国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

北朝鮮不正輸出摘発 スパイ防止法が必要だ

思想新聞2003年5月15日【主 張】

 核開発に転用可能な電気部品を北朝鮮に不正輸出しようとした在日朝鮮人の経営する会社が警視庁によって摘発された。こうした事件は度々発生している。世界が北朝鮮の核開発を阻止しようと躍起となっているときに、日本がその技術の提供国になろうとしていたとは、何とも呆れた話である。
 これを単なる不正輸出事件で済ませてはならない。北朝鮮系企業の背後にはスパイ・ネットワークが張り巡らされており、そうしたスパイ工作の一環としてこの種の不正輸出が行われているのである。この背景を見落としてはならない。スパイ防止法制定を改めて訴えたい。
 摘発されたのは、東京都大田区の「明伸」という会社で、同社はコンピュータなど電子機器の心臓部とされる「直流安定化電源装置」3台を北朝鮮に輸出しようと企て、今年4月にタイに向け不正輸出、これを経済産業省は中継地の香港で差し押さえ、警視庁に外為法違反容疑で告発していた。
 日本の現行法のもとでは外為法違反容疑であっても、北朝鮮はこうした技術入手を対外スパイ部門が担当していることを忘れてはならない。スパイ工作員を潜入させて情報・技術を手に入れることも、企業を通じて情報・技術を手に入れるのも、彼らにとっては同じスパイ活動なのである。
 北朝鮮のミサイル開発には日本の技術が使われているばかりか、直接に日本人技術者がかかわっていたとされる。また韓国への侵入用の潜水艦用具に日本の製品や技術が多数使われていたことはよく知られた話だ。
 今回、不正輸出が企てられた「直流安定化電源装置」は北朝鮮の核開発に利用されるものだった。「明伸」は2000年9月にもウランを遠心分離する際に必要な「周波数変換装置」を北朝鮮に無許可で輸出しようとした前科がある。こうしたことから核開発用の技術を北朝鮮が執拗に日本に求めていることがうかがえる。
 当然、こうした製品や技術獲得には北朝鮮の在日組織が深く関わっている。「明伸」もまたそうした一企業であって、この種の企業は日本国内に少なからず存在していると見ておかねばならない。そして、こうした企業がどのような技術をどう獲得するか、あるいはそれを北朝鮮にどう搬入するかといった指導は、北朝鮮のスパイ機関と在日のスパイ組織が担当していることも想起しておくべきだ。
 今年1月には日本を足場に対韓国工作を行っていた元朝鮮総連幹部の男が警視庁によって摘発されている。この人物は昭和24年に日本に密入国した後、別の在日朝鮮人になりすまして不法滞在し、別の名前や本名、日本人名を使い分けていた筋金入りのスパイだった。
 しかもこの間、3回にわたって北朝鮮に渡り工作活動の教育を受け、工作指令は北朝鮮の不定期貨客船「万景峰号」が新潟港に入港した際、船内で受けていた。今回の「明伸」の場合はどのように工作指令を受けていたのか、警視庁は徹底的に真相を究明すべきだろう。
 元朝鮮総連幹部は他人名義の外国人登録証を所持していた「公正証書原本不実記載」で書類送検されただけであり、今回の「明伸」関係者は外為法違反容疑である。いわば微罪で済まされることになる。
 核開発やミサイル開発に転用できる技術は「戦略物資」と呼ばれ、輸出が規制されている。技術立国の日本にはこうした「戦略物資」が広範囲にわたって存在するところから、北朝鮮のみならず外国機関はその獲得を目指して日本で徘徊しているのが現状である。
 90年代以降に摘発された不正輸出事件としては、①91年8月、「日本航空電子工業」が空対空ミサイルの飛行安定装置をイランに輸出②94年3月、千葉県内の商社が軍事衛星に転用可能な電子機器を中国に輸出③99年2月、「日立電子」が核兵器開発に転用可能な精密測定装置を中国に輸出④2000年1月、「サンビーム」が対戦車ロケット砲に使われる照準レンズをイランに輸出⑤02年12月、「セイシン企業」がミサイルの固定燃料製造に転用できる粉砕機をイランに輸出――など、多数にのぼっている(日経新聞5月9日参照)。
 米国が「悪の枢軸」と名指しにしているイランや北朝鮮に「戦略物資」が簡単に流れていることは世界平和への重大な背信行為と言わなければならない。その意味でこの種の事件を多発させている日本は世界平和を脅かす国家と断じられても言い訳ができまい。
 こうした事件の背後には間違いなく各国のスパイ機関が動いている。その意味で摘発される企業は氷山の一角にすぎないのである。したがって、この種の事件はスパイ事件として厳しく取り締まらなければ再発を防止することはできない。
 スパイ防止法を制定し「スパイ天国」の汚名を返上しなければ、わが国は世界平和に貢献する国にはなりえないのである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました