国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

自衛隊の中米派遣を歓迎

思想新聞 1998年11月15日号 主張

 政府はハリケーンで甚大な被害を受けたホンジュラスの要請を受けて、国際緊急援助隊派遣法に基づく自衛隊派遣を行う。自衛隊が同法で海外派遣されるのは今回が初めてのことである。遅きに失した感がするが、わが国が世界の平和の安全のために貢献するのは当然のことであり、自衛隊のホンジュラス派遣の成功を祈りたい。

6年間も凍結の自衛隊海外派遣

 さきごろ中米諸国を襲った超大型ハリケーンは、数万人規模の死者を出し「西半球で最悪の災害」(米国際開発局アウトウッド長官)という大惨事を引き起こしている。現在もなお多くに被災者が路頭に迷い、伝染病の発生など二次災害の懸念が広がっている。
 この事態に対して、すでに国際的な支援活動が動き出している。米国は7千万ドル相当の緊急援助を行うことを決め、10日にはゴア大統領夫人を団長とする緊急調査団を派遣した。こうした中で、日本が国際緊急援助隊を派遣するのは同隊が設置された趣旨から考えて理にかなったことといえよう。
 同隊は、わが国の緊急援助が金銭面に偏りがちで他国から疑問の声が出されたことから87年、金銭面だけでなく人命援助や復旧作業などの面でも機敏な援助活動を行うために設置された。当初は消防や警察のレスキュー部隊や医療チームを主体とする援助隊だけで運用されてきたが、大災害の場合、衣食住まで自前で賄える完結型の本格的な援助隊の派遣が不可欠とされ、92年に同法を改正、自衛隊が国際緊急援助隊派遣を行えるようになった。
 これに基づいて自衛隊は医療部隊(270人)と航空部隊(360人、中型ヘリ6機、大型ヘリ4機)、給水部隊(140人)が常時待機させている。しかし、法改正から6年を経た今日まで一回も海外派遣されることはなかったのである。
 今回、ホンジュラス政府から自衛隊派遣の要請があり、被災地の状況から自衛隊の派遣が妥当と判断された。陸上自衛隊中部方面隊第10師団から医官ら約80人がC130輸送機5、6機で派遣される見通しである。
 われわれは自衛隊の初の自然災害救援派遣が速やかに行われ、ホンジュラス政府の期待に応えて被災した人々に役立つことを切に願う。わが国の国際貢献が見える形で世界で展開されることは、きわめて意義深いからである。

積極的に自衛隊海外派遣活動を

 これをもって「自衛隊の海外派遣の地ならし」との批判が一部左翼から出されているが、こうした批判はまったく当たらない。
 第一に自衛隊の国際緊急援助活動を「軍事行動」などと捉える国は世界には存在しない。ましてや今回、ホンジュラス政府の要請で派遣するのである。第二には、阪神大震災で明らかなように大災害の場合、「自己完結能力」を有する本格的部隊の活動が不可欠であり、今回のハリケーン被害の状況から考えて、自衛隊部隊の派遣が妥当である。
 むしろ、政府はもっと積極的に自衛隊の国際緊急援助隊の派遣を各国に働きかけるべきである。92年に同法が改正されて自衛隊が加えられたのは、国連平和維持活動(PKO)協力法制定と対になっていることを想起すべきである。
 また、これをもってわが国が人的な国際貢献に乗り出すことをも世界に表明したはずである。自衛隊のPKO派遣は行われているのに、国際緊急援助隊は6年間も派遣されなかったことは異常である。
 今回の中米派遣を突破口にして、さらなる積極的な国際貢献の在り方を探っていくべきであろう。

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