国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1898号 (令和8年5月1日)

世界秩序の構築 国連の抜本改革が不可欠だ

思想新聞2003年4月1日号【主張】

 イラク問題は改めて国連の無能ぶりをさらけだした。イラクに大量破壊兵器廃棄を迫るはずの国連安保理は一致した対応がとれず、これに業を煮やした米英は軍事行動を決断した。米英の軍事行動は昨年11月の国連決議1441を根拠にしており、したがって国連をないがしろにしているわけでは決してない。しかし、イラクに最後通告を下す最終段階で国連安保理は足並みを乱し、本来の機能を発揮することができなかった。

新たな時代に対応できない

 これは今回だけの特異の事例とはいえまい。国連が現在のような脆弱な組織である限り、これからも国連が世界平和の確立にイニシアティブを発揮するのは難しいと言わざるを得ない。
 だから多くの識者から国連改革の必要性が訴えられている。たとえば未来学者のアルビン・トフラー氏は「国連は急速に台頭する(テロ組織などの)ネットワーク型組織に対応するすべを知らない。我々は国際統治の仕組みも徹底的に変革しなければならない」(日本経済新聞3月21日)と指摘している。
 世界平和を脅かす要因がボーダレス化し地球的規模に拡大、その結果、従来の国家間だけで解決する手法が通用しなくなっているのだ。米国は9・11テロ後に国家安保戦略を抜本的に改革し、これまでの国家対国家の対称型だけに備える対脅威戦略を修正して国際テロ集団などから国家国民を守る非対称型をも含めた安保戦略(ブッシュ・ドクトリン)を採用した。
 これを米国単独主義と批判するのは容易い。だが、問題は単独主義との批判を被っても自国や同盟国の安全保障を確保せざるを得ない国際平和機構の脆弱性にある。だからこそ国連改革が叫ばれるのだ。
 現在、世界の紛争は領土・国境紛争をはじめ宗教対立、少数民族問題など多くの分野に及んでいる。しかもイラクや北朝鮮問題で象徴されるように核拡散やミサイル開発など安全保障を脅かす新たな軍拡競争が深刻の度を深めている。また、ポスト冷戦後、世界は一つの市場へと移行しつつあるが、健全な市場を形成するルールや倫理基盤が希薄で金融危機がしばしばもたらされている。
 さらに食糧エネルギー危機が迫っている。人口爆発が続いているのに耕作地は減少し、食糧増産が困難であるばかりか、途上国の著しい工業化によってエネルギー消費も急増、食糧エネルギー危機が遠からず地球を襲うと予想されている。また水問題がいかに深刻かは先に開かれた京都での世界水フォーラムで明らかなところだろう。
 それだけでなく地球環境の破壊が進んでいる。森林破壊や酸性雨、オゾン層破壊、海洋汚染などによって地球環境は著しく脅かされている。新たな感染症としてエイズのみならず、最近では原因不明の感染症「重症急性呼吸器症候群」が東アジアで広がっている。これらに加えて犯罪の急増および国際化も進展した。家族の崩壊が進み離婚の増大や夫婦愛の希薄化によって家庭の教育力が低下し、多くの子供たちが家族愛を十分に受けないままに成人し、それが犯罪社会の温床になっているのだ。
 グローバル・イシュー(地球的問題群)は深化するばかりなのである。この危機に対応する国際組織として国連があったはずである。だが、かつて国連事務総長のダク・ハマーショルドが「国連がつくられたのは、人類を地獄に落とさないようにするためにであって、天国につれて行くためにではない」と述べたように、国連は地獄行きへの「歯止め」としての機能しか担えなかった。その「歯止め」すら今は危ういのだ。今回のイラク問題がそれを見せつけた。
 地球規模で到来している危機が国家の枠組みを越えてボーダレスで襲ってきている。ところが国連は国家の集まりでしかない。国家が自国民の生命と財産を守ることを第一義の任務としている以上、国益と国益の衝突は避けがたい。国連の限界はそこにある。
 しかも第2次大戦の戦勝国集団としてスタートを切った国連には敵国条項があるばかりか、5大国に拒否権を与え「大国一致原則」を採っている。国連軍による軍事制裁が可能ではあるが、「大国一致原則」によってイラク問題のように大国が一致しなければ機能しないのだ。さらに途上国の意見が安保理に反映されないし、加盟国の財政負担のアンバランスおよび国連の肥大化によって財政危機に陥ってもいる。
 こうした諸問題を放置しておいての米国批判は観念論にすぎない。国連改革なくして世界平和はないのだ。文鮮明・世界平和連合総裁は国連に宗教指導者や文化人、教育者らで構成する「宗教議会」を設置し、21世紀の大きな課題である「文明の衝突」を回避できるように抜本的な国連改革案を提唱している。21世紀の現在、われわれは真の世界平和の樹立をあくまでも追求していきたい。

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