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少年法改正に厳罰も盛込め

思想新聞1998年6月25日号 主張

 少年凶悪事件が多発していることを受けて、法務省は7月にも法制審議会を開き、少年法の審判手続き規定の改正などを諮問する。かねてから少年法の欠陥が指摘されていただけにこの諮問は遅すぎる感がある。審判手続き規定だけではなく、適用年齢の引き下げなど総合的に改正点を洗い出し、少年法改正を早急に実現させるべきである。

 全犯罪の半分が少年犯罪の現実  

 少年犯罪は交通事犯を除く全犯罪のほぼ半分(49.2%=96年度)に達しており、したがって、犯罪の半分は少年法で対処されていることになる。ところが、少年法は少年の保護・育成を重んずるばかり、成人に比べて処分が軽すぎるのではないかとの問題点が浮上していた。
 たとえば、年少少年(14、15歳)は刑事罰を受けないが、殺人や傷害などの刑法少年の4割が年少少年で占められているのである。また、少年法で最も重い少年院送致でも長くて3年で社会に出てくる。少年犯の再犯率が2割を超え、再犯をしなくても精神病になる少年が少なからず存在するのは、甘い処分によってその少年の道徳観念が崩壊してしまうからだ、と専門家は指摘している。
 また少年法は、刑事事件のように事実認定が行われず、真相究明が十分になされない。これでは犯行を否認する少年に対応できないばかりか、山形マット死事件では素直に事実を認めた少年が処分を受け、嘘を突き通して否認した少年が処分を逃れたと思われるような理不尽な結果を招いている。
 このことは逆に冤罪事件も起こりうるわけで、少年法は社会正義を守る上でも大きな問題をはらんでいると言える。
 さらに少年法では審判が非公開で、そのことによって事件が闇に葬られるケースが少なくない。昨年の神戸少年事件では、少年に腹部を刺されて重傷を負った少女の母親が「どうして娘が被害にあったのか、真相を知りたい」と主張。神戸家裁は異例の決定理由の一部開示に踏み切ったが、被害者やその家族の痛みを柔らげるには到底いたらない。
 つまり、少年法は 
1.甘い(年少少年に刑事罰を問わないなど) 
2.見えない(非公開原則によって処分に至った過程が不透明) 
3.あいまい(真相究明がなされない)の三つの問題点を持っているのである。

法務省の改正点は「甘い」に無対処

 以上に対して法務省が今回、少年法の見直し項目として検討しているのは、 1.審判にあたる裁判官を複数にする 2.少年の身柄拘束ができる観護措置期間(最大28日)の延長 3.審判に検察官を関与させ、審判結果に不満な場合は抗告権を認める 4.成年の刑事裁判における再審請求に似た「救済手続き」の導入 5.少年事件の被害者が審判に立ち会えるなど被害者に配慮した措置の導入――である。
 これでは「見えない」と「あいまい」については改正されるが、肝心の「甘い」についてはタナ上げにしたままである。少年法の最大の欠陥を放置し続けることになる。
 少年法が少年の観護教育に主眼を置かれていると言うなら、なぜ監督者(親)の責任について明確にしないのだろうか。親に監護教育の義務があるとして少年の責任を小さく見るなら、当然、親の責任が問われるべきである。だが、少年法にはそうした条文はまったくない。ちなみに、米国では十六の州で罪を犯した少年だけでなく親にも処罰条件を設けている。
 少年法改正に当たっては、少年個人だけではなく親・家庭・社会といった視野にまで広げて、総合的な視点で取り組むべきである。

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