国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

憲法・教育は21世紀最大の政治テーマ

思想新聞2001年5月1日号 1面

「国家の基礎は家庭」の明記を
国民の6割が支持する憲法改正

昨年から国会に設けられた憲法調査会では日本国憲法に関する議論が交わされている(2000年4月27日、国会・衆院分館第18委員会室=産経)

 日本国憲法制定から55年目を迎えた。昨年3月、読売新聞が行った全国3千人の有権者を対象にしたアンケート調査では、今の憲法を「改正するほうがよい」と答えた人は60%に達した。その理由として最も多かったのが「今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」であり、46%であった。
 昨年1月、衆参両院に憲法調査会が設置され、本格的論議が始まってからすでに1年以上が経過している。「憲法改正」論議が、液状化する日本政界再編の基軸となりうるだろうか。「21世紀初頭の我が国最大の政治テーマ」(中曽根元首相)である。

 小泉純一郎・自由民主党新総裁はかねてより憲法改正を明言してきた。
 一昨年の11月21日テレビ朝日の報道番組において、将来的には民主党との連立に期待を表明した上で「与党第一党の自民党と野党第一党の民主党が合意して改憲を行うべきだ」と強調したのである。目指すべき改正内容について「九条を改正し、武力行使をしない自衛隊の海外派遣をしっかりやって国際貢献をすべきだ。首相公選制も唱えてきたがこれも改憲が必要だ」と述べている。4月24日総裁選後の記者会見においても改憲の必要性を述べている。
 さらに、昨年12月27日までに、自民党最大派閥である橋本派が憲法改正の基本方針案をまとめている。現行憲法は「戦後日本の発展に大きな役割を果たした」としながらも、「少子・高齢・人口減少社会の到来、グローバリゼーションの深化などの社会変化が生じている中、新しい国家像・国家目標が求められる」と述べ、改正の必要性を強調している。その内容は、(1) 自衛のための軍隊の保持を明記 (2) 集団的自衛権の行使と国連などの集団安全保障への軍隊の派遣を可能にする (3) 天皇を「元首」と明記する――などを特徴とし、今後3~5年を改正実現の目標として掲げている。首相公選制に関しては「人気はあるが適性に欠ける首相が選ばれ、外交や安全保障の面で判断を誤る恐れがある」とし反対を鮮明にしている。しかし、方針案といっても現段階では分科会の論議にとどまっている。野中広務元幹事長ら一部幹部には憲法論議に踏み込むことに慎重であり、橋本派全体のコンセンサスが得られるかどうかはいまだ流動的である。
 自民党の中では最も憲法改正に熱心であるのが山崎派である。来る憲法記念日(5月3日)をめどに、同派か山崎拓会長の試案として憲法改正案を発表する予定となっている。山崎氏もまた、21世紀の最初の政治テーマは憲法改正と公言している。小泉新総裁とともに動き出す可能性がある。
 さらに江藤・亀井派においても、与謝野馨・元通産大臣を代表とするプロジェクトチームが試案づくりにすでにとりかかっており、参院選挙前には試案を取りまとめるとしている。同派においても、中曽根康弘元首相らの了承のもと、首相公選制を含め検討に入っているのである。
 ここで、改正論議のテーマとなっている内容をまとめておこう。

 《前文、全般》
【1】翻訳調で日本語としておかしな表現が多い【2】日本の歴史、伝統、文化に言及する
 《天皇》
【1】元首であると明記する【2】外交儀礼のみ元首として扱うことを定める
 《安全保障》
【1】自衛のための軍隊の保持を明記する【2】国連決議に基づく多国籍軍もふくめた国連の平和維持活動への参加・協力を明記
《国民の権利と義務》
【1】国民主権を天皇の条文より先にする【2】皇室伝統の儀式や戦没者慰霊行事などが問題にならないように政教分離規定を見なおす【3】国がどこまで教育に関与することができるか明確化【4】情報公開、プライバシー権、環境権などを付け加える【5】権利の乱用を防ぐために「公共の福祉」を独立させて規定する【6】国民の国防の義務を付け加える【7】国家の基礎は家庭であることを明記
 《国会》
【1】参院に条約と人事案件で優越権を与える【2】一院制にする【3】参院は選挙によらない名誉職的な議員で構成する
 《内閣》
【1】首相が欠けた場合の規定を設ける【2】首相公選制を導入する
 《司法》
【1】裁判所を新設する
 《財政》
【1】私学助成が違憲と解釈できる現状を変える
 《地方自治》
【1】国と地方自治体の役割の明記
 《憲法改正》
【1】改正の条件明記
 《その他》
【1】政党について規定【2】国民投票制度の導入【3】緊急事態での内閣への権限集中、国民の権利制限をさだめる

 論点を列記すればこのようになるが、重要度は違う。〈天皇〉〈安全保障〉に関する内容とともに、〈国民の権利と義務〉における「【7】国家の基礎は家庭であることの明記」は不可欠の要素であることを強調したい。
 有権者に対するアンケート結果を見れば、確かに「改正すべき」の声は多い。しかし、問題は憲法に対する関心の低さである。(前述の読売新聞が行った調査で、憲法調査会に関心がないと答えた人は51%であった)自分の生活とは直接関係もないので読んだこともないという人も多い。なぜ関心の高まりがないのか。一つは、現行憲法が上からの移植によるものであったという事実。しかし、それだけではない。そもそも憲法とは一体何かについて、日本人に共通の了解とイメージがないのである。
 幸い野党においても、鳩山由紀夫氏や小沢一郎氏など改正に積極的な指導者がいる。この国のかたちをどうすべきかについて、国民の関心を高め、選択肢を提示することこそ政治家が第一義とすべきことである。憲法改正を軸に政界再編、大連立をなしとげなければならない。ここに日本再生がかかっているのである。

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