国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

21世紀の課題と展望4 政治改革の原点に立ち返れ

思想新聞2001年3月1日号【主張】

 政治腐敗が続いている。ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)事件では小山参院議員の逮捕に続いて村上正邦元労相が辞職、また額賀福志郎前経済財政担当相の資金疑惑も払拭されないままで、政治腐敗に対する国民の不信は一層広がっている。国の舵取り役を担う政治への信頼が損なわれていくことは由々しき事態である。

政治腐敗を解消する四つの方案

 自民党の政治腐敗、疑獄は10年周期で起こると、かねてから指摘されてきた。
記憶に新しいところではロッキード事件の後、リクルート事件が起こり、そうした政治腐敗が時の政権を揺るがし、国の進路に関わる政治課題が先送りされてしまった苦い経験を味わされてきた。
 現在、不況克服のための金融・経済改革や日米同盟を再構築する有事法制や集団的自衛権行使問題、さらに百年の大計となる教育基本法改正をはじめとする教育改革が政治腐敗の嵐によって棚上げされつつある。
 各種世論調査では森首相の支持率は軒並み1ケタ台に転落し、もはや国民の信は消滅してしまった感がする。政治に信頼が持たれなければ思い切った改革などできるわけがない。昨年7月の中尾栄一元建設相による受託収賄事件を受けて「あっせん利得罪法」が成立したが、今日の政治腐敗はもはや一つの法律によって防止できる次元ではない。日本の政治には構造的問題を抱えており、これを克服するには大胆な政治改革が不可欠である。今一度、政治改革の原点に立ち返ってみる必要があるだろう。
 リクルート事件を受けて80年代末に政治腐敗を一層するために政治改革論議が巻き起こり、そこから見いだされた改革案が今日の政治の大河を形成していることを想起しておかねばならない。
 政治腐敗を防止するために第一に取り組まれたことは、選挙制度の改革であった。
 中選挙区は同じ政党候補同士の争いを余儀なくし、そこから過度な派閥抗争が生じるばかりか、政策よりも利益誘導合戦に力点が置かれ、その結果、カネの掛かる選挙を強いられ、これが汚職を誘発する要因とされたからである。そこで政党間の政策争いが軸となる小選挙区制を主とする選挙制度が導入された。
 だが、KSD事件は主に自民党の参院比例区をめぐる汚職であり、参院を含めた新たな制度改革が必要であることを示している。
 第二には、政党・国会の復権によって腐敗の温床とされた「政・官・財の鉄の三角形」の打破がめざされたことだ。
 立法案の多くが行政で作成されているように、政策立案や法律制定といった本来、政党や国会が担うべき仕事まで官僚が行い、官主導の政治形態が「口利き」の背景にあるとされた。今回のKSD事件でも「ものつくり大学」をめぐる「口利き」が汚職の背景にある。そこで、政治資金を個人ではなく政党に集中させ、政党の本来の使命である政策立案能力を向上させ、また優秀な政治家を育成していくべきとされた。
 その結果、政党助成法が作られ、また官僚の政府委員の国会答弁を禁ずる改正国会法が成立した。議員立法づくりも積極的に取り組まれるようになってきた。だが、ここでも党費立て替えなどの従来の手法がまかり通り、政治腐敗を招いた。政党なかんずく自民党が旧態依然の体質を克服できずにおり、政党の資金をめぐる透明性の確保や腐敗防止の新たな仕組みづくりが今後問われてくることになる。
 第三には、中央政府の不透明さと政策実施の裁量の大きさにメスを入れ、行政改革によって「小さな政府」を実現することが目標とされた。
 汚職は、いわゆる補助金行政や許認可、行政指導など巨大な権限が政府に集中しており、それをめぐって起こりやすい。これを解消するために、情報公開法を制定して透明性を増す一方、省庁再編や規制緩和などによって「小さな政府」を目指すことが肝要とされ、今年1月に省庁再編がスタートした。

中途半端な改革で腐敗が生じる

 そして第四には、地方分権を推進するとされた。
 これは中央官僚支配、集権体制を改め地方分権によって、補助金行政を解消し、地方の主体的な取り組みを促すためである。そこで95年に地方分権推進法が施行された。だが、財源問題などがネックになり地方分権は一向に進んでいない。
 以上のような、四点を軸にした政治改革と行政改革を推進することによって、構造的な政治腐敗にメスを入れようとされてきたのである。
 しかし、そのいずれもが中途半端で、とりわけ政治家自身の意識改革がまったくなされておらず、次々に政治腐敗事件を呼び起こしているのが現状である。政治改革は今だ道半ばである。徹底した改革を促したい。

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