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第2次森改造内閣の課題 サミット議長国の責任果たせ

日中関係

思想新聞2000年7月15日号【視点論点】

青山学院大名誉教授
入江 通雅 氏

 衆議院は六月二日に解散され、二十五日に総選挙が行われた。余り質の良くない日本の新聞テレビは、例によって森首相の「神の國」発言を歪曲し、「国民主権」を否定したもののように非難する、民主党や共産党の、選挙で少しでも自民党、森首相に打撃を与え、相対的に自党を有利にしようという、底の浅い選挙戦術的言いがかりに同調して、森氏を攻撃した(新聞テレビは少し良識があれば、森氏が「主権の存する日本国民の総意にもとづく」今の、象徴天皇を戴く立憲君主の、民主主義国家日本国の国家体制を改めて、戦前の明治憲法のような、立憲君主ながら今より天皇の権力が強い戦前日本の国家体制を復活しようと考えている、などとは思わなかったことは確かであるのに)。 

日本人の精神的再生に猶予

 そのうえ新聞テレビは選挙直前に「自民党、安定多数を窺う勢い」などという選挙予測を発表して、いわゆるアナウンスメント効果で自民党に打撃を与えた。それでも、自公保の連立三党が絶対安定多数を確保出来たことは、そして七月四日の特別国会衆参両院で、森喜朗氏が並ぶ者なき圧倒的多数をもって日本国内閣総理大臣に指名されたことは、総選挙がサミット直前、自由党離脱直後という時期であっただけに、二十一世紀に臨む日本の命運を決する、かけがえのない重要、決定的な選挙の結果としては、少なくとも今しばらく日本人の精神的再生に時間が与えられたことを意味するものとして、神の恩寵に感謝すべきであろう。
 こんどの総選挙で森首相の神の國発言や国体発言を国民主権、民主主義を否定するものと激しく攻撃して左翼の喝采を浴び有頂天になっていた感のある共産党が、議席を二十六から六も減らし二十議席に落ち込んだ。共産党はこれを、六千万枚にも及び反共ビラの配布など、未曾有の反共攻撃に敗れたもの、と地団駄を踏んでいる。私の家にも、(表紙)真実を見つめて下さい/共産主義の真実。(裏表紙)あなたは人民共和国に賛成ですか。と全八ページの共産主義に関する重要情報のエッセンスを掲載したパンフレットが郵便受けに投入されていた。私はそんな事は百も承知で、学生にも教えて来たが、左翼教師や左翼マスコミにしか接して来なかった人々は、こうした反共情報に初めて接し驚愕したのではないか。共産党がこの種の反共攻撃を敗因に挙げているのは、あながち選挙担当の責任転嫁とは言えないのではないか。 

対米対中外交ににも必要な手腕

 それはさておき森新内閣の課題だが、それは当面、七月二十一日から二十三日まで沖縄県名護市「万国津梁館」で行われるG8サミットを議長国として立派にやりおおせることである。二十世紀の掉尾を飾るサミットに相応しく、戦争や民族紛争、さらには共産主義に血塗られた二十世紀と明確に決別し、二十世紀半ばに生まれた国連を中心に二十一世紀にはそれをさらに発展させて、諸国民が自由、人権、民主主義、経済的進歩、平和と繁栄を享受出来るような世界に向かって前進する、そのような二十一世紀世界秩序を方向づけることである。その方向づけこそ、森新内閣喫緊最大の外交課題である。
 第二の外交課題は、日米対等の日米基軸外交の推進である。日本経済好況、米財政赤字(軍事費相当の二五〇〇億ドル程度の赤字)という日米の財政事情から生まれた「思いやり予算」は、日米の財政状況逆転(現在、日本の予算の四割が赤字国債、米一五〇〇億ドルの財政黒字)した現在、廃止するのが筋。米国はかつての日本の同盟国への「思いやり」に、今や同盟国日本への「思いやり」をもって応えるべきであり、日本の「思いやり」を既得権益の用に墨守すべきではない。
 第三の外交課題は、対等の対中外交に徹することであり、いやしくも江沢民の「正しい歴史認識」など決して受け入れないことである。森総理は四月二十四日、衆議院予算委員会で、民主党の菅直人氏から「日中戦争は日本の侵略戦争だった」と考えているかと問われ、「戦争は、その時代の背景によって、いろんな問題意識があったんだろうと思う。日本が侵略戦争をしたかどうかは、歴史のなかで皆が判断していくべきことだ」と述べた。これは、一九七一年九月の「日中共同声明」(周恩来、田中角栄署名)の線であり、日中戦争を侵略戦争と決めつけた江沢民来日の際の「日中共同宣言」には、小渕首相は署名を拒否しており、「日中共同声明」に比肩する基本文書にはなっていないのである。
 また内政では、教育勅語に匹敵する、幼少時からの人倫道徳の教育を実現して欲しい。

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