思想新聞2002年5月1日【マスコミ論壇ウオッチング27】
「今回のクーデターはメディア、特にテレビの支援なしに起き得なかった。メディアの動きを許し続ければ、いつか戦争になるだろう」
これは、先ごろのクーデターで騒ぎで一度は大統領の座を追われながら短期間で復権を果たした南米・ベネズエラのチャべス大統領の言葉である。
「強いロシア」の復活をめざすKGB出身のプーチン大統領も反政権寄りのメディア・グループを弾圧し、親プーチン一色で固めたように、民主主義の経験の短い国では、メディアの扱いが権力者にとって頭痛の種のようだ。
ところが、日本では日頃、一般市民から時の権力者の生殺与奪を握っているメディアが、一致協力して政府のメディア規制法に反対するという大キャンペーンを展開している。
右は読売新聞から左の朝日新聞まで、また、フジテレビ「スーパーニュース」の安藤優子キャスターから日曜の定番「サンデープロジェクト」の田原総一朗キャスターまで揃い踏みで、今回のメディア規制法の反対運動を展開している。
しかし今回のメディア規制の動きは、無責任な報道によって致命的な被害を被る例が相次ぎ、いわゆるワイドショーのレポーターが、政治家やスキャンダルの渦中にある人物に対し、まるで芸能人に対して浴びせるような非礼で品位を欠いた非常識な質問をするといったことへの反発が招いた、という事態への反省抜きに行われているところに問題がある。
マナーを欠き、メディアに対して弱者の立場に立つ者たちへの配慮を著しく欠き、自分たちへの批判は許さない、といった独善的な姿勢は、まさに「第四権力」と呼ぶに相応しい横暴さである。
「身から出た錆」とでもいうべき今回のメディア規制の動きに対して、昨今の目に余る自分たちの横暴さに対する真摯な反省を示すことなく、「言論の自由」や「表現の自由」を声高に叫んでも、世論の支持は得られず、メディア規制法の成立を阻止することはできないであろう。


コメント