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■さらなる有事態勢づくりへ全力をあげよ■

思想新聞 2003年5月17日号 アピール2003

 有事関連法案が5月15日、共産、社民の左翼政党を除く与野党一致のもとに衆院で可決、参院に送付されたことで同法案は今国会で成立することが確実となった。我々は有事法整備が一歩前進したことを歓迎する。しかし、これをもって有事態勢が盤石というわけではない。残された課題は多い。真の主権国家をめざして、さらなる有事態勢づくりに取り組まなければならない。

1、国民保護法制を早急に成立させよ。その際、民間防衛を明確に位置付けよ。

 今回の有事関連3法案の成立では国民保護法制を1年以内に整備することが付帯決議にうたわれている。福田官房長官が国会で説明した国民保護法制の概要によれば、①国は武力攻撃事態への対処方針を策定し自治体の要する費用を負担する②国は武力攻撃災害の予測や発生した時に警報を発令する③自治体対策本部に自衛官を含む国の職員の出席を認める④正当な理由なく土地、家屋の使用を拒否した場合、同意を得ず使用できる⑤損出を受けた者、死亡、負傷者に補償し、命令に従わないときは罰則を適用するーなどが、国民保護法制の柱となるとしている。しかし、単なる国民保護を論じていれば、有事は他人事となってしまう。国民自身が主体的に有事に対応していくことが必要であり、それには避難・誘導などの日頃の訓練が不可欠なほか、民間防衛に関わるシステムを構築しなければならない。

2、米軍支援および自衛隊支援の法整備を急げ。

 今国会での有事法整備でも米軍と自衛隊の支援が不足している。米軍と自衛隊の燃料、水、食糧などの相互提供が現行法のもとではできない。米軍との共同行動については96年に締結された「物品役務相互提供協定」(ACSA)が存在するだけである。しかし同協定はPKOと共同訓練、周辺事態に対応できるだけで、米軍と自衛隊の日本国内での共同行動についての法整備が不可欠である。さらに自衛隊の行動を支援する法整備が空白となっている。民間の船舶・航空機に航行制限区域の制定などが必要である。さらに捕虜の取り扱いなどの法整備もしておかねばならない。

3、集団的自衛権行使を政府解釈で明確に打ち出し、専守防衛も見直せ。

米軍と自衛隊の共同行動をスムーズに行うためには集団的自衛権行使を明確にしておかねばならない。将来のミサイル防衛に際しても、敵からミサイル発射の可能性が出た場合、敵のミサイル基地を先制攻撃する行為を専守防衛の範疇(はんちゅう)に入れ、非常事態宣言を発令し有事態勢がとれるように法整備をしておかねばならない。

4、スパイ防止法を制定せよ。

 政府は北朝鮮のミサイル発射実験に備えて3月に情報収集衛星(偵察衛星)を打ち上げ、これまで独自に入手できなかった軍事施設の整備状況などを情報収集し、念願の情報戦態勢をスタートさせた。情報とは収集のみならずその的確な分析、そして保管をもって完結するのであり、情報が敵国に筒抜けではその情報は死んだも同然である。情報の保管すなわち国家機密保護(スパイ防止)なくして情報は生かされない。有事法整備でも情報が最も大きな課題となる。敵がいつ、どこで、どのような手段を使って有事を起こすのか、その情報なくして有事態勢が築けないことは明白であり、逆にいえば敵もまたわが国の防衛体制の情報を盗み出そうと躍起となる。情報は国家の安全保障の命運を握っている。にもかかわらず有事法論議ではスパイ防止法制定の視点がまったく欠落している。加えて先に北朝鮮系の在日企業が核開発転用可能な技術を不正輸出して外為法違反容疑で摘発された。その背後にはスパイ組織があることが歴然としている。スパイ防止法をもって摘発しなければ背後組織はつぶせないのである。ゆえにスパイ防止法を早急に制定しなければならない。

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