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File-4 科学的社会主義に真の「人権」はない

思想新聞 2000年2月25日号

シリーズ Q&A 共産主義は間違っている!!

人権とは「党に従う者の権利」

レーニンの罪業を暴露したボルコゴーノフ

Q 日本共産党は、「国民のくらし、権利、命を守る」とくり返し、特に人権の確立と歴史的な科学的社会主義運動との関係について強調することが多いのですが、どのように理解すべきでしょうか。

人権確立に「寄与」?

 不破哲三委員長は、次のように述べています。
「人権の確立。基本的人権が、社会の基本的原理としてみとめられて、人権の尊重についての国際条約も結ばれて、そのことが国際的な義務ともなる。これも、20世紀になって初めて起きたことですが、人権の内容に、経済生活の権利まで含まれてきたのも、この世紀の大きな進歩ですね。国民主権、民族の自決、基本的人権――これが世界の主な流れになったというのは、人間の歴史、人類の歴史の上でまさに一時代を画するような画期的なことです。それに加えて、私が強調したいのは、マルクス、エンゲルス以来の科学的社会主義の運動がこの流れの発展に大きく貢献しているということです。マルクスとエンゲルスは、理論と運動の面での貢献ですが、世界で最初の社会主義革命となったロシア革命も、レーニンが指導に当たったソビエト政権の初期の時代にはこの流れの発展に大変な貢献をしました。例えば人権の問題でも、レーニン時代のソ連は、世界の進歩に大きな影響を及ぼしたんです。スターリン時代には、人権の抑圧という面で世界に悪名を流しましたが」(日本共産党の理論的立場 不破哲三委員長に聞く 「赤旗」1月1日付)。

元秘書が犯罪を告発

 いつもながら、多くの欺瞞が含まれた内容です。まず指摘しておきたいことは、彼らが闘い取り、守る人権とは、「共産党に従う人間の権利」ということであり、人間全般のそれではないということです。労働者・農民であっても、共産党に従わない人間には適用されず、人権破綻の極限、すなわち虐殺(粛清という名の)が待ちうけていたのです。それは「科学的社会主義運動」の歴史が実証しています。
 共産主義革命によってどれほど人間の権利、それも生きるという権利が奪われてきたことでしょうか。平成10年まで共産党国会議員の秘書をしていた兵本達吉氏(5回に及ぶ査問を受け除名)は「ソ連では、KGBによって、無実の500万人が銃殺され、4,000万人が強制収容所(ラーゲリー)で殺された。共産党は資本家・地主階級の敵であったばかりではなく、実に、労働者・農民の階級の敵でもあった。それは巨悪であり、20世紀の政治現象というよりは、犯罪現象ともいうべきものであった」(『正論 』平成11年10月号より)として、ソ連の共産主義政権による犯罪性を、自戒を込めて告発しています。

 レーニンとスターリン

晩年のレーニンとスターリン


ボルコゴーノフ著『レーニンの秘密』1992年

 もう一つ、不破氏の欺瞞発言を指摘して、批判を続けます。それは「人権の問題でも、レーニン時代のソ連は、世界の進歩に大きな影響を及ぼしたんです。スターリン時代には、人権の抑圧という面で世界に悪名を流しましたが」との文言についてです。
 ソ連崩壊は、さまざまな形で共産党の罪状を白日の下にさらすことになりました。特にレーニンに関することがよりいっそう明白になっていったのです。その一つに、『レーニンの秘密』(上下巻 日本放送出版協会)があります。これはソ連国防省軍事史研究所長であったボルコゴーノフが、今までソ連に秘匿されていた秘密文書を調べ、書きあげたものです。そこには、暗号をつかった殺人指令の文書や手紙などが大量に出てきており、恐怖支配の路線がどのように形作られていったかが記されているのです。共産党が批判するスターリン路線とは、なんのことはない結局はレーニンが設定したものの継承であったということが良くわかるのです。
 中川八洋氏(筑波大学教授)も次のように指摘しています。
「スターリンがレーニン以上に残虐であったとは決して言えません。例えば、チェーカー(のちのKGB)のシステム。逮捕状なしの逮捕や無制限の拷問、裁判なしの処刑など、人類史上考えられない『悪魔の組織』はロシア革命と同時にレーニンが1917年12月につくったものです。餓死と凍死と背中あわせの重労働の強制収容所(グラーグ)も、100%レーニンが造ったもので、スターリンは引き継いだにすぎません。
 レーニンは1924年に死ぬまでに500万人以上は殺した。スターリンはだいたい4,000万人から7,000万人殺したから、在任期間で平均すればスターリンとレーニンは同じです。レーニンは『座食行為を犯した10人のうち1人をその場で射殺する』などと、農民や労働者で共産党に従わない者は10名につき1人ずつ、無差別に殺せとの命令をだして行きました。これは日本共産党員たちが愛読している『レーニン全集』(大月書店)第26巻(415~424頁)に収録されています」(『諸君』平成11年7月号)

 「前衛」思考が生む欺瞞

 共産党のいう「人権」とは結局、「共産党に従うものの権利」ということなのです。党の原則である「民主集中制」と「前衛」としての共産党という思考が産み出す当然の帰結です。欺瞞を見ぬきましょう。

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