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自衛隊イラク派遣 国際貢献新時代に入った

思想新聞2004年2月15日号【1面TOP】

「恒久法」整備に全力あげよ戦後体制では限界に部隊行動、国際基準に転換を

 イラク人道復興支援への陸上自衛隊の本隊第一陣がサマワに入った。同地ではすでに1月に先遣隊が入り、現地の人々から大歓迎を受けている。自衛隊が国際貢献に海外派遣されるようになって丸13年、日本の国際貢献は一大転機に立ったと言ってよい。不毛の憲法論議を越えて「世界の為に生きる日本」を確立していく好機である。当面は憲法解釈の変更、将来的には改憲を見据え、恒久法整備を急ぐべきだ。

 政府は1月26日、陸上自衛隊本隊(約520人)と同部隊の車両など物資を輸送する海上自衛隊に派遣命令を出し、これに基づき2月8日に第一陣の施設部隊がサマワに入った。同下旬から3月上旬にかけて主力部隊が現地入りする。イラク特措法が制定されてほぼ半年、自衛隊イラク人道復興支援がいよいよ本格的に展開される。
 すでに航空自衛隊の本隊は派遣されており、これで陸海空三自衛隊の本隊すべてに派遣命令が出た。三自衛隊が同時に海外で本格展開するのは初めてのことだ。その意味でもイラク人道復興支援は日本にとって歴史的な転換点になる。

妥協せずにテロと戦え

 今回のイラク派遣の歴史的意義は次の三つに集約される。
 第一は、「テロとの戦い」を掲げ、国際新秩序構築のために派遣したことである。自衛隊の海外派遣の道を開いたのはPKO協力法(92年成立)で、初の派遣地は同年、カンボジアだった。しかし、国際社会は9・11事件後、国際対テロ戦という大きな課題を抱え、日本がそれに応えるためにはPKO協力法では行えず、01年にはテロ特措法を成立させてインド洋に護衛艦を派遣、そして今回はイラク特措法に基づいて陸海空三自衛隊を派遣した。
 とりわけ今回の派遣はイラク戦争が米英軍ら「有志連合」による「単独行動」だったという特異な背景のもとで行われた。つまり「テロとの戦い」を掲げて国際新秩序を構築する米国と歩調を合わせての自衛隊派遣である。ここに歴史的意義がある。すでに「有志連合」の37カ国がイラク国内で復興支援を行っている。日本は38番目の参加国になった。
 第二は、「危険の存在」を否定しないで初めて派遣することである。
 これまで派遣地を「安全地帯」と限定してきた。それは武力行使が憲法で禁止されていると解釈してきたからだ。「危険地帯」ならば正当防衛であろうと何であろうと「戦闘行為」は避けがたく、そうなれば海外で「武力行使」という“恐るべき事態”を招くと解釈されたからだ。
 だからPKO協力法でも「停戦合意の必要」や紛争が再発したときの「一時中断」「派遣終了」「武器の使用限定」など、国連が定めてもいない独善的な五原則の足かせをはめている。今回のイラク特措法もその「憲法観」に引きずられ自衛隊の派遣地を「非戦闘地域」に限定した。
 このことによって、あたかも危険のない場所に自衛隊を派遣するかのような錯覚を国民に与えた。だが、こうした認識は国際社会には通用しない。国際貢献に危険が伴うことは常識であり、だからこそ各国は軍隊を中心に復興支援を行っている。わが国だけが「安全地帯」を望むのは、国際貢献とはかけ離れた空想的平和主義と言わざるを得ない。従来の政府は「危険がないから派遣する」といった詭弁を弄してきたのに対して、小泉政権は「危険を承知で派遣する」と一歩踏み出した。これは日本の国際貢献が国際基準に向かって歩み出した歴史的一歩と評価できる。
 第三に、陸海空三自衛隊1000人規模の初の統合的な本格部隊の派遣となったことだ。
 三自衛隊がそろって派遣されたのは初めてのことだ。PKO法に基づく最初のカンボジア派遣(92年)は陸自600人、テロ特措法に基づくインド洋派遣(01年)は海自700人、そしてPKO法による東ティモール派遣(02年)は陸自650人と、いずれも単独での派遣だ。しかし、今回は陸海空三自衛隊そろっての派遣。その意味で初の統合的派遣で、これも従来の憲法的タブー視を乗り越えた。
 このように今回のイラク派遣は日本が「戦後体制」に別れを告げて、新たな国際貢献国家に向かっていく象徴的出来事といえる。

理不尽な憲法解釈の是正を

 これを踏まえて海外に派遣される自衛隊が理不尽に“拘束”されないように法整備を急がねばならない。
 そもそもイラクで使用される軽装甲機動車などの装備はロシアからチャーターされた大型輸送機で運ばれたが、それは空自に輸送能力がないからだ。空自は「航続距離が長いと侵略用に使えるため周辺諸国の疑惑を招く」として航続距離の短い輸送機しか保有できないでいる。
 また陸自も安全を期すなら戦車をもっていくべきだとの主張があったが、これも「武力行使につながる」との理由で排除された。そればかりか海外派遣が「侵略」でないことを示そうと、携行する武器の精度などを詳細に公表し、おまけに現地に構築する宿営地の見取り図まで明らかにし、敵(テロリスト)に塩を送る愚をおかした。
 このように憲法が「武力行使」を禁止しているから相手が撃ってくるまで撃てない、大型兵器は持っていけない、警護活動はできない、他国軍は守れない等々、国際社会の常識から逸した「部隊行動基準」(ROE)を定め、さまざまな制限を課している。これに対して国連の定める武器使用基準は「民間人の保護」と「任務遂行に対する妨害を阻止する」を最低ラインとし、威嚇射撃も認めている。
 そこで、国際貢献を進めるには憲法九条問題をクリアしなければならない。まず九条解釈を変更し、「国際公共利益を実現するための武力行使」を認めねばならない。将来的には九条改正は言うまでもない。と同時に国際貢献の恒久法を整備することだ。
 このことは明石康・元国連次長がすでに、わが国のPKO協力法は国連の多国籍軍活動に対応できないので「多国籍軍協力法」「国際貢献協力法」といった普遍的な法整備が必要だと強調しているところだ(02年12月「国際平和協力懇談会」提言)。もはや場当たり的な時限立法では限界なのだ。
 こうした法整備に早急に臨まねばならない。

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