国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 最新の主張はこちらから

ウクライナ問題、あらわになった米国「国力」低下

この記事は2014年3月20日に投稿されました。

プーチン大統領が18日、クリミア半島のロシア編入の方針を表明した。演説の後には、連邦入りを要請したクリミア側と「国家間条約」に調印した。
 一連の出来事で、ことさら際立っているのはロシアの横暴ぶりだけではない。むしろ米国のふがいなさだ。もし米国が今回の緊張を最小限に抑えるつもりだったなら、もっと早期にウクライナへの経済支援を行うべきだっただろう。そもそも事の発端は、7000億米ドルもの債務を抱えたヤヌコビッチ政権が、EUへの編入を視野に協定の締結に向かうのか、ロシアとの関係を強化するのかという二者択一を迫られていたことにあった。難しい選択だったことは間違いない。

ウクライナの国土は日本の二倍弱だが、経済規模は福岡県程度だ。いかに経済状況が厳しいかが理解できるだろう。ヤヌコビッチ氏の前任のユシチェンコ氏は親欧州派であり、ロシアと距離をおいて欧州に接近した。しかし欧米諸国からの投資は予想以上に伸びず、むしろロシアとの関係悪化による損失がそれを上回ってしまった。それまで格安でロシアから提供されていたガスの価格を国際水準並みに引き上げると通達されたのだ(2005年ロシア・ウクライナガス紛争)。
 ウクライナ側はこの提示を受け入れることができず、ロシアはガスの供給を停止した。ガスのパイプラインは、ウクライナからドイツやイタリアまで伸びており、ガスの停止は、欧州方面へのガス全体の30%削減となった。しかしウクライナは、従来通りのガス量を一方的に取得した。そのためドイツやイタリアではガス圧が下がり、ガスを受け取れなくなってしまった。結局この事件は、ロシアとウクライナ双方の主張の中間をとることによって決着したが、このときウクライナは、欧米に対する過信は禁物であることを痛いほどに学んだに違いない。また欧州各国も、ロシアとの関係悪化がいかに深刻であるかを悟っただろう。
 それに加えて2010年に大統領に就任したヤヌコビッチ氏は親ロシア派の人物である。従来の不信感に加え、ロシアからの圧力が加わることも容易に予想できたはずだ。結局ヤヌコビッチ氏は、EU編入よりもロシアとの接近を選択した。その後、親欧州派の住民がこれを不服として大統領府を占拠し、議会が大統領解任を決議した。国家的な大混乱に陥り、民主的な手続きだったとも言い切れない。
 米国はこの状況に至るまでに、地域の安定を図るための有効な対策をうつことはできなかったのか。ウクライナはEUとロシアの中間にあり、戦略的要所といってもいい。米国はそれを十分に考慮すべきだった。しかし米国からはウクライナの経済危機に対して何ら対策は打たれなかった。その結果が現在の状況である。オバマ大統領の内向き志向が、ウクライナをここまで追い詰めた最大の要因であるといっても過言ではない。
 その後米国は、ロシアによるクリミア編入の表明を受けて経済制裁を科したが、「欧米の制裁は弱すぎて無意味だ」(ロゴジン副首相:ロイターより)と嘲笑された。米国としては、国内経済への打撃を恐れて強硬な態度をとれないのだ。時すでに遅しである。

日本の防衛政策を根本から見直すべき時

米国の軍事力は依然として世界最強であり、その立場は揺らがない。しかしオバマ政権の内向き志向が各国から見透かされていることも間違いない。いかに強大な軍事力を保持していても、それを扱う政権が弱体化すれば、抑止力は著しく低下するのだ。
 日本はこのことをはっきりと理解すべきだ。クリミア半島は、面積にして北海道の3分の1程度でしかないが、この地域の今後の方向性が日本を含めた国際社会に大きな影響を与えることになる。このままロシアへの編入が進めば、「既成事実を積み重ねれば米国も手を出せない」というメッセージを世界に送ることになる。特に中国と北朝鮮はそう考えるだろう。日本としては、ロシアの暴挙を許さない政策を打ち出すとともに、今後のアジア情勢が不安定化する可能性を十分に考慮した安全保障体制の構築を急ぐべきだ。

2014年3月20日

コメント

タイトルとURLをコピーしました