国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

テロリズムとの戦いと国連の役割

【思想新聞2001年11月1日号】アセンブリ2001 特集スピーチ集

元米司法長官
リチャード・ソーンバーグ

経歴:ペンシルバニア州知事を二期務めた後に、レーガン政権およびブッシュ政権下で三年間(1988-91)司法長官を務め、さらに国連において事務次長(1992-93)も務める。

 きょうはテロリズムとの戦いにおいて国連が果たすべき役割ということについて話したい。最近、国連とアナン事務総長がノーベル平和賞を受賞したが、これは世界平和を維持する上での国連の重要性をいま一度確認したものだ。
 しかし、皮肉にも世界は9月11日に起こった米国への同時多発テロによって、平和に対する未曾有の危機に直面している。これによって国際社会ならびに国連は、平和に対する新しい責任を担うようになった。
 9月11日の出来事は、アメリカだけでなく全世界に対する攻撃である。5千人を超える犠牲者は、軍事的集団でもなく、特定の政治的立場、人種、国籍、宗教の人でもない。このような大量殺戮が、正当な宗教的信仰に基づく聖戦だなどという考えも、完全に間違っている。こんな行為をする主体は、宗教などと呼べるものではない。
 この現状を扱う上で、国連が重要な役割を果たすべきであることは明らかだ。安全保障理事会は速やかにこの行為を非難し、この事件の犯人と支援者を裁きにかけるため協力するよう各国に要請した。同じ日に、国連総会も同様の決議をした。
 テロリズムに対する非難には、テロリストに対する非難も含まれていなければならない。それはこの行為を行った個人や集団を裁きにかけなければならないということだ。米国の同盟国に対して示された証拠によって、オサマ・ビンラディンが今回の事件の首謀者であることが明らかであるにもかかわらず、アフガニスタンのタリバン政権は彼の引渡しを拒否したのであるから、軍事行動によってでも彼を裁きにかけなければならないのである。米国は、国連憲章第五十一条に定められた自衛権を行使しているのである。
 同時に、アフガニスタンの人々が人道援助を必要としていることも理解しなければならない。国の指導者たちが狂信的なテロ活動に専念しているために、国民は最低限の生活水準も保証されないでいる。現在、6百万人のアフガン国民が食糧援助を必要としていると見積もられている。世界食糧機構がこの問題に取り組んでいる。
 オサマ・ビンラディンの脅威とタリバンの勢力が取り除かれたならば、アフガン再建という膨大な事業に着手しなければならない。この段階で国連の果たす役割は重要である。ブッシュ大統領も国連主導の再建を期待している。
 新しいテロの脅威として、炭そ菌の問題が持ちあがってきた。これに対しては国連と世界保健機構の役割が重要だ。イラクのような国に存在する、生物化学兵器を作る能力のある施設に対する国連の査察を再開すべきだ。
 最後に、国連は総会の反テロ特別委員会が起草した、新しい反テロリズム条約の仕事を完結させなければならない。この条約の草案はとりわけ、無実の民間人を巻き込んだテロ行為はいかなる理由によっても正当化されないという点を明確にしている。
 テロリストたちは、50年前に採択された国連憲章に、もう一つの条項を加えようとしている。彼らは、「法による支配」を「力による支配」に書き換えようとしているのである。彼らは暴力によって世界の安定を揺るがそうとしているのである。
 国連が果たすべき役割を六つにまとめると、以下の通りである。【1】9月11日のテロに関して、オサマ・ビンラディンとアルカイーダを裁きにかける【2】彼らを助ける他のテロ組織に対する罰則【3】アフガン国民に対する人道支援【4】アフガニスタンの再建【5】生物化学兵器を含む大量殺人兵器造成の可能性がある施設に対する査察【6】反テロリズム条約の完成――である。コフィ・アナン事務総長を中心とするこれら国連の努力は、ノーベル平和賞の受賞によって世界に認められたかたちとなった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました