思想新聞2003年3月15日号【マスコミ論壇ウオッチング】
近未来のビジョンを呈示できぬまま、「ほかの誰が首相になっても今のデフレは克服できない」と言い放つことで、民心がさらに離れることに、小泉首相は気が付いているだろうか。
もしこのまま事態打開に向け「くにたみ」の心を汲む政策を示し、推進できなければ、「ポスト小泉」が日程に上りかねない。
そうなれば、都知事選への再出馬を表明したとはいえ、石原慎太郎氏の動向に再び注目が集まることは必至。物議を醸す発言を繰り返し、都庁での会見で各記者をからかい、適当にあしらう姿に支持者は溜飲を下げているのだろうが、傲慢だと反発する向きも少なくなかろう。
その石原氏が3月3日、月に一回寄稿している「産経新聞」の「日本よ」という論文でイラク問題に関連し、世界的に高まりを見せている「反戦運動」の危うさを指摘した毎日新聞の高畑昭男記者の意見を紹介している。
「毎日新聞」2月26日付朝刊「記者の目」欄の「イラクにどう対処する」という文で高畑記者は、「戦争反対だけでいいのか」と問うている。
冷戦終結直前のヨーロッパで反核運動が燃え上がっていた時、軍政下のポーランドの市民は高畑記者に「なぜ欧米の知識人や民衆は、ソ連を利する反戦運動に酔っているのか」と訴え、中には「レーガン政権にはどうか核戦争の脅しでソ連を屈服させてほしい。息もできぬ抑圧の下であと何十年も暮らすより、核戦争の犠牲になった方がましだ」とまで言い切る人々さえいたという。
同記者はさらに、「問題は『国際社会対イラク』で、被告席にあるのはフセイン政権だ。それなのに『反戦か、参戦か』『米国に異議を唱えるか、付き従うか』の単純な二分法で選択を迫り、『非はブッシュにあり』の結論にこじつけるのは余りの筋違いではないだろうか」と指摘。
米国と共にイラク攻撃を決意している英国のブレア首相は、ことあるごとに国民の説得に努め、若者向けの音楽番組に出演して反対する若者達とも討論を重ねている。今、わが国において必要とされているのは、小泉首相による成熟した世論形成への真摯な努力ではないだろうか。


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