この記事は2013年4月18日に投稿されました。
政府は15日、自然災害や原発事故、テロを含めた事態を「国家的リスク」と位置付け、総合的な対策を講じる国土強靱化計画を、6月にとりまとめる「骨太の方針」(経済財政改革の基本方針)に盛り込む方針を固めた。南海トラフ巨大地震などの自然災害に備えるとともに、テロによる被害も防止・最小化し、早期に復旧・復興できる総合的な対処策を検討していく考えだ。
東日本大震災では、非常事態に対応する体制が十分でなかったために、多くの問題が生じた。そこで自民党では、昨年12月の衆議院議員選挙の際の公約で、「大震災など非常事態に対応した『国家緊急事態体制』を整備します」と明言していた。今回の国土強靭化計画の内容は、これを実現するための具体的な第一歩であり、評価できる。
東日本大震災の教訓を生かせ
そもそも日本では、世界のほとんどの国で制定している緊急事態基本法が存在しない。緊急事態基本法とは、国家緊急事態と呼ばれる状況において、総理が「緊急事態宣言」を発令し、日本国憲法の大原則である「人権の尊重」と「権力の分立」を一定の範囲で制限してでも対処を行うことを可能とする法律である。
東日本大震災では、この法律がなかったがゆえに多くの問題が生じた。私権の制限ができなかったがゆえに、ガソリンや医薬品などを他の地域で制限し、被災地に優先的に送ることができなかった。被災地では道路が寸断されており、救助活動にはヘリコプターが不可欠だったが、肝心の燃料が不足した。また、次々と病院に運び込まれてくる救急患者を診療するために必要な水や医薬品が不足した。当時の菅政権の判断ミスに加えて、法律自体の問題があったのである。
東日本大震災後の状況について、岩手県災害対策本部の様子を描いた「ナインデイズ」(河原れん・幻冬舎)には、当時のことが次のように述べられている。
「しかし、何をしてもいっこうに確保できないものがあった。燃料だ。…県は、緊急時用の燃料を備蓄していない。つまり、緊急車両もこの給油所に向かわせなければいけない。だが、燃料を求めているのは一般市民も同じだ。未曾有の緊急事態で我先にガソリンを確保しようと、すでに各地で混乱も起きている。…どうにかして緊急車両だけに限定することはできないか。…小山は次いで警察にも打診した。しかし、やはり権限がないと断られてしまった。」
「一家でカップラーメンひとつ、柿の種を一日一粒、砂糖をなめるだけ…、ありえない食糧事情が各地から報告されていた。この寒さを空腹で耐えるというのはどれだけの苦しみだろうか。」
「燃料に至っては…ついに緊急車両に入れる燃料すらなくなってしまった。燃料がなければ救助活動すらできなくなってしまう。避難所や医療施設では、石油不足のため暖房をつけることもできず、ひどい寒さに耐えていた。そこへきてこの寒波だ。あまりにもつらすぎる。」
民主党政権時の怠慢を克服せよ
民主党政権でも、災害対策基本法の改正など、緊急時のための法整備の検討はしばしば行われてきた。しかし「人権左派」が多く所属していた民主党では、非常時においても基本的人権を過度に重視する傾向がみられ、抜本的な改正には踏み出せなかった。いわゆる「骨抜き」にされたのである。
高い確率で予想されて首都圏直下型地震や有事、テロなどが起これば、これまでの経験では考えもつかなかったような大混乱が生じうる。現状の法制度下では、そのような事態において国家と国民を守ることができないのは明白だ。一日も早い法整備が必要だ。
いかなる事態においても国家が国民を守るというのは、独立国家として当然の責務である。安倍政権の待ったなしの課題と言えるだろう。
2013年4月18日


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