思想新聞2001年12月1日】【マスコミ論壇ウォッチング】
カブール陥落につづきタリバン勢力の拠点カンダハルをめぐる戦闘への米海兵隊の投入と、アフガニスタンをめぐる状況は最終段階に入りつつある。一部に強かった「泥沼化」、「べトナム化」の予想は幸い杞憂に終わろうとしている。
しかし、すでに北部同盟内部での主導権争いが始まっており、暫定政権から民族和解をふまえたアフガニスタン全域を統治する政権樹立までの道のりは、必ずしも平坦ではないようだ。
今回もアフガニスタンをめぐる情勢を理解するために、様々な出版物が出版され、またテレビでは様々な分野の専門家によるイスラム教や原理主義、さらには軍事作戦に関する解説が連日繰り返されてきた。
なかには、例によって関心の高まりをあてこんだ「際物」も少なからず見受けられたが、私達日本人にとっては遠い異国であるアフガニスタンを理解しようと緊急に出版されたアフガニスタンの地図が、書店での隠れたベストセラーになっているという。
ところで、今回のアフガニスタンをめぐる問題については、中東調査会の水口章主任研究員や放送大学の高橋和夫助教授がそれぞれの研究や現地での体験をもとに興味深い解説やコメントを述べていたが、なかでもアメリカでのテロ発生直後から、タリバン勢力の背景、ビンラディンを首魁とするテロ組織「アルカイダ」を生んだイスラム原理主義について、イスラム教及びイスラム社会についての深い歴史的な考察をふまえた山内昌之東大教授の解説や論文には注目するものが多い。
『毎日新聞』の「時代の風」欄の定期寄稿者である山内教授が11月25日付朝刊に寄せた「タリバンの自壊」と題する文章でも、タリバン政権の予想以上に早い崩壊について明快な分析を披瀝されているが、「反テロリズムに向けた国際社会の結束力の過小評価と、アラブはじめイスラム世界の反米感情の過大評価につながる指摘も目立った」との指摘については、反米感情をいまだに引きずっているわが国の多くのメディアは謙虚に耳を傾けねばなるまい。


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