【思想新聞2002年1月15日―マスコミ論壇ウオッチング】
今年は、より大容量かつ高速のインターネット、いわゆる「ブロードバンド(BB)」がわが国でも飛躍的に普及することが予想される。
フジテレビは、この新しいメディアが私たちの社会に及ぼす影響について、1月6日朝の報道番組『報道2001』で、「日本再建への道」と題する特集を組みわかりやすく紹介していた。番組ではいつもの黒岩祐治キャスターと竹村健一氏に加えて、インターネット・ビジネス界の風雲児・孫正義氏、元経済企画庁長官で「e│ジャパン」の旗振り役の堺屋太一氏、自民党の伊藤達也代議士が登場して「BB社会」の未来像について語り合った。
米国に続いて日本でも、ITに対する一時の熱狂が冷め、その反動で現在の不景気が「IT不況」と呼ばれてしまうと、多くの人々はBBのバラ色の未来もにわかには信じられないであろう。ただ、現在のテレビに匹敵する映像と音声を受信するばかりでなく、発信することが可能になることで、少なくとも現在の放送業界が新しい挑戦を受けることは事実のようだ。
この番組では、希望的な意見を述べる竹村氏に、いつもは黒岩キャスターが疑問を呈するのだが、同キャスターが端末をもつ個々人が簡易放送局のような役割を果たすことへの驚きを隠さず、さらにBB導入の経済への波及効果が「少なく見積もっても年間30兆円」との伊藤議員の予測に狂喜乱舞する様は、年頭の椿事であった。
ただ、番組でも指摘された「BB社会」の影の部分については、有効な対応策が早急に練られる必要があろう。現在のレベルのインターネットでもすでに、「出会い系サイト」を用いた凶悪事件が多発しているように、ほとんど規制のないサイバースペースを活用する人々が自分自らを律する良識的かつ良質なマナーやモラルの確立が急務である。さもなければ、高度に発達した双方向メディアとしてのBBが、個人や社会を根底から破壊するツールと化すことになってしまうであろう。


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