この記事は2013年1月15日に投稿されました。
中国人民解放軍を指揮する総参謀部が全軍に対し、2013年の任務について「戦争の準備をせよ」との指示を出していたことが明らかになった。昨年まではなかった非常に強い表現である。
中国の主要メディアは今年に入り、「尖閣戦争」を想定した番組を連日のように放送しているという。出演しているのは中国軍シンクタンクの幹部である羅援少将や尹卓少将らなどだ。彼らは習総書記と同じ太子党のメンバーであり、習総書記の意向が反映している可能性が非常に高い。
つまり戦争への指示は、軍部が暴走して独自に出したものではなく、習総書記からの指示であると考えられる。習指導部は、いよいよ日本との戦争に向けて、大きく一歩を踏み出したといっていい。
尖閣2月危機が近い
今年に入り、中国からの尖閣への圧力が強まっている。安倍内閣が本格始動した1月7日には海洋監視船4隻が領海侵犯し、8日未明まで領海内に居座った。昨年から領海侵犯を繰り返している監視船「海監」や、12月に初めて領空侵犯したプロペラ機「Y12」は、国家海洋局の所属であり、事実上海軍の支配下にある。繰り返される侵犯行為は、海軍の意向によるものだ。
なぜ海軍が、ここにきて尖閣への圧力を強めているのか。この背景には、人民解放軍内で繰り広げられている権力闘争がある。中国では、3月5日に全国人民代表大会(全人代)が開幕される。日本の国会にあたるこの大会では、各省庁の1年分の予算が決められる。ここでできるだけ多くの予算を勝ち取るために、各省庁間で激しい権力闘争が繰り広げられる。当然軍部もその例外ではない。軍部の中では、陸軍、空軍、海軍が、予算の取り分を巡って熾烈な闘争を展開するのだ。
尖閣有事の可能性が高まれば、海軍としては予算獲得の格好の理由づけになる。特に尖閣は、海底に豊富な地下資源が眠っていると見られており、海洋資源の権益を握る海軍にとって尖閣奪取は悲願でもある。海軍にとって尖閣での有事は、「予算獲得」と「権益拡大」の両方を狙える大きなチャンスということなのだ。
海軍にとって目障りなのが陸軍の影響力である。昨年11月、党中央軍事委員会の副主席に元空軍幹部の許其亮が選出された。それで現体制下では、空軍の存在感が急速に高まっている。海軍は、これ以上の存在感を示す必要がある。それで領海侵犯だけではなく、領空侵犯にまで挑発をエスカレートさせたのだ。
このように見れば、全人代が始まる3月を前に、海軍が具体的な紛争をしかけてくる可能性も十分に考えられる。これが「尖閣2月危機」だ。
習近平は、軍人事の主導権を昨年11月の党大会で胡錦濤に奪われた。習は巻き返しを図るために、軍の保守派と連携して主導権を取り戻そうとしている。その格好の材料が日本との戦争というわけだ。
中国の内部を知れば知るほどに、尖閣危機は現実味を帯びてくる。
日米同盟を基軸とした防衛体制を整えよ
日本の防衛は、自衛隊だけでは困難であり、米軍とともに行動することによって役割を果たせるようになっている。しかし日米の信頼関係は、民主党政権の間に地の底まで落ちてしまった。信頼関係がなければ、兵士が血を流してまで米国が日本の防衛に取り組む保証などどこにもない。だから安倍政権は、この関係を回復することが急務だ。
そのためにはまず、集団的自衛権の行使を可能にすることだ。
現在国連は、世界警察のような役割を果たせていないため、各国が防衛のための戦争を行う「個別的自衛権」を独立国家の権利として認めている。いわば国家の「正当防衛」のようなものだ。しかしこれだけでは、軍事力の弱い国家は、軍事力の強い国家に容易に負けてしまう。そこで国連は、同盟国とともに防衛のための戦争を行う権利も認めている。これが「集団的自衛権」だ。
しかし日本では、「集団的自衛権は保有するが、行使はできない」という不可思議な解釈がある。これが日米の信頼関係に大きなくさびを打ち込んでしまっている。米軍が日本の防衛のためにともに戦ったとしても、自衛隊は米軍を敵から守ることができないのだ。「なぜ米兵だけが一方的に犠牲にならなければならないのか。」この疑問に、日本は答えられないのである。
政府は集団的自衛権の行使容認について、幅広い検討を始めた。中国の危機は目の前にまで迫っている。一刻も早く集団的自衛権の行使を可能にし、米国とともに、尖閣有事に対する具体的な対応策を準備すべきだ。
2013年1月15日


コメント