国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

日韓米結束で真の平和秩序を 中国、アジア覇権の野心 露わ

【思想新聞2004年4月15日号 1面】TOP

 日本の領土である尖閣諸島の魚釣島に中国人活動家7人が3月24日に不法上陸し、沖縄県警が警官を派遣し全員を入管難民法違反で現行犯逮捕、強制送還した。この事件は単に中国民間人による不法上陸事件ではない。領土拡大の野心を持つ中国政府による計画的犯行といってよい。折しも3月に開催された全人代において中国は軍事予算を伸び率二ケタの大幅増を決定した。これらは共産党一党独裁の中国が経済成長を背景に「アジア覇権」をめざし2015年に米国に比肩する軍事力を保有しようと本格的に動き出した証左だ。この危険な動きを制するには日韓米が結束して中国を「民主国家」へと誘導していかねばならない。

「尖閣侵犯」は計画的犯行
軍事費、再び2ケタ増の伸び

 尖閣諸島・魚釣島に不法上陸したのは「中国民間保釣連合会」という団体のメンバー。同団体は昨年12月に結成されたばかりで、「愛国者同盟」などが主要組織。彼らは主にインターネットで反日活動を展開している。だが、尖閣上陸が単純に民間団体による「愛国行動」でないのは、自由を厳しく規制している中国で彼らは何の障害もなく組織化し行動していることからも明らかだ。ネットで尖閣上陸を予告しており、これを中国当局が知らないはずがないからだ。
 同団体メンバーが不法入国後に沖縄県警に逮捕されると、日頃は厳重警戒中で入れない北京の日本大使館前で日本の国旗を焼くなどの「抗議行動」を行った。これも中国当局は黙認。「民間団体」と当局が二人三脚で反日行動を行っていることを浮き彫りにした。
 こうした活動は領有権や海底資源を手に入れようとする中国の手法と見て間違いない。それは70年代から80年代にかけて、南シナ海の西沙諸島と南沙諸島で実証済みで、①領有権主張②海洋調査③艦艇展開④部隊駐留の四段階で実効支配するというものだ。これが中国の領土拡大の常套手段で、今回の尖閣諸島への「民間団体」の不法上陸はまさにその第一段階に該当する。既成事実を積み上げて、最後には軍部隊を駐留して自国領にしてしまう魂胆なのだ。
 つまり、不法上陸した活動家は中国当局の先兵だ。これに対して日本の対応は甘すぎたと言えよう。送還で済ましてしまったが、本来は逮捕・拿捕・送検の毅然たる対応が必要だ。海保による厳重警戒など再発を許さない体制づくりが不可欠で、主権侵害に対する妥協は許されない。中国は尖閣諸島のみならず、沖縄諸島も中国領だと主張していることを忘れてはならない。
 すでに中国は日本の排他的経済水域(EEZ)内での海洋調査船の活動を90年代以降に活発化させている。国連海洋法条約に違反する中国艦船の活動は03年には8回を数えた。九六年から八年間の違反行為は実に九十四件を数える。もっとも多かったのは99年で1年間に33件。ところが、違法行為は今年に入ってこれを上回る勢いで急増、三月段階ですでに11件発生している。
 とりわけ防衛庁が注目しているのは、石垣島南東海域や沖ノ鳥島北方海域での違法活動だ。同海域は水深5千メートル前後で、一帯を航行する他船舶の動きを捉えやすい戦術的要衝で、中国はここに潜水艦を展開して米軍や海上自衛隊の動きを捉えようとしている(読売新聞三月九日)。「中国は交渉による解決ではなく、海洋調査の実施や海軍艦船の展開など既成事実化を進めることで、最終的な支配権の獲得を計ろうとしている可能性がある」(防衛庁)といえよう。
 折しも三月に開催された中国の全人代(国会)では軍事予算を前年度比11・6%増(二千百億元=約二兆七千億円)とすることを決めた。軍事費は1989年の天安門事件以来、二ケタ増という軍拡を展開、昨年は初めて9・6%に抑えられたが、今年は再び二ケタ増に戻った。中国軍がめざしているのは、ハイテク化とト小平以来の悲願としている「海軍発展戦略」とされる。これは台湾の武力統一のみならず、南シナ海、尖閣諸島をはじめとする海域で領有権を拡大し、海底資源とシーレーンを確保しようというもので、米第七艦隊に匹敵する空母機動部隊の保有をめざしている。
 このまま経済成長が進めば軍事費も順調に伸び、「国防費は2012年頃から大幅に伸びる」(産経新聞3月7日)と見られ、2015年にはついに米国に匹敵する軍事力を保有する可能性が高まってきた。
 現在の中国の領土は、モンゴル帝国に及ばないが清朝支配とほぼ同じ史上最大規模を誇っている。最強の軍事力を持てば、どのような野望を膨らませるのか。共産党一党独裁政権であるだけに警戒を要するのは当然のことだろう。
 ところで全人代では「全面的、協調的、持続可能な発展」(温首相報告)をめざし三農(農業、農村、農民)問題の解決による「共同富裕」が叫ばれたが、中国では高度経済成長に伴う矛盾が噴出しているのが現実だ。例えば都市と農村の貧富の格差は97年の2・47倍から昨年は3・24倍(一人当たり収入)に拡大。農村から都市に流れ込む盲流(無許可出稼ぎ者)は一億人を越え、全人口の7割を占める農民の不満は高まるばかりだ。
 これに加えて過剰投資、エネルギー、輸送、原材料の逼迫、食糧の減産傾向、物価上昇など「積み重なってきた深層の矛盾」(温首相報告)が一挙に表面化してきた。この克服に全人代は私有財産保護や人権保障などを盛り込んだ憲法改正案を採択。しかし、全人代報告によれば汚職が増加し続けている。昨年一年間で収賄や横領など汚職で逮捕された公務員は約4万3千人以上、このうち検察や司法関係者の汚職が22%を占めた。しかも摘発されたのは氷山の一角にすぎない。共産党独裁による腐敗がいよいよ深まり「権銭交換(権力で金を得る)」が中央から地方まで、すそ野を広げている。
 こうした矛盾は本来、選挙による政権選択と三権分立によって解決がはかられる。日本でも高度成長時代に政府は野党から公害や福祉策の不備を突かれ、野党の政策を先取りする形で政権維持をはかった。三権分立が法治国家の公平さを保障するが、その仕組みが一党独裁の中国にはない。だから矛盾は積み重なっていくばかりなのだ。
 そうした中で中国は08年の北京五輪、10年の上海万博を成功させ大国への道を進む算段だが、「民主化」なくして矛盾の克服はあり得ない。独裁政権は国内矛盾をナショナリズムを持ち出して対外行動で問題をすり替えるのが常套手段だ。それだけに「民主化なき軍拡」は東アジアにとってきわめて危険な動向と言わざるを得ない。
 先に総統選挙を行った台湾では陳水扁総統が06年に新憲法を制定し事実上の独立をめざしている。次期総統選は08年だが、こうした台湾海峡の政治日程をにらんで中国はどう出てくるか。これは北朝鮮問題と深く関わっている。日韓米は結束して東アジア情勢に臨み、真の平和秩序を構築していかねばならない。

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