思想新聞 1999年3月15日号ここが間違い共産党1999
「住民の平和と安全」を脅かす新ガイドライン反対闘争の詭弁
共産党は統一地方選挙に向け、全国各地で日米安保条約の破棄をめざして「ガイドライン法案=戦争法案」と位置づけ反対運動を繰り広げている。しかし、そこで展開されている共産党の反対論は国連憲章を踏みにじり、日本国憲法まで曲解する詭弁・暴論にしかすぎない。また「民間企業=悪玉論」に終始、公共事業大幅切り捨てをはかる。「住民が主人公」をうたう共産党だが、「共産党宣言」や「資本論」などの「革命本」を党員の学習文献に指定。「民主集中制」の独裁体質に変わりはなく「党が主役」が実態だ。今回は「住民が主人公」の大ウソをあばいてみる。
国連憲章を無視する暴論で「戦争法案」とこじつける
Q、共産党は「周辺事態法案」について「アメリカの戦争と干渉に、日本みずから参戦するための法案であり、まさに『アメリカ有事』での自動参戦法案ともいうべきもの」(中央常任幹部会声明)と規定し、「戦争法案」などと呼んでいますが、アメリカのための法律なのですか……。
A、アメリカのための法律などと表現するのは悪意に満ちた、とんでもないデマとしか言いようがありません。
ご存じのように「周辺事態法案」の正式名称は「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案」といいます。この名称でも明らかなように「周辺事態法案」は、私たち日本の国の平和と安全を守るための、つまり日本国民のための法律です。
しかも、国連憲章にのっとった法律なのです。周知のとおり、国連は世界の平和と安全の確保をめざして結成されましたが、国連憲章では「有事」が発生した場合、「国連安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」(第51条)とし、さらに「地域的行動に適当なものを処理するための地域的取決め又は地域機関が存在することを妨げるものではない」(第52条)として、加盟国が2国間や集団的な安全保障条約を締結して平和と安全を確保することを認めています。
まさに、この国連の精神に則って締結されたのが、日米安保条約にほかなりません。事実、同条約の前文には次のように明記されています。
「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念、並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再認識し、(日米)両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よって、次のとおり協定する」
このように、日米安保条約は国連憲章の精神に則って締結されているのです。
そして、日本国憲法は、第98条2項において「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定しています。したがって、日米安保条約もまた、「誠実に遵守」されることは論を待ちません。
同条約第4条において、「締結国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締結国の要請により協議する」としています。
同条文に基づき、自衛隊と米軍が侵略の未然防止や日本への武力攻撃、日本周辺地域での有事の際、どのように協力するかを示す基本構想が、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)です。ガイドラインは当初、昭和53年に策定されましたが、現状にそぐわない点が多々ありましたので、平成8年夏から見直し作業がすすめられ、9年秋に新ガイドラインがつくられました。
これに基づいて「周辺事態法案」が作成されたわけです。アメリカのための法律などというのは、「ためにする」デマ宣伝としか言いようがありません。

「憲法の平和原則は自衛権を認める」との判決を無視
Q、共産党は「周辺事態法案」について、「憲法の平和原則に真っ向から反するだけでなく、日米安保条約の建前にさえ反するものです」(日本共産党中央委員会発行パンフ)と述べていますが…。
A、いったい、共産党は「憲法の平和原則」をどう捉えているのでしょうか、ここからして疑問です。
すでに述べたように、「周辺事態法案」は、あくまでも自衛のための法律です。言うまでもないことですが、憲法は自衛権まで放棄したわけでは決してありません。駐留米軍や自衛隊の存在について、昭和34年12月の最高裁判決(いわゆる砂川事件に対する判決)が「9条1項で永久に放棄することを定めたのは、いわゆる侵略戦争である」と明言して合憲判決を下したように(その後の最高裁判決もすべて合憲)、自衛権や自衛のための戦争を憲法は放棄したのではないのです。
