国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1898号 (令和8年5月1日)

対イラク軍事行動 日本は米英支持を貫け

思想新聞2003年4月1日号【TOP】

世界平和への脅威除去に「大義」まやかしの「反戦」に惑わされるな

 イラクに大量破壊兵器の廃棄を迫る米英の対イラク軍事行動が3月20日から展開されている。これに先だってブッシュ米大統領は17日、全米向け演説を行い、フセイン大統領と二人の息子らに対して48時間以内に国外に出るよう要求し、これに従わない時には武力行使によって武装解除すると明言した。だが、フセイン大統領はこれを拒み、ついに米英の対イラク軍事行動が開始された。これはあくまでも国際社会に対するイラクの脅威を除去しようとするものであり「大義」は米英にある。日本政府がこのことを十分に理解し、米英支持を鮮明にしたことは高く評価されよう。軍事行動による犠牲が最小限に抑え、さらに短期に目的を達成できるように国際社会は結束して米英支援を行うべきである。

ベトナム戦争の教訓生かせ

 戦争か平和か、といえば、平和がいいに決まっている。だが、ときには戦争という手段で真の平和を確立しなければならないことが、現実の国際社会ではあり得るのだ。それは「悪」が攻勢に打って出て「善」に危害を加えている、あるいは加えようとしている場合に適用される定義である。
 かつての韓国戦争がそうである。北朝鮮が韓国に侵略し韓半島が共産化寸前に追い込まれた。このとき、手をこまねいて戦わないのは、北朝鮮に同調したに等しい。かつて米国はフランス植民地だったインドシナに対してフランスの尻拭いのために介入したが、これも決して誤ってはいなかった。米国がベトナム戦争に敗北したのが失敗であって、共産主義と戦ったベトナム戦争そのものを我々は正しかったと確信する。
 実際、米国が敗北、撤退することによってインドシナ三国が共産化されたばかりか、絶好の攻勢機ととらえた共産勢力が世界に跋扈(ばっこ)し、アフリカや中米など各地に共産化が広がり、人類は塗炭の苦しみを味わった。この教訓を忘れてはならない。
 今回もそうだ。イラクの大量破壊兵器の開発・保有を国際社会が容認したとなれば、国際テロ集団や北朝鮮はこれを何と思うか。大量破壊兵器保有へのゴーサインと解釈するに違いない。米国の後退は世界で悪の跋扈を許す第一歩になるのだ。米国一国単独主義を非難する人がいるが、それよりも恐ろしいのが米国一国孤立主義だ。世界平和のために米国の使命は計りなく大きいことを知るべきである。
 反戦運動の欺瞞(ぎまん)性も見抜いておかねばならない。この反戦運動は、中国がベトナムを侵略した時やソ連がアフガニスタンを侵略した時には沈黙していた運動である。米国の核には反対しても北朝鮮の核には黙り続けている反戦運動である。ソ連崩壊後、地下に潜っていた左翼共産勢力がここぞとばかりに地上に現れ世界的に徘徊しているのだ。そうした反戦運動に日本国民は惑わされてはならない。
 今回のイラク問題で見せつけたのが国連の無能ぶりである。国連が平和的に解決できるなら、それにこしたことはない。だが、現実はどうか。第2次大戦後、国連が平和維持機構としての役割を果たしたことは数少ないと言わざるを得まい。戦後、国際的な戦争は合計26回発生したとされるが、このうち国連が承認したのは韓国戦争、ボスニア紛争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争のほぼ四回に留まっている。
 今回、米国の単独武力行使に異を唱えたフランスにしても、コソボやアフリカ諸国やエジプトに対して国連を無視して軍事介入した前科がある。中国もインドやベトナムを攻撃し、旧ソ連はアフガニスタンやハンガリーを侵略した。国連安全保障理事会で拒否権という特権を持つ大国はこのように、自国の都合で国連を無視してきた。今回の正義面はご都合主義も甚だしいと言わざるを得ないだろう。
 しかし、今回の米英スペインの決断は国連決議を無視しているわけではない。国連安保理はイラクに対し、過去12年に実に16回にわたり大量破壊兵器破棄、査察受け入れ要求、イラク国内の人権抑圧、クウェート資産返却、行方不明者捜索などの決議を行ったが、これらをイラクはことごとく破ってきたのだ。
 フセイン大統領は査察を受け入れても巧妙に妨害し、あるいは国連決議を無視し続けて大量破壊兵器を保持するようになった。「フセイン宮殿」(実に21カ所)のうち8カ所が兵器隠匿場所と見られ、ここに国連は無条件で査察団を入れるように主張したが、これも拒否された。にもかかわらず国連はそれ以上のことをせず、イラクの大量破壊兵器開発を容認してきたのである。
 そうした中で2001年9月11日に米国同時多発テロが発生した。イラクはアルカイダをはじめとする国際テロ組織の反米闘争を支援し、彼らに大量破壊兵器を与えている疑念が強まった。そこで国連安保理は昨年11月8日、イラクの大量破壊兵器査察問題に関する決議をアラブの強硬派とされるシリアを含めて15カ国の全会一致で国連決議1441を採択し、イラクに対して30日以内にすべての大量破壊兵器計画、関連施設、原材料などの詳細を申告する要求を「即時、無条件、無制限」で突き付けたのである。
 にもかかわらず、イラクは大量破壊兵器開発を巧妙に隠蔽し、国連査察を妨害し続けてきた。今年に入って、ようやく米英軍の軍事的圧力で査察を小出しに受け入れたものの、これは時間稼ぎの類でしかないことは明らかだ。イラクが国連決議 1441に違反していることは、火を見るよりも明白である。
 いつまでも無意味な査察を継続するわけにはいかない。それこそ時間稼ぎに終わり、過去12年間の教訓を無に帰することになるからだ。しかし仏独は米国への反発やイラクの利権を背景に査察継続を主張し、国連安保理は分裂状態となった。国連安保理が結束した行動をとれない以上、イラクに「逃げ切れる」との間違ったメッセージを送ることになりかねない。したがって国連安保理決議1441が存在し、イラクがそれに違反していることが明白な以上、必ずしも新決議を必要としないとして米英スペインがイラクに対し48時間の時間的猶予を与えて武力行使を決断したことは、世界平和のためには避けて通れない選択であったといえよう。

