国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1898号 (令和8年5月1日)

次回六カ国協議北朝鮮の核放棄が先決だ

思想新聞2003年12月15日号【主張】

 北朝鮮の核開発問題を協議する6カ国協議の年内開催が危ぶまれている。北朝鮮が核放棄を約束するのと引き替えに重油供給を求めるなど、代価を獲得するための条件闘争に入っているからだ。我々はこうした北朝鮮の姑息な外交手段を容認せず、断固として北朝鮮に「検証可能かつ逆行不可能な完全な核放棄」を迫るべきである。同時に6カ国協議では拉致問題の解決を促すべきであり、これらを含め包括的解決を迫っていくべきである。

問題を作り出した北側から変化必要

 さる8月末に北京で開催された6カ国協議では、米国をはじめ周辺5カ国がそろって北朝鮮に核放棄を求めたのに対して、北朝鮮は「核保有」を最大の武器に使って米国に「不可侵条約」を結ばせて「安全の保証」を取り付けようと試みた。
 北朝鮮の要求は、米国が重油提供を再開、食糧支援を拡大すれば核計画放棄を宣布し、さらに米国が不可侵条約を締結し電力損出を補償すれば、核施設と核物資を凍結し査察を許容するというものだった。
 つまり、北朝鮮は核放棄の口約束で米国から重油提供と食糧支援を受ける仕組みで、こうした理不尽な要求を米国は当然のことながら拒否し、結局、6カ国協議は暗礁に乗り上げた。
 その後、10月末に中国の呉邦国・全人代委員長が訪朝し、金正日総書記に米国側の「安全の保証」文書化案を示すなどして6カ国協議の再開を促し、金総書記もこれに原則合意した。
 しかし、北朝鮮は「核保有」を外交カードから手放そうとせず、高飛車の要求を繰り返してきた。北朝鮮の核開発を受けて朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が11月11日、軽水炉建設事業の1年間停止を正式に決定、このまま推移すれば1年後に同事業が完全に終結する。これに対して北朝鮮は「途方もない電力損出」などとして理不尽な損害賠償を要求している有様である。
 言うまでもなく同事業は北朝鮮が核開発を行わない見返りとして始まったもので、北朝鮮自らが核開発を表明した以上、米国が重油提供を中断、そして建設事業を中止するのは当たり前のことだ。それを話を逆転させて「瀬戸際外交」に利用しているわけで、このような不誠実な態度は国際社会は許さない。
 こうした経緯を振り返れば、米国が次回の六カ国協議の共同文書に「完全かつ再開不可能、査察受け入れを伴う核廃棄」を盛り込むよう主張しているのは理解できよう。これに対して、北朝鮮はあくまでも「安全の保証」を共同文書に明記することを求めており、8月時点から態度をほとんど変化させていないのだ。
 北朝鮮が94年に米国と結んだ「米朝枠組み合意」を自ら破った以上、まず先に北朝鮮側が核の完全放棄を明確にさせるのが筋である。北朝鮮が「安全の保証」の文書化を先に米国に求めるのは、それを盾に再び「核カード」を切り、重油や食糧提供を実現させる思惑があるのは歴然としていよう。こうした食い逃げ、時間稼ぎを我々は容認することができない。
 12月4日に米国務省で開催された日米韓三カ国による非公式局長協議では、中国が示している次回の共同文書の草案について検討されたと伝えられる。同草案は北朝鮮が核開発を断念した場合の見返りとして米国からの「安全の保証」のみならず、エネルギー支援や大規模経済協力など北朝鮮