国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1898号 (令和8年5月1日)

参議院選の選択肢は何か

思想新聞1998年7月5日号 主張

7月12日に投票が行われる参議院選挙は、21世紀の日本の行方を選択する重要な国政選挙である。しかし、争点がはっきりせず、盛り上がりに今一つ欠けている。有権者は未来を選択する重要性に目覚めて責任をもって一票を投ずるべきであろう。

国際貢献国家への脱皮が最大の争点  

 21世紀に向けて日本の課題はなんであろうか。 第一には、「世界の中の日本」として国際貢献国家の明確なビジョンを確立することである。
 現在、世界は転換期に直面している。ポスト冷戦の国際新秩序が描き切れない中で、印パ両国の核実験が象徴しているように、平和維持機能は流動化している。日本は国連常任理事国入りを表明しているが、真に世界平和に責任を持つ国へと脱皮すべきである。
 さきの通常国会ではPKO協力法の改正がなされたものの、国連平和維持軍の本体業務(PKF)は参加を凍結したままである。国際貢献への日本の姿勢はいまだ曖昧模糊としている。これを明確化するのが政治の使命である。
 また、世界の大きな変化に対応できないところから金融危機を招き、日本の不況を引き金にしてアジア全体の金融危機を招来したことを想起すれば、いわゆる政策不況は国際問題と言わねばなるまい。
 第二には、国の「改革」を一貫して実行していくことである。
 国際貢献国家として生きていくためには、規制緩和や行政スリム化など「小さな政府」に転換し、また国際基準(グローバル・スタンダード)を受け入れざるを得ないであろう。
 80年代後半から取り組まれた政治改革は、選挙制度の改革という入口で終わっているが、本来は選挙制度改革に続いて政党改革と国会改革(立法府改革)を断行し、政治主導、つまりリーダーシップの所在を明確にした上で、「小さな政府」(行政府改革)として省庁再編と地方分権を実現するのが目的である。
 これが中途半端に終わっているから、いつまで経っても官腐敗がなくならないのである。改革の継続が不可欠である。
 一方、国際基準の受け入れについては批判も少なくない。しかし、ヒト・モノ・カネが世界をめぐり、もはやいずれの国も一国主義では生存できない今日、世界の共通ルールをつくっていくことは地球的な至上命題である。その意味でも日本は国際基準づくりに積極的に当たらねばなるまい。

個人から家族尊ぶ社会に転換不可欠  

 第三には、そうした改革に対応すべく社会の在りようを変革することである。
 たしかに、国際基準は自由化に向かっており、自己責任社会への変革が迫られることになろう。そうなればなるほど、国民が利己的な個人主義に陥らず、社会秩序と正義を重ずる「公の精神」の高揚が求められる。「公の精神」を前提として「私の自由」が存在しなければ、放任・放縦な社会に陥り、権利だけを主張して義務を怠る犯罪社会になりかねない。

 そこで重要なのは、道徳・倫理観の確立である。戦後社会は個人主義を前提に権利ばかりが声高に叫ばれ、義務意識が亡失されてきたが、これを改めて道徳・倫理観を国民に定着させていくには、価値の基準を個人から家庭へと移していく必要がある。家庭こそ道徳・倫理観の最高の養成場であるからである。
 以上のような国家的変革が21世紀に向けて行えるよう道筋をつけるのが、今回の参議院選挙の争点であるはずである。小手先の施策に迷うことなく、大局に立った審判を下してもらいたい。

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