この記事は2011年2月13日に投稿されました。
『世界思想』3月号が発刊されました。特集は「情報リテラシー戦争 ネット時代への対応」です。ネット社会が国家を揺るがしていますので、この特集を組んでみました。
「情報リテラシー戦争」で世界は大きく変化する
個人と個人をつなぐフェイスブックやツイッターなど、ネット上のソーシャルメディアが、磐石な基盤を誇ったはずのアラブ諸国を直撃しました。チュニジアの「ジャスミン革命」がアラブ最大の大国エジプトへと波及し、ムバラク大統領はついに辞任に追い込まれ、さらに他のアラブ諸国を揺さぶっています。もうひとつネットが国家を揺るがしたのは、内部告発のウェブサイト「ウィキリークス」です。昨年11月、米国政府の公電を暴露し、クリントン米国務長官は“弁明外交”に追われました。ウィキリークス代表のアサンジ氏は、公電はまだ一部しか暴露していないと、うそぶいていますので、これから何が出てくるのか、米政府は戦々恐々です。
そればかりではありません。サイバー戦争が熾烈に繰り広げられています。とりわけ中国は数10万人規模の「網(ネット)軍」を編成し、米国や日本など自由諸国のサイトに侵入し、機密情報を奪ったり、サイト改ざんなどをやっています。2009年3月、台湾の情報機関、国家安全局は08年に中国から受けたサイバー攻撃は3100回を超えたと発表しています。目的は機密情報の窃取です。その一方で、アラブ諸国以上に独裁国の中国はジャスミン革命やエジプト政変に衝撃を受け「ネット遮断」に血眼です。加えて日産ルノーの電気自動車(EV)技術が中国のスパイによって漏洩しました。フランス政府は中国との経済関係を考慮してスパイの国名を明らかにしていませんが、中国なのは明白です。こうした状況を「情報リテラシー戦争」と名づけてみました。
いま必要なのは倫理に裏打ちされた情報伝達
ネット上では児童ポルノなど有害情報も大問題です。こうしたネット社会、情報社会において、私たちはどのような姿勢で臨むべきでしょうか。本連合創設者の文鮮明師は、世界のマスコミ、ジャーナリスト関係者を一同に会して「世界言論人会議」を開催してきました。その基本的スタンスは「自由なきところには自由言論を。自由のあるところには責任言論を」です。責任言論とは倫理性に裏付けされた言論、情報公開のことです。前者は冷戦時代にワシントンタイムズなどを通じて、共産圏の解放に尽力したことで知られています。
「ジャスミン革命」で思い出されるのは、1989年11月の「ベルリンの壁」の崩壊でしょう。これを機にソ連・東欧圏が共産党独裁政権から解放されました。この壁を破ったのは実に情報でした。
1989年6月、レーガン米大統領は「情報こそが力を持っている。いかなる軍隊よりも、外交手段よりも、通信技術の革命こそ、人々の自由に向けて前進させるもっとも大きな力となり得る。この革命こそ、世界がかつて見たこともないような力を持っている」と訴えました。レーガン大統領は共産主義を旧約聖書に出てくる巨人ゴリアテに、そしてコンピュータのマイクロチップをゴリアテを倒した少年ダビデに喩えました。通信技術革命で「ダビデ」を得た西側の人々は、強力な電波で西側の情報を東側に流し続け、勇気づけられた人々が立ち上がって、東欧さらにソ連を解放したのでした。これこそ「自由なきところに自由言論を」でしょう。
それから20年以上を経て、いまは携帯電話、フェイスブック、ツイッターです。これらの情報は個人に依拠し、溢れかえっています。まさに自由です。ですから今、必要なのは「自由のあるところには責任言論を」であり、高い倫理性が個人においても問われています。そうした基本的指針を文鮮明師は2001年1月に東京で開かれた世界言論人会議のメッセージで提示しておられます。同会議には元米国務長官のアレキサンダー・ヘイグ氏も示唆に富んだ講演をされました。それらを3月号で改めて紹介しました。ネット社会を考える一助になれば幸いです。
チベット国旗は実に日本人がデザインしていた
チベット問題を考える会代表の小林秀英先生のインタビューはとても興味深い内容です。小林先生は真言宗智山派雪蔵山十善院を建立された住職で、チベット仏教への造詣も深く、「チベット亡国の悲劇を繰り返すな」の心情が読者に響いてきます。特に明治時代から日本人はチベットと深く関わり、何とチベット国旗「雪山獅子旗」は日本人がデザインとしたというお話には驚きました。詳細は本誌でどうぞ。
イラスト学習講座「大真裏」は、今号から「ファーブルと進化」です。ダーウィンとも親交があった生物学者ファーブルが、いかに進化論に反対していたか、彼の著作『昆虫記』から紹介していきます。漫画でわかりやすく、進化論批判が学べると思います。3月号もご愛読、よろしくお願いします。(国鱒)
2011年2月13日


コメント