  対北朝鮮政策の試金石に

 こうして米英の対イラク軍事行動が始まったのである。米英軍はフセイン政権の打倒を目指しているが、これは当然のことである。イラクの脅威とはいったい何か。脅威は「意図と能力」から成り立っているが、しばしば問題にされるのは大量破壊兵器という「能力」である。だが、「能力」は結果であってその原因を創ってきたのは「能力」を作り、かつそれを行使しようとする「意図」の方である。最も問題視されるべきはイラクの「意図」にほかならない。
 いくら能力(軍事力)を擁していても、意図がないなら脅威にはならないことは、米国が日本の脅威と判断しないことからも明らかなところだろう。独裁国家のイラクの場合、「意図」は独裁権力を握るフセイン大統領とその一族にほかならず、米英軍がその除去にあたるのは当然の行動である。国連決議を破り続けてきたフセイン大統領の「意図」こそ最も問題視されるべきものである。その意味で国連決議1441の実行は、フセイン政権の打倒をもって終わるといっても過言ではない。
 したがって国際社会は、米英軍がすみやかに目的を達成できるように支援態勢を強めなければならない。日本は米英への支援を怠ってならない。米英の軍事行動が長期化し泥沼に陥る事態を絶対に避けねばならないからだ。国連は言うに及ばず超大国米国の軍事力を持ってしても国際秩序が構築できないとなれば、世界はどうなるのか、このことを想起しておくべきだ。中東のみならず北東アジアや世界各地で「ならず者」が跋扈する地獄図を現出させてはならないのだ。
 米英支持を鮮明にした日本は国際社会を米英支持に向かわせる外交努力をするべきだ。軍事行動の後のイラク復興については法整備を含めてあらゆる態勢を作っておくべきだ。 それが対北朝鮮政策にも役立つはずである。今回、韓国が米国を支持し工兵部隊のイラク派遣を決めた。これは日韓米の一体化に向けて高く評価されることだ。イラクの次は北朝鮮というのが国際社会の常識であり、金正日総書記もそのことを踏まえてイラク情勢を注視しているはずだ。
 日韓米一体化で国際問題の解決に当たる。この基本的立場があってこそ対北朝鮮政策が生きるのである。このことを決して忘れてはならない。

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