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北朝鮮 核兵器開発認める これでも有事法 制定しないのか

思想新聞2002年11月1日号【1面TOP】

まず安保態勢を構築せよ
日韓米で国際包囲網を

北朝鮮が核開発を進めていることが明らかになった。米国務省が10月16日に発表した声明によると、先に平壌で行われた米朝高官協議で北朝鮮は数年前から核兵器開発を目指したウラン濃縮計画を進めていることを認めたばかりか、94年の米朝枠組み合意が無効になっているとの認識を示した。これは北東アジアの平和と安全のみならず、世界の平和を脅かす国際社会への重大な背信行為である。日本は米韓との連携を強化し、北朝鮮の核開発を中止に追い込まねばならない。また、わが国の有事法整備の必要性が一層はっきりしたといえる。

 米国務省の声明によると、米国のケリー国務次官補が10月3日から北朝鮮で行われた米朝高官協議で、北朝鮮が核兵器に使用するためのウラン濃縮計画をもっていことを「証拠」を突き付けて迫ったところ、北朝鮮はこれを認め、さらに米朝枠組み合意が無効になっているとの認識を示したという。
 これは米朝枠組み合意を踏みにじり、核拡散防止条約(NPT)に違反する国際社会への二重の背信行為である。
 北朝鮮は、ソ連が崩壊した90年代前半から核兵器の原料製造が可能な黒鉛減速炉の開発を進めたため、韓半島では核危機が急浮上した。これに対処するため、91年11月に訪朝した世界平和連合の文鮮明総裁は金日成主席と会談、同主席との間で「核エネルギーは平和的目的にだけ使用し、北朝鮮は道理にかなう国際核査察を受けることを確認する」(91年12月6日)などとする4項目合意を行い、さらに94年10月に北朝鮮は米国との間で「米朝枠組み合意」に調印、核開発を凍結すると国際社会に約束した。
 その見返りに、米国は核兵器に転用しにくい軽水炉型原発を提供するとともに、同原発完成までの代替エネルギーとして毎年50万禔の重油を提供することにし、95年3月には原発建設の国際事業体として米国、日本、韓国、EU(欧州連合)などで構成する朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が創設された。建設費46億ドルのうち日本は10億ドルを負担、今年八月初めには北朝鮮咸鏡南道の琴湖地区で原発建設の基礎部分へのコンクリート初注入も始まった。
 しかし、北朝鮮はこうした国際公約を踏みにじって極秘裏に核開発を進めていたのである。
 米朝枠組み合意で北朝鮮が凍結していたのは、原発からプルトニウムを取り出して製造する「プルトニウム型」(長崎投下型)である。これに対して今回、明らかになったのは特別の核施設でウランを濃縮して製造する「濃縮ウラン型」(広島投下型)だ。前者の場合は起爆装置が複雑で爆発実験なしでは使用が困難だが、後者は起爆装置が簡単で実験なしでいきなり使用できるとされる(広島投下も実験なし)。つまり、核兵器として実戦配備が簡単なものを北朝鮮は開発しているのだ。工作船によって日本に持ち込んで爆発させることも可能と指摘されている。
 こうした開発にはパキスタンにノドン・ミサイルを輸出した見返りに同国の核技術を入手している可能性が高く、北朝鮮は実験なしでも配備が可能との見方がある。核の運搬手段について専門家の間でも意見が分かれているが、仮に核弾道の小型化に成功しているなら日本全土を射程距離に入れるノドン・ミサイルに搭載できる可能性がある。
 日朝首脳会談で金正日総書記は「米国が(核能力で)優位か、核戦争をやってみないとわからない」と述べたといわれる(産経10月20日)が、米政府高官が指摘しているように核兵器の標的は日本であることは間違いない。だから核開発とミサイル開発は表裏一体のもので、日本は絶対にこれを阻止しなければならない。
 しかも北朝鮮の脅威はこればかりではない。韓国国防省の発表によると(今年9月16日)、北朝鮮は30種類の生物・化学兵器を保有している。このうち神経ガスなど17種類の化学兵器を5千~2千5百トン保有し、年間4千5百万トンの製造能力を保持。また細菌兵器など13種類の生物兵器を保有し、年間1トンの生産可能体制をしいている。こうした生物・化学兵器はミサイルに搭載したり工作船で持ち込んだりして使用可能で、これらも日本の直接的脅威となっている。
 だからこそブッシュ大統領は北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しで糾弾してきたのだ。共産党や社民党、朝日新聞などの左翼勢力は米国の「悪の枢軸」論に批判してきたが、現実は米国の主張どおり北朝鮮は「悪の枢軸」だったのだ。
 米国は「北朝鮮はイラクと違う」として、中国やロシアにも働きかけ外交交渉で北朝鮮に核開発中止を迫っていく方針だ。しかし、イラクとの二正面作戦を避けるために当面は外交交渉で臨まざるを得ず、イラク問題が決着すれば軍事手段も含めた強硬姿勢に転じるとの見方もある。
 いずれにしても、国際社会は団結して北朝鮮に核開発を中止させる国際包囲網を結成していく必要がある。国連安保常任理事会でこの問題を取り上げ、北朝鮮に核開発阻止決議を突き付けねばならない。同時に北朝鮮に次のことを求めていく必要がある。
 第1に、北朝鮮は核兵器の製造、取得を禁じた核拡散防止条約(NPT)を順守し、すみやかに国際原子力機関(IAEA)の国際核査察を受け入れ、「IAEA追加議定書」に署名し発効させなければならない。包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名しかつ批准しなければならない。92年に発効した「朝鮮半島の非核化に関する南北共同宣言」を完全に履行しなければならない。
 第2に、北朝鮮は核兵器の運搬手段となるミサイル技術の拡散を防止するミサイル関連技術輸出規制(MTCR)に加盟し同ガイドラインの順守を表明して、ただちにミサイル輸出を放棄しなければならない。「ミサイル発射モラトリアム」を2003年以降も国際公約しなければならない。日本全土を標的にしているノドン・ミサイルを撤去・破棄すべきである。
 第3に、北朝鮮はあらゆる種類の化学兵器の開発、生産、取得、保有、使用を禁止し、保有する化学兵器の遺棄および関連施設の破壊を義務づけた化学兵器禁止条約(CWC)に調印し、保有するすべての化学兵器を破棄すべきである。生物兵器禁止条約にも同様に対応すべきである。
 日本としてはさきの日朝平壌宣言で「双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を順守することを確認した」とあることを踏まえ、今後の日朝国交交渉で核開発中止、国際的合意の順守を強く要求すべきことは言うまでもない。
 同時に日本政府は北朝鮮の変化だけを待つという消極姿勢に終始すべきではない。国民の生命と財産を守ることが国家の第一義的な責任であることを自覚して、国際的には集団的自衛権の保持・行使を明確にし、国内的には自衛力の拡充を図るとともに有事法、国民保護法、スパイ防止法など有事法整備を早急に行わねばならない。
 北朝鮮は60年代の「四大軍事路線」以来、軍国化を国策の中心に据えており、今年の年頭スローガンも「強盛国家建設」である。こうした北朝鮮の軍事中心の国家体制の一環に核開発・ミサイル輸出があるのだ。
 したがって日米韓は連携を強化して北朝鮮に軍事体制の放棄を迫っていかねばならない。これなくして北東アジアに平和は到来しない。

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