つまり、「憲法の平和原則」は侵略戦争を放棄するが、自衛のための戦争は保留するというものなのです。だからこそ、防衛庁を設置し自衛隊を置いているのです。それが日本の国の「平和原則」です。それを勝手に解釈し、自衛隊は違憲だ、在日米軍は違憲だなどと騒ぎ立て、その延長線で「周辺事態法案」も違憲だ、などと煽る共産党のほうが、よほど間違っているとしか言いようがありません。
また「日米安保条約の建前にも反する」との解釈も理解できません。このこともすでに述べましたが、日米安保条約第4条において、「締結国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締結国の要請により協議する」と明記しています。
有事になってから協議していたのでは遅いので「随時協議」することになっているのです。新ガイドラインはこの条約の条文から逸脱しているわけではありません。それに、「極東」がその範囲に含んでいることも明記されています。「周辺事態法案」のどこが「建前」にも反するのか、さっぱりわかりません。建前でも本音でも「周辺事態法案」は日米安保条約に則って、日本の平和と安全を守る意図でつくられているのです。
地方自治の本旨を覆す根拠のない協力拒否論
Q、「周辺事態法案」は地方自治体の長に対して「その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる」(法案第9条)としています。しかし、共産党は「政府に地方自治を蹂躙する権限はない」として協力拒否を呼び掛けています。また非核港湾条例の制定を呼びかけていますが…。

A、地方自治体は、日本国の法律の外に存在する独立国家ではあり得ません。つまり、地方自治体は、日本国の法律によって構成され、かつ必要な国の法律の執行が法によって義務付けられている公共団体です。このことは「(地方公共団体の組織などは)法律でこれを定める」と憲法第92条に書かれていることからも明白です。地方自治法第148条にも、このことが明記されているところです。
そもそも、憲法前文は冒頭で「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と述べています。しかも国会は「国権の最高機関」(第41条)と位置付けられています。その国会で決められた法律にしたがって、地方自治体も国民も行動すべきことは論を待ちません。
にもかかわらず、国の法律にもとづく協力を拒否せよ、と共産党が強弁するのは、違憲のみならず、住民の福利を追求する地方自治の本旨をも侵犯する無法行為と言わざるをえません。地方公共団体の仕事とは「公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、維持、健康及び福祉を保持すること」(地方自治法第2条)なのです。
非核港湾条例は、外国艦船の寄港の際に核兵器を搭載していないことを証明する文書の提出を求めるものですが、そうした行為はそもそも国の外交権に含まれるもので、地方自治体が「独立国」のように行う性格のものではありません。つまり、外交権の侵害です。
それに同条例は、わが国の平和と安全を著しく脅かす行為です。というのは、米艦船が個別に核搭載の有無を明らかにすれば、「敵」に自らの戦力を暴露することになり、利敵行為になるばかりか、肝心の抑止力が損なわれるからです。軍事力は秘密が伴ってこそ、はじめて戦力になるというのが常識です。
そこで米国は、個別の艦船の核兵器搭載の有無を明らかにしないで核抑止力を機能させる基本戦略を維持しているのです。
にもかかわらず、核の有無を文書で提出せよ、というのはあまりにも安全保障音痴です。それをあえてやろうというのですから、それこそ自治体を反米反安保の「赤いトリデ」にしようという以外の何ものでもないでしょう。
「基地提供は日本だけ」はまったくのデマ宣伝だ
Q、共産党は「(米軍の)部隊に半世紀以上にわたって基地を提供し、今後も21世紀にわたって無期限に基地を提供しようとしている国は、世界中さがしても日本以外にはありません」(前述パンフ)と述べていますが……。
A、こういうのは、正真正銘のデマと呼ぶべきです。
米軍に基地を提供している国を世界中でさがしてみますと現在、24か国・地域にのぼります。半世紀以上、提供している国はドイツやイタリア、イギリスなど先進主要国でも少なくありません。それに日本が「21世紀にわたって無期限に基地を提供しようとしている国」と決めつけていますが、日米安保条約は終了を通告すれば1年以内に終了することになっているのです(同10条)。
ですから、この共産党の主張はすべてデタラメであることは明白です。よくも、ぬけぬけとウソが言える、としか言いようがないでしょう。
