思想新聞2002年10月1日号【主張】
北朝鮮を共産主義から解放しよう
日朝首脳会談を受けて日本の対北朝鮮政策が大きく動き出した。日朝平壌宣言によって国交正常化交渉が再開することになったが、北朝鮮にどう対応すべきか、原点に立ち帰って考えねばならない。
勝共運動の三段階視点
我々は勝共運動を三段階で捉えてきた。第一段階は防備、第二段階は解放、そして第三段階は統一(共同体化)である。つまり、共産主義が攻勢に出ているときには防備が基本であり、防備ができればそれだけで甘んじているのではなく、次には共産主義を解放すべく逆に我が陣営が積極的な攻勢に出ていくことである。これが勝共である。
解放とは共産主義経済体制からの解放、共産主義政治体制からの解放、そして共産主義思想・価値観体制からの解放を意味している。こうした解放がなされれば我々と価値観を共有でき共同体の創建が可能になる。
これを北朝鮮に適用すれば、北朝鮮が積極的な革命工作を展開している時期にはそれに対応する防備体制の構築が不可欠であり、したがって有事立法、スパイ防止法をはじめとする安保体制を強固に作らねばならない。70~80年代がまさにそうした時期であったにもかかわらず我が国は防備体制を十分にとらず、その結果、拉致事件の悲劇を招き入れたといえよう。
90年代においてソ連・東欧圏が解放され、さらに中国が市場経済を導入することによって共産主義は第二の解放段階に入っている。したがって北朝鮮に対しては防備を怠らず、そのうえで我々は積極的な解放攻勢へと移っていくべき時である。金大中大統領の対北朝鮮三原則(【1】いかなる北の武力挑発も認めない【2】韓国は北を傷つけたり吸収する考えはない【3】南北間の和解と協力は可能な分野から積極的に推進する)は、解放段階の初期政策として支持されるべきものだ。
解放段階はせめぎ合いの時期でもある。共産主義がこの時期に息を継ぎ再び攻勢に打ってでる可能性がある一方、共産主義が解体へと導かれ経済・政治・価値観を共有化させて共同体(統一)へと向かっていく可能性も持っている。この両面性を秘めているのが解放段階である。だから前者の危険性を除去せず、かつ後者へと進んでいくためには防備体制を固めつつ、対話と交流を進めていく両面戦略が不可欠となる。
むろん、共産主義はこれを解放段階と見ずデタント攻勢(自らが不利なときは相手を安心させて攻勢期を準備する)という位置づけで臨んでくることは論を待たない。だから解放段階はせめぎ合いとなるのである。
では、北朝鮮に対してどうすべきか。小泉首相の訪朝は北朝鮮を国際的孤立から引き出し、北朝鮮を変化あらしめ北東アジアの平和と安全を確立しようとの動機で行われたもので、したがって高く評価できよう。ただし、その大前提として防備を固めておかねばならない。この視点がマスコミや政界に欠落していることは遺憾である。我々は拉致を許してしまった国家体制不備に対して「痛恨の極み」とする反省心を持たねばならないのである。
本連合は拉致が発覚する以前の78年にスパイ防止法制定運動を起こし、以来、スパイ防止法制定を求めてきた。「スパイ天国」の汚名を返上しないかぎり北の対日工作を許すことになるからだ。だが、マスコミはスパイ防止法に反対し続けた。そればかりか、今なお、拉致の責任を北朝鮮だけに押しつけて自らの責任を回避する一方、有事立法やスパイ防止法制定に反対し続けている。この欺瞞的態度を我々は指弾する。
北朝鮮がデタント攻勢の野心を持たず解放段階を確かに歩んでいくか、その試金石となるのが拉致問題である。金正日総書記は拉致を認め謝罪したとするが、それが口約束に終わらない保障が必要である。生存者の帰還のみならず、拉致問題の徹底的真相究明が不可欠であり、北朝鮮がこれを拒むようであれば信用できないということだ。
また安全保障問題で北朝鮮は「日本国民の生命と安全に関わる懸案が今後生じないよう適切に措置する」とし、国際的合意を順守するとした。これらが確約されるかは米朝交渉の進展を待たねばならない。米国のプレゼンスが北東アジアの安全を保障している以上、米韓の支持なくして日朝国交はあり得ないということだ。
こうした第一段階への不可逆性(共産主義の攻勢を招かない)が保障されることによって第三段階への道を歩むことが可能になる。すなわち日朝国交正常化およびその後に経済援助を行うことができる。それらは自ずから共産主義経済体制・政治体制・価値観体制からの解放のために使われ、南北統一さらには北東アジア共同体創建の基礎となるものである。
以上が勝共運動の三段階から見た日朝交渉への見解である。


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