国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1898号 (令和8年5月1日)

イラク自衛隊派遣戦後日本の真の転換期 自覚を

思想新聞2004年1月15日号【主張】

 政府は1月9日、陸上自衛隊のイラクへの先遣隊の派遣命令を下した。航空自衛隊の先遣隊はすでに昨年末にクウェートに赴いており、これで本格派遣への準備が整い、2月中旬にも本隊が派遣されることになる。
 今回の自衛隊のイラク派遣は特別の意味を持っていることを自覚しておきたい。それは戦後日本が長く縛られてきた「一国平和主義」から解放され、世界に向かって新たな第一歩すなわち国際貢献国家に踏み出す象徴的出来事になることである。派遣される自衛官はテロや襲撃もあり得る危険な地域で、生命を賭して国際社会が求めるイラク復興支援に当たる。したがって国民は敬意と感謝の念で彼らを送り出さねばならない。
 と同時に以下のことを留意しておく必要がある。

テロに屈さない固い決意が必要

 第一に、イラクへの自衛隊派遣は日本が世界に向かって「テロに屈さない」を身を以て示すことになる。国民はその覚悟を改めて固めねばならない。
 イラク戦争の本質は国際的な対テロ戦の一環である。9・11事件では邦人も犠牲になったように、国際テロはイラク復興支援関与の有無に関わらず、わが国をターゲットに据えている。テロリストは暴力によって自己の意思を貫こうとする。これに戦うにはたとえ犠牲者が出ようとも、暴力によっては決して自らの意思が曲げられない確固たる態度を貫くことである。その国民意思が問われる。
 第二に、イラクへの自衛隊派遣は日米同盟の絆を一層強化することを意味している。しかし、日米同盟は必ずしも双務的ではない。真の同盟関係に発展させるために、わが国は諸体制を改革しなければならない。
 何と言っても不可解なのは、同盟であるにも関わらず、わが国は集団的自衛権行使ができないとする憲法解釈に固執していることである。これは国連憲章(国際法)からも逸脱する異様な有りようである。日米安保条約では日本の有事の際、米国は日本のために駆けつけるが、米国が有事の際、日本は米国に赴くことをしない。国際社会にはあり得ない片務条約であり、こうした歪な関係を解消しない限り、真の同盟関係を構築することはできない。このことを改めて認識しておく必要がある。
 第三に、イラク復興支援によってわが国は国際貢献国家としての姿勢を鮮明にすることになる。しかし、国際貢献体制があまりにもずさんであり、その改革が不可欠となる。
 自衛隊派遣に際して、不毛の論議が繰り返されているのは周知のとおりだ。すなわち、憲法では「武力行使」が禁止されているから、相手が撃ってくるまで撃てない、大型兵器は持っていけない、警護活動はできない、他国軍は守れない等々、国際社会の常識から逸した「部隊行動基準」(ROE)を定め、制限が課せられている。これでは国際貢献活動に支障が出るのを避けられないばかりか、自らの生命もかえって危険にさらすことになる。
 そこで見直しが必要になるのは、憲法解釈である。九条に記されている「武力行使禁止」とは「国権の発動として国家の利益を追求する武力行使」であると解釈されているにも関わらず、これを「国際公共利益を実現するための武力行使」にも拡大解釈し、何が何でも「武力行使」は禁止されているとする。「武力は全て悪」論に陥っているのだ。そこから国際社会で物笑いの種になっている異常な制限を設けている。
 これを改善しない限り、わが国の国際貢献は常にハンディを背負ったままの半人前の国際貢献に終わってしまう。改善とは集団的自衛権行使を認めるように、国際貢献における「武力行使」を認める憲法解釈に転換することである。もちろん、本質的には憲法九条を改正する必要があるが、それまで待つまでもなく政府解釈の転換を行って国際社会に通用する貢献体制を整備すべきである。

情報戦体制も不可欠となる

 第四に、国際貢献国家として積極的に世界平和に関わるには情報体制の構築が求められる。情報オンチ体制からの転換が必要となる。
 今回、自衛隊のイラク派遣に際して携行する武器や派遣日時などを政府はおおっぴらにしている。だが、こうした情報がテロ組織に筒抜けになれば、あらぬ攻撃を招きかねない。情報保護への意識があまりにも欠落している。また、派遣国をはじめ周辺情報を独自で入手・分析できる能力を保持しなければ、派遣の有無に関して独自判断が不可能となる。したがって情報収拾・分析・保護にわたる一連の情報体制を構築しなければ、真の国際貢献国家になり得ない。
 以上のことを留意して、自衛隊のイラク派遣を進めていかねばならないだろう。

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