共産党は世界情勢をまったく理解していません。日米安保条約を悪と決めつけているようですが、そもそも米国と安保条約を結びたいという国は増えているのが世界の現実です。たとえば、旧共産国だった中欧や東欧の国々がそうです。これら諸国は、こぞって米国を柱とする軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)に加わろうとしています。
97年7月、マドリードでNATO首脳会談が開かれましたが、この会議で新たにNATOへの加盟を希望したのは、実に12か国にのぼりました。これらの大半の国は、かつてNATOと鋭く対峙していた、旧ソ連を中心とする軍事同盟ワルシャワ条約機構に加わっていた国です。
それが一転して、こぞってNATO入りを希望する。それは、米国と軍事同盟を結べば、国家の安全が保障されると信じているからです。
これが世界の現実です。いまどき米国との安保条約を破棄するというのは、まさに共産党ならではの考え方でしょう。世界の笑い者です。
「民」軽視で行革に異議唱える綱領路線の堅持で天皇制廃止
自治体の行革に反対し住民サービスを低下させる元凶
Q、共産党は住民サービスが切り捨てられているとして「自治体リストラ反対」を唱え、また民営化にも反対していますが、これで私たちの暮らしはよくなるのでしょうか。
A、ムダをはぶき効率のよい自治体をめざすのは当然のこと。税金を収めている民間企業は必死でリストラをやっているのに、その税金を使う自治体がリストラをやらないというのなら、まさに「ぬるま湯・公務員天国」です。共産党は一部労組の代弁集団にすぎません。
PHP研究所の試算によると、現在3,232ある市町村を257市に再編すれば、年間17兆円の削減ができるといいます。この額は実に消費税総額の2倍分です。共産党はこうした再編にも反対しているのです。
都道府県で国家公務員より給与が低いところは一県もありません。市でも国家公務員より一割も給与が高いところが沢山あります。行革は税金を収める住民の願いでしょう。
ですから、なんでも「公」で行うのではなく「民」の活力を生かして、より充実した住民サービスをめざそうというのが地方行革です。国鉄がJRになることによってサービスが向上したのと同じ理屈です。
たとえば、学校給食を民間委託している自治体は、公務員が行っている自治体に比べて、一校当たりの人件費がほぼ半分に減っています。その分、福祉や教育に税金が使えます。ところが共産党は民間委託すると「O―157の危険が迫る」などと言って反対します。これこそ、言いがかりです。民間企業は一度食中毒を出せばそれで倒産でしょう。ですから、公務員以上に真剣に取り組んでいるのが実状です。「民」を軽視するのは筋違いです。
共産党はまた、公共事業をゼネコン型開発と称して大削減を主張します。もちろん、無駄な事業はいりませんが、大手の建設業者を「巨悪」と決めつけて一方的に公共事業を切れば、私たちの生活基盤が整備されないばかりか、真っ先に零細企業の仕事がなくなり、倒産・失業・不況の悪循環に陥るでしょう。
共産党が民間企業=悪論をかざすのは、すべての国有化をねらっている(それこそ共産化)からです。ロシアや中国ですら止めた政策を自治体に持ち込ませてはなりません。

日の丸・君が代反対は不変「天皇制廃止」をも目論む
Q、不破委員長は「日の丸・君が代」について、それを国旗・国歌とすることを容認するような発言をしています。また昨年は象徴天皇制容認まで打ち出しましたが、これって本当ですか?
A、広島県では校長先生が日教組の強引な反対運動に遭い、自殺に追い込まれていますが、「日の丸・君が代」に一貫して反対してきたのが共産党です。不破委員長が国旗・国歌制定法の制定を認めたと伝えられていますが、これはあくまでも法律を設けるというもので、「日の丸・君が代」を容認するというわけでは決してありません。むしろ、自分たちは反対だと明言しています。
それどころか、共産党は天皇制の廃止を目論んでいます。共産党が96年に発行した『日本共産党綱領文献集』には、軍事革命路線をめざした「日本における情勢と日本共産党の任務」(いわゆる32年テーゼ)を掲載しているばかりか、「天皇制はそれはどんな形をとろうとも、人民の民主主義体制とは絶対に相容れない」として「天皇制の廃止」を柱にすえる人民共和国憲法草案も載せています。
捨て去った考え方なら、共産党の本にわざわざ載せたりしないでしょう。下心があるから党員に学ばせようと掲載しているのです。共産党は「76年間、変わらなかった党」と自慢していますが、そのとおり、76年間、変わらず「日の丸・君が代」「天皇制」に反対し、共産革命をめざしてきた党なのです。

スマイリング・コミュニストの正体は未だ「革命の書」に執心
Q、昨年の流行語大賞で「スマイリング・コミュニスト」なるものが賞をとりました。また暫定政権構想を打ち立てて野党共闘を模索、さらに「無党派との共同」を訴えます。共産党は怖くなくなったのでは?
A、マルクスの『資本論』やエンゲルスの『空想から科学への社会主義の発展』、はたまたレーニンの『唯物論と経験批判論』……なんとも難しい本の名前ですが、これらは共産党のいわゆる「革命の書」で、共産党員なら誰でも学ばなければなりません。共産党はこれを「独習指定文献」と呼んで、共産党員に学習を義務づけているのです。
独習文献はざっと22冊で、このうち実に10冊がマルクスやレーニンの古典。ロシアや中国ですら読まれなくなった本が、先進国の日本で後生大事に読み続けられたのは驚きです。
マルクスは「共産主義者は、彼らの目的は、既存の全社会組織を暴力的に転覆することによってのみ達成できることを、公然と宣言する」(共産党宣言)と述べていますし、レーニンは「マルクス主義の階級理論よりすれば、奴隷化された階級の解放は、暴力革命なくしては不可能である」(国家と革命)と言っており、正真正銘の暴力革命主義者です。そんな過激派の思想を今なお信奉しているのです。
事実、朝日新聞の記者が志位書記局長に「この際、綱領から社会主義を外せば(野党との)共闘が進むのでは」と提案したところ、同書記局長は「そんなことをしたら、修正資本主義者になってしまう」「資本論をちゃんと読まないと」と答えたと言います。さすがの朝日も「資本論といわれても」との見出しで、「(資本論は)100年以上も前の本だが、志位さんは自信満々、理路整然。(民主党の)管さんらが共闘に二の足を踏む気持ちも分かるような気がした」と書いています(朝日新聞99年2月5日付)。
常日頃は、「住民が主人公」とゴミ問題や福祉など身近なことを口にする共産党員ですが、家に帰れば夜な夜な「革命の書」と首ったけというわけです。
共産党が政権を取り「日本が社会主義国になっていたとしたら、間違いなく自分は銃殺刑になっていただろう」と、共産党を離党した川上徹氏(元全学連委員長)も自著『査問』(筑摩書房)の中で述懐しています。これが「スマイリング・コミュニスト」の正体です。

生産者も消費者も困窮する共産党の農業政策
Q、共産党は、食糧自給率を70%台にアップさせるとか、農村を守るために価格保障制度を実現すると主張していますが……。
A、共産党は、ことあるこごとに欧州の例を出して日本の食糧自給率の低さを攻撃します。たとえば、市田忠義・党最高幹部会委員は「1960年当時、イギリスやドイツは、日本よりも穀物自給率が低くなっていました。
その後、両国は自給率向上の国策に転換し、日本が74%から20%台へと急激に自給率を減少させた80年代に、100%を超えました。日本は『経済大国』といわれながら穀物自給率は最悪です。農業予算の分野で見ても、農家一戸あたりの予算は欧米の半分以下です」(『前衛』98年11月号)と述べています。
共産党は自給率を向上させるために「大規模農家の育成に反対」します。そして、減反をやめてすべてのコメ農家から60キロ当たり最低2万円の政府買い入れ価格を保証するなどと言うのです。地方自治体も価格保障制度を導入せよと主張しています。
だが、このような破天荒な保護農業が通用するのでしょうか。これに対して政府は「大規模農家の育成」を柱に自給率の向上をめざしていますが、実はこの政府の政策こそ、共産党がしばしば引き合いに出す欧州先進国の食糧自給率向上政策なのです。
たとえばフランスの場合、一戸当たりの平均耕作面積は63年には17ヘクタールだったのが、80年代末には31ヘクタールに、ドイツも60年の9ヘクタールが18ヘクタールへと2倍に規模拡大しました。このように大規模農家を育成した結果、人口当たりの農家数は日本の半分から3分の1になっているのです。しかも効率のよい農業生産が行われ自給率が向上したのです。農家一戸当たりの予算も日本に比べて大きくなるのは当たり前のことです。
これに対して日本の農家の平均耕作面積は1ヘクタール以下で、5ヘクタール以上耕作する農家が全体の0.5%にすぎません。その結果、後継者難をもたらし「家族経営」が破綻に追い込められているのです。
私たちの日本で共産党の農業政策を実行すれば競争も自助努力もなく、備蓄米に溢れ、消費者は「高くてまずいコメ」を食べさせられるのは必至です。おまけに農家自体も活力を失い、ますます後継者がなくなることでしょう。生産者も消費者もみんな不幸になるのが共産党の農業政策と言わざるを得ません。


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