国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1898号 (令和8年5月1日)

テロ対策の課題安保・軍事態勢の一環で臨め

思想新聞2001年9月15日号 【主張】

 米国での同時多発テロは日本のテロ対策の課題を突き付けている。国民の平和と安全を守るために今、日本は根本的な変革を迫られている。小泉首相の「聖域なき構造改革」は経済・財政問題に偏重しているきらいがあるが、安全保障面での構造改革に本腰を入れるときがきたといえよう。

情報戦の観点が不可欠な対テロ

 テロ対策で第一に重要なのは、「情報」である。今回の米国の多発テロは情報戦での敗北と指摘されている。CIA(米中央情報機関)がテロ情報の入手を怠ったとの批判を受けているように、まず重要なのが情報である。情報は収集、分析、保全の三つのプロセスで把握しなければならず、これを経て情報は生きた情報となる。CIAも漠然としたテロ情報は得ていたものの、犯人グループの所在やテロ決行の目標、日時などを分析できず、結局、数千人の犠牲者を出すに至った。
 この教訓を顧みれば日本は米国よりもっと悲惨な立場にあることがわかる。そもそも日本はCIAのような本格的な情報機関を設置していない。しかも情報保全システムすなわちスパイ防止法すら制定していない。情報において日本は丸裸なのである。これを改革にするには、情報戦に備えた本格的な国家体制づくりに着手しなければならないことは自明の理である。
 98年8月の北朝鮮によるミサイル発射では防衛庁がミサイル情報の収集に手こずり、安全保障の基礎となる情報面が”穴だらけ”である醜態をさらけだした。それを受けて情報偵察衛星を保有することを決めている。今回のテロでは情報は単に国家を対象とするだけでなく、過激グループなど幅広く行っていく必要性を浮き彫りにした。したがって情報に関する政府の基本的認識を明確にしておかねばならない。
 大量殺りくテロは「戦争と見なす」(ブッシュ大統領)という視点で捉え、テロもまた国家の安全を脅かす「脅威」として認識しなければならないだろう。脅威は「意図+能力」によって判断されるので、したがって情報収集も本来は「意図」と「能力」の両面で行われるべき性質のものだ。「意図」は形状的な軍事情報だけでは測れない。指導者の政治意識や経済状況、国民の社会心理など総合的な判断を加えて、はじめて「意図」が明確になる。
 「能力」はいわゆる軍事情報である。偵察衛星の保有は軍事情報を得ようというもので、ミサイルについていえば射程距離や搭載能力、基数などの情報を把握する。同じように過激グループによるテロを想定する場合、彼らがどのような武器でどのような方法で攻撃を加えようとするのか、その攻撃能力を軍事情報として性格に掌握しておかねばならない。「意図」と「能力」が正しく把握できてはじめて「脅威」の判断が下せることになり、結果、テロを封じる手だてを打つことができる。
 テロ対策として第二に重要なことは、防止・戦闘態勢を構築することである。
 テロが海外から仕掛けられることを考慮すれば、当然、同盟国との連携が不可欠である。現に、今回のテロ事件で日本政府は在日米軍基地・施設へのテロ攻撃を想定している。そしてテロが単なるテロという次元ではなくブッシュ大統領が指摘するように「戦争」という視点で捉えれば、当然、テロ防止・戦闘態勢も戦争への対応として取り組まねばならない。
 つまり、テロ対策でも集団的自衛権の行使に踏み切るべきである。日本がテロ攻撃で危機に陥った場合、これは明らかに有事で、したがって日米安保条約に基づいて米軍の出動もあり得るし、米軍基地が攻撃された場合は集団的自衛権を行使し自衛隊の出動も視野に入れなくてはならない。
 その際、治安出動という立場も考えられるが、平時においても自衛隊が米軍基地を守ることができ、そして武器使用が可能になるように自衛隊法を改正しておくべきである。防衛庁は都市ゲリラ戦を重視し始めているが、当然、テロ対策も念頭に置くべきである。

有事を想定してテロ対策構築を

 現在、政府は不審船や武装ゲリラの侵入から沿岸・重要施設を守る領域警備の一環として、自衛官や海上保安官の武器使用規定を緩和するため自衛隊法などの改正案を臨時国会に提出しようとしている。ここにテロ対策も加えねばならない。
 また警察においては米国のFBI(連邦捜査局)のような全国レベルの機動部隊を設置するなど、本格的なテロ対策を講じておかねばならない。
 いずれにしても「予測不能な攻撃」(ブッシュ大統領)の脅威は米国だけを標的にしているとは限らない。米国の同時多発テロを教訓に、有事態勢の一環としてトータルなテロ対策を構築していく必要がある。

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