急増で出生率が低下、非行も急増

思想新聞2001年3月15日号 シリーズQ&A 共産主義は間違っている!!

フェミニズムの仮面を被ったマルクス主義・13

「強者助け、弱者挫く」結果に

家族制廃止えぐるティマシェフ論文

Q ソ連帝国が成立した直後のロシアにおいて、つまりレーニンの時代にすでに「家族制度廃止」が試みられていたというのは、驚きですね。ところが、その一大“実験”も、スターリン体制下の1930年代に破綻するに至った、というわけですが、具体的にどのような社会現象をもたらしたのでしょう。

 はい。先の続きになりますが、ティマシェフという人の論文「ロシアにおける家族制度廃止の試み」を八木秀次・高崎経済大助教授が紹介していますので見てみましょう。
「堕胎と離婚の急増の結果、出生率が急減し、家族・親子関係が弱まった結果、少年非行が急増した。また性の自由化と女性の解放という壮大なスローガンは強者と乱暴者を助け、弱者と内気な者を痛めつけることとなった。何百万もの少女たちの生活がドン・ファンに破壊され、何百万もの子供たちが両親のそろった家庭を知らないことになった」
 どうでしょうか。ここで注意しておかなければならない点があります。それは一般的に言って、左翼とかリベラルと言われる人々は概して「弱者の味方」を錦の御旗にするのですが、ここで指摘されているように「性の自由化と女性の解放という壮大なスローガンは強者と乱暴者を助け、弱者と内気な者を痛めつけることとなった」ことです。
 そうした背景もあって、ティマシェフ論文では「こうしてソ連政府は1934年には従来の家族政策を根本的に見直して、フーリエ以来の構想と決別し、家族を「社会の柱」として再強化することになった。すなわち、妊娠中絶を禁止し、離婚手続きを複雑化させ、子供の保育・教育における両親の責任を増大させた。家族が国家の基礎単位として重視され、女性は自由な市民としてよりは母親として尊重されるようになった」と、旧ソ連の家族に関する重大な政策転換を分析しています。確かに、「ポスト・レーニン」の座をかけて、国際共産主義運動を重視するトロツキーとの政争に「勝利した」格好のスターリンが、次第にイデオロギーよりもナショナリズムの高揚といった国益重視の政策を打ち出した流れの中で、家族政策というものをとらえることができると言えましょう。「大祖国戦争」と称したナチス・ドイツとの戦争であれほど国威を発揚させ、国家意識を植えつけたスターリン政権が、「国力」にとって重要な「細胞」として家庭を見なしたのは、容易に結びつくものと言えるからです。

それでも家庭を顧みなかった旧ソ連

ところが、です。それでも、先のユーリ・オシピアン博士(ロシア軍縮局長)によれば、社会主義政府の中でプロパガンダによって、家庭は高いステータスを与えられていたにもかかわらず、家庭における女性の負担は増すばかりだったわけです。しかも子供の教育は「社会遺伝子工学」教育が施されることによって、家族の絆よりも共産主義イデオロギーを絶対視させることで、スターリン政権に忠実なあまたの「紅衛兵」を生み出すに至ったわけです。ですから結局のところ、旧ソ連政府は「家庭」を顧みていなかったことにほかならないと言えるのです。

共産政権下でさえ「廃止」の試みは破綻した家族制度。その連綿たる営みは皮相なイデオロギーによって容易に始末されるものではない。

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