この記事は2014年2月25日に投稿されました。
体調不良のために入院していた小松一郎内閣法制局長官が24日、職場復帰した。今後も週1回程度通院するという。小松長官はかつて、国際法局長として集団的自衛権行使の「4類例」を発案した人物だ。安倍首相の集団的自衛権の行使容認の取り組みを、大きく後押しした提案だ。小松長官の復帰によって、政府は4月中の閣議決定を目指す。当初は国会終了後の夏過ぎの予定だったから、実現すれば大幅な期間短縮になる。
閣議決定を急ぐ最大の理由は、年末に策定される日米防衛協力の指針(ガイドライン)にその内容を反映させるためだ。ガイドラインとは、自衛隊と米軍の役割分担を定めた指針で、今年の年末に17年ぶりの改定作業が行われる予定だ。
現行のガイドラインでは、尖閣諸島など日本本土から遠く離れた島で紛争が起こった場合の対応は想定されていない。また、仮に「尖閣有事」が起きても、その際の具体的な規定はない。外交専門家の間では、「尖閣有事には米軍は出動しない」といった見方もあるほどだ。
日米の役割分担を機能させよ
とりわけ大きな問題が、集団的自衛権の行使容認だ。日本の政府高官の中には、「集団的自衛権の問題が決着しないと、日米の役割分担が詰められず、そもそも行使容認を反映しないガイドライン再改定は無意味だ」という声もある。
自衛隊の出動命令が出されるためには、他国からの「組織的、計画的な武力の行使」が認められなければならない。たとえば武装した外国の特殊部隊が民間人になりすまして尖閣諸島に上陸しても、「組織的・計画的」だと認定されなければ自衛隊は出動できない。同様に、中国が尖閣諸島へ向けて軍事行動を開始しても、日本への攻撃が認められなければ自衛隊の出動は認められない。進行方向を変えて、他国への攻撃に向かう可能性もあるからだ。自衛隊が出動できなければ、米軍との役割分担を論じることさえできない。
仮に中国によって、米軍艦船が公海上で攻撃されたと想定しよう。日本の領海内でなければ当然自衛隊は応戦できない。これでは米軍が動くのは容易ではない。米軍の出動そのものがためらわれるだろう。
中国は昨年11月に東シナ海上に防空識別圏を設定し、今年の1月には南シナ海における外国船の操業を許可制にした。中国の膨張主義は加速している。しかも、中国が日本の体制の不備を熟知していることは間違いない。日本にとって、防衛体制の充実は焦眉の急だ。
安全保障問題を政争の具にするな
一部メディアは安倍首相の取り組みに対し、「前のめり」「危うい独走」などと批判しているが、筋違いだ。「立憲主義の否定」などという声すらある。
そもそも憲法解釈は、法制局の助言を受けて、内閣全体で判断するものだ。「(憲法解釈の)最高責任者は私だ」と述べた安倍首相の発言は正しい。内閣が憲法解釈を示し、国会がそれを裏付ける法律を整備し、司法が違憲立法審査を行うのは、立憲主義に基づいている。
国会議員とは、国家と国民の生命と財産を守ることが最大の職務だ。その国会議員が、安全保障の問題を政争の具にするのなら、それこそ本末転倒だ。みんなの党の渡辺代表が「政策実現のためには野党も与党もない」といったが、まさに正論といえる。各党の議員には、レッテル張りをしてイメージ戦略に出るような無意味な反論はやめて、より建設的な議論を進めてもらいたい。日本やアジアの安全保障のために何が必要であるかを真剣に検討すべきときがきている。


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