【思想新聞2000年12月15日号 主張】
共産党第22回大会は、静岡県熱海市で11月20日から24日まで開催され、規約から「前衛党」との表現をなくしたほか、不破哲三議長―志位和夫委員長―市田忠義書記局長の新人事を決めた。また自衛隊を条件付きで容認する決議を行った。これらを志位委員長は「柔軟頑固路線」などと称しているが、共産党の本質にいささかも変更を加えるものではない。共産党の微笑戦術にだまされてはならない。
テロ集団に妥協せず徹底的な追及を図れ
今回の党大会の最大の焦点は党規約の改正である。その第一には、規約一条に新たに「党の名称は、日本共産党である」を盛り込んだこと。第二には、従来の「日本の労働者階級の前衛政党」との規定から「前衛」を削除し、「日本の労働者階級の党であると同時に、日本国民の党」であると変えたこと。第三には、党の組織原則を「民主集中制」としながらも上位下達的な表現を一部緩和したこと。この三点が規約改正の特徴とされている。
とりわけ「前衛」の表現削除と「民主集中制」の緩和が共産党の現実路線への変化と一部で評価されているが、はたしてそうだろうか。
「前衛党」「民主集中制」はレーンが組織原則として規定し、コミンテルン(国際共産党)の加入条件として設けたもので、共産党は創立以来これを踏襲してきた。今回「前衛党」の表現を削ったものの、「労働者階級の党」であると明記していることに変わりがなく、これをもって「前衛」の放棄とは決して言えない。
また共産党はこれまで「民主集中制」のもと「党の決定は、無条件で実行しなければならない。個人は組織に、少数は多数に、下級は上級に、全国の党組織は、党大会と中央委員会にしたがわなくてはならない」(従来の規約十四条)という秘密結社か軍事組織でなくては見られない規定を設け、「鉄の団結」と「査問」という恐るべき独裁政党化してきた。
今回の規約改正でも「民主集中制を組織原則とする」(三条)と明記している。前記の規約十四条の表現はなくなったが、「決定されたことは、みんなで実行にあたる、行動の統一は、国民に対する公党の責任である」(同)と規定し、さらに「全党の行動の統一をはかるために、国際的・全国的な性質の問題については、個々の党組織と党員は、党の全国方針に反する意見を、勝手に発表することをしない」(十七条)と釘をさしている。
どう見ても「民主集中制」を捨てたとは言えない。事実、「(規約の)誤解されやすい表現を改めて国民に分かりやすい内容にした」(不破議長)としているように、組織原則に問題があるから変更したのではなく、あくまでも「誤解」されやすいから表現を変更したにすぎない。本質は何一つ変わっていないのである。
今回の共産党大会での、次なる“目玉”は、自衛隊に関する「新見解」である。大会決議の中で自衛隊について、憲法違反の存在としながらも、急迫不正の主権侵害や大規模災害など必要に迫られた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用するのは「政治の当然の責務」との立場を示した。
「自衛隊は憲法違反」を堅持する不破院政
だが、これも「新見解」というものの、自衛隊を憲法違反とした点で変更を加えていない。共産党が政権参加した場合に限って、前政権からの自衛隊存続を継承することになるから、そうした過度的な時期に急迫不正の主権侵害や大規模災害など必要に迫られた場合、自衛隊を活用するとしているにすぎない。
それも、理論的にそうであって現実的には起こり得ないことで、したがって実際は自衛隊の解消を目指すとしている。その意味では、従来通り自衛隊への協力拒否や反対が継続することは間違いないのである。もちろん、日米安保反対・在日米軍反対も継続する。
このように見れば共産党は何ら変化などしていない。人事では不破委員長が議長、志位書記局長が委員長、市田正義選対局長が書記局長に就き「若返り」を図ったが、これは「不破院政」のもとで志位体制が始動したにすぎない。ここには変化は見いだせない。
共産党が変化したかどうかを見るバロメーターは、あくまでも共産主義を捨てたかどうかである。この点、新規約が「科学的社会主義を理論的な基礎とする」(第二条)と明記しているように、共産党は科学的社会主義(すなわち共産党によればマルクス・エンゲルス・レーニン主義)の呪縛からまったく解放されていないのである。
共産党が「歴史的転換をした」とか「変化した」などとの幻想に惑わされてはならない。


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