思想新聞 2002年11月13日号 アピール2002
有事関連法案の国会審議がようやく再開された。イラク情勢の推移によっては北朝鮮情勢の緊迫化が予想され、有事態勢づくりが急がれるにも関わらず、与党内には来年の通常国会での予算案成立後に処理しようとの声がある。これは平和ボケもはなはだしい態度である。こうした平和ボケが工作船の徘徊を許し拉致という悲劇を招いたのだ。そのことを想起すれば、与野党とも国会審議を遅らせてはならない。断固として今国会での有事法成立をはからねばならない。
1、有事法整備は国家の第一義的責務である。
日本が武力攻撃を受けたり、戦争を仕掛けられたとき、国民の生命・財産や国土を守ることは政府の第一の責務であるはずだ。その責務をまっとうしようというのが有事法案である。そもそも自衛権は合憲である。憲法9条の「戦争放棄」は自衛権まで放棄しているわけでは決してなく、自衛隊は合憲であるとの最高裁判決が確定している(昭和34年、砂川判決など)。また国際法すなわち国連憲章51条は個別的自衛権を国家の「固有の権利」と認めている。こうした国際法さらに日本国憲法で認められた「個別的自衛権」の具体的行使についての「デュープロセス」(適正手続き)がいまだ整備されていないことこそ問題であり、これを整備しようというのが有事法案にほかならない。早急に整備されるべき性質のものである。
2、イラク情勢の推移いかんで北朝鮮情勢は即座に緊迫化する。その備えを国会がなさないのは国民に対する背徳行為である。
イラクに大量破壊兵器破棄を迫る国連安保常任理事会決議が全会一致でなされた。これを受けてイラク情勢は緊迫の度を強めているが、これは米国が「悪の枢軸」と名指しする北朝鮮情勢に即座に跳ね返ってくる。情勢いかんで北朝鮮が工作船活動を再開させることがあり得るほか、NBC(核・生物・化学)兵器を使ったテロや武力攻撃も予想される。またアルカイダなどの国際テロ組織によるテロ活動が予想される。一部報道(朝日11月6日付など)によれば、イラクや北朝鮮は炭疸菌や天然痘などの病原体を使った生物兵器研究を実施しており、イラク周辺国は米国に天然痘ワクチンの援助を要求している。日本が安閑としていてはならない。「悪の枢軸」や国際テロ組織によるNBCテロに厳戒しなければならない。だからこそ有事法案を今国会で成立させなければならないのである。
3、与党の修正案および政府の「国民保護法制」は評価できる。
与党が国会に提示した有事法修正案は、定義があいまいだった武力攻撃事態の「恐れのある場合」を「明白な危険が切迫している」事態と言い換え、緊急事態として新たに「大規模なテロリズムの発生」や「武装した不審船の出現」を設けており評価できる内容である。また国民保護法制は有事態勢づくりの一環として不可欠なものである。一部野党は私権制限を批判しているが、有事に一部の私権が制限されるのはより公益のためには当然のことであり、世界の常識である。修正案と「国民保護法制」は野党の要求を受けて出されたものだ。野党はこれを真摯に受け入れ国会審議を速やかに進めて法案成立を期すべきである。


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