この記事は2013年10月4日に投稿されました。
日米両政府は3日、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を東京都内で開いた。日本からは岸田外相と小野寺防衛相、米国からはケリー国務長官とヘーゲル国防長官が出席した。日米の4閣僚が日本で会談するのは初めてのことであり、安倍首相は「歴史的な意味がある」と強調した。
会談では、自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力の指針(ガイドライン)を2014年末までに改定することで合意した。また会談後には、4閣僚が記者会見を開き、共同文書「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」を発表した。
中国に付けこまれているガイドラインの隙を埋めよ
日米同盟の強化を最も恐れるのが中国だ。現在中国は、尖閣諸島沖での領海侵犯を繰り返しているが、この原因の一つには、仮に尖閣諸島で紛争が起きても、日米の対応が明確になっていないことがある。
現行のガイドラインでは、①平時、②日本に武力攻撃がなされた場合、③周辺事態における日米の対応が定められている。しかし、尖閣諸島など日本本土から遠く離れた島で紛争が起こった場合の対応は想定されていない。
米国はこれまで、「尖閣諸島は日米同盟の適用対象にある」と繰り返し表明してきた。しかし実際に日米の行動や役割を決めるガイドラインには、「尖閣有事」の際の具体的な規定がない。外交専門家の間では、「尖閣有事には米軍は出動しない」といった見方もあるほどだ。
中国がこの状態を熟知していることは間違いない。孫子の兵法には「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」とある。敵の弱点に付けこむのが中国の常套手段だ。残念だが、現在の日米同盟にはこうした中国が付けこむ隙が少なくない。むしろこの隙を利用し、日米の分断を図ろうとする動きすらある。
その意味で、会談がガイドラインの改定を合意した意義は極めて大きい。その中身の中心が離島防衛の具体化にあるからだ。
改定の作業は当初、数年はかかると見られたが、日本側の強い要請で2014年末までと期限が定められた。中国による挑発行為は急激に激化しており、賢明な判断だ。
集団的自衛権の行使容認が急務だ
しかし、ここには大きな問題が横たわっている。集団的自衛権の行使容認だ。政府高官は、「集団的自衛権の問題が決着しないと、日米の役割分担が詰められず、そもそも行使容認を反映しないガイドライン再改定は無意味だ」と指摘する。
自衛隊の行動には制約が多く、自衛権を行使するには、他国からの「組織的、計画的な武力の行使」を受けることなど、厳しい条件がある。武装した外国人が離島に上陸して占拠しても、「組織的・計画的」だと認定されなければ、自衛隊は出動すらままならない。
同様に、中国が明らかに尖閣強奪を目的とした軍事行動を開始しても、日本への攻撃が認められなければ自衛隊の出動は認められない。仮にこの段階で、米軍艦船が公海上で攻撃されればどうなるのか。集団的自衛権の行使が認められなければ、自衛隊は応戦することができない。これでは米軍が動くのは容易ではない。米軍の出動そのものがためらわれることになる。日米同盟が張り子の虎になってしまう。
ガイドライン改定の合意について、ヘーゲル米国務長官は「意義深い一歩」と高く評価した。また、発表された共同文書には、安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認や日本版NSC設置について、「米政府は、これらの取り組みを歓迎し、日本と緊密に連携していく」と明記した。
今だ日本国内では、これらの動きに対する根強い反対論がある。毎日新聞などは、「集団的自衛権の行使容認には当の米国が懸念を示している」という論調だ。こうした中、共同文書が「歓迎」を明言した。反対論に与える影響は大きい。
時間を遅らせるだけの不毛な議論は必要ない。安倍政権には「積極的平和主義」をぜひとも実現してもらいたい。


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