国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

日本再生めざし憲法改正を 国際貢献、道徳国家創建の足かせに

思想新聞2002年5月1日【1面top】

国会議員の71%が改憲賛成

 現行憲法が施行されて今年で55年。5月3日の憲法記念日を前に憲法改正の気運がさらに高まってきた。平成13年の始めに衆参両院に憲法調査会が設置され、両院で丸2年にわたって憲法論議がくり広げられてきたが、その結論は論憲の時期を終えていよいよ改憲への具体的スケジュールを論議する時がきたということに尽きるだろう。昨年9月の米国同時テロ事件を契機に世界の安全保障観は大きく変化し、わが国もテロ対策法を成立させ、今国会では有事関連三法案が審議されている。国際貢献においても国内の構造改革を断行するにも憲法改正は避けて通れない。

 衆参両院に設置された憲法調査会は5年間をかけて「論憲」するとしており、このスケジュールでは平成17年まで延々と論議を繰り広げることになる。これは国内外情勢の急激な変化の中であまりにも悠長な話といわざるをえないだろう。
 中曽根元首相は「少なくとも論憲3年、4年目からは各党の改正要綱を論議し、5年目から改正の準備運動に入るべき」(読売新聞4月1日)と述べているが、少なくともこれが変化に対応できる最低限度のスケジュールといえるだろう。
 もはや改憲には与党も野党もない。読売新聞社の憲法に関する国会議員アンケートによると(3月22日付)、憲法改正に国会議員の71%が賛成しているという驚異的な改憲支持率がでている。議員の所属政党別では自民党は97%が賛成。自由、保守両党は全員賛成。民主党は65%、公明党は64%と約3分の2が賛成している。
 これに対し、社民党と共産両党の議員は全員が反対だった。いわゆる護憲政党は共産党と社民党の二党の左翼政党だけになっていることに注目しておく必要があろう。
 自民党では党憲法調査会(会長・葉梨信行元自治相)が憲法草案づくりを進めている。同調査会がまとめた「基本的考え方」は【1】歴史と伝統の尊重の上に立った国家運営【2】国民一人ひとりが自己責任原則に基づき、自らの自由を実現する社会【3】多極化時代にふさわしい安全保障政策の確立【4】国家の非常時に対応する仕組みの構築・地球環境問題といった新しい課題への対応――などを盛り込んでおり、九条改正を念頭に改憲案づくりに取り組んでいく方針だ。
 また自民党はさる2月下旬に 内閣部会(部会長・鴨下一郎衆院議員)と憲法調査会の合同会議を開き、将来、憲法改正が国会で審議される場合に備え、国会法の一部改正法律案、国民投票法案について論議、今国会への提出時期などを検討している。同案は議員立法で提出し、憲法改正案を発議するには衆院で議員100人以上、参院では50人以上の賛成を必要とすること、また国民投票には海外在住者にも投票できることなどを規定している。同案が成立すれば論憲から改憲へと駒を進める態勢が出来あがる。
 一方、野党第一党の民主党は党内に護憲勢力(約3分の1)を抱えているものの、昨年12月に民主党憲法調査会の「中間報告」をまとめた。
 同報告は「憲法の運用において惰性に流され、曖昧さのつきまとう憲法解釈のままに、国際社会の要請や時代の変化に鋭く反応する気概をこの国の人々から喪失させているのではないかとの一抹の懸念も抱いている。他国の紛争はともかく、『日本が平和であればそれでよい』といった偏狭な一国平和主義や、他人のことはともかく、『自分のやりたいことをやっていればいい』といった極端な個人主義を産み落としてきたのではないかと心配している」との現状認識を示し、「活気ある憲法論議を巻き起こし、21世紀の新しい日本にふさわしい憲法のあり方を大いに議論するときを迎えている」として改憲へ一歩踏み込んだ。
 すでに鳩山代表は独自の改憲案を提示しており、民主党が護憲勢力を押さえ込んで改憲政党になれるかが今後の焦点になるだろう。
 自由党は「国家の基本となる新しい憲法を創る」ことを明確に掲げている。同党は昨年12月に「新しい憲法を創る基本方針」を決定し、改憲への国民合意の形成を目指している。自由党の「新しい憲法」は国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調主義の現行憲法の四原則を発展させつつ、日本人の心と誇りを取り戻し、規律ある自由に基づく開かれた社会を創建し、誰もが生き甲斐をもって暮らせる社会、地球の平和と環境に自ら進んで貢献することなどを目標としている。
 保守党はもともと自由党と同じ志をもっていたので改憲姿勢はほぼ同じ。これに対し公明党は護憲を標榜していたことから改憲に消極的だが、先の読売調査では六割を超える議員が改憲に賛成しており、与野党を超えて改憲気運が高まってきたことは間違いない。
 昨年のテロ対策法審議に続いて今国会の焦点の有事関連三法案審議でも集団的自衛権行使問題で憲法論議は必至だ。これを歪な解釈改憲で逃げず、堂々と改憲論議を巻き起こしていく必要があるだろう。前述の読売の国会議員アンケートでは集団的自衛権で「行使可能にすべき」の回答が54%と過半数を超えているのだ。ちなみに有事法案に66%が支持。安全保障問題をテコに改憲へと移っていかねばならないことは明白だろう。

■改憲論議の焦点

 改憲論議の論点を整理しておこう。
[前文]前文はまさに先の大戦への「詫び状」だ。戦後半世紀が経ったのにいつまで「詫び状」を前文に掲げるつもりなのか。前文が憲法精神を明示するというなら、最も重要なのは「国柄」を明示することだ。
[第一章・天皇]第一章で天皇を掲げながら、なぜ天皇が国家元首と明言できないのか。曖昧な天皇条項を改め天皇を国家元首と明記しないと、日本の伝統を守れない。
[第二章・戦争の放棄]自衛権まで否定したかのような条文が戦後日本の安全保障の足かせとなってきたことはいうまでもない。自衛権、国防義務を明示すべきだ。
[第三章・国民の権利および義務]人権ばかりで義務が欠落。家族を解体し、政教「完全分離」で伝統文化を損い、教育荒廃の元凶、国家観の欠落、社会秩序を破壊しかねない「表現の自由」規定等々、戦後日本の最大の特徴である「権利過剰社会」「人権天国」をもたらした。
[第四章・国会]世界ではアメリカのように連邦国家か、それともイギリスのように貴族制国家か、そのいずれかの場合に二院制が採用されている。戦後日本はそのいずれでもなく二院制の在り方を問うべきだ。
[第五章・内閣]首相公選論は即、改憲が必要。非常時条項が存在しない。条文に非常時体制を明記し、本格的な体制づくりが不可欠だ。
[第六章・司法]司法消極主義によって憲法裁判所がない。その結果、「法の番人」としての役割が形骸化し、社会の「法の支配」が危ぶまれ、三権分立が正しく機能しない懸念がもたれる。
[第七章・財政]財政条項が単年度主義を採っており、加えて非常時の財政措置についてまったく触れておらず、不備そのもの。私学助成を違憲としており、現実には全国で違憲だらけの私学助成がまかり通っている。
[第八章・地方自治]条文に地方自治の規定がなく、地方制度の在り方が不明確。
[第九章・改正]国会の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票の過半数で改憲が可能との高いハードルによって今日まで一度も改憲がなされずに解釈改憲を容認し、結局、時代の変化に対応できないでいる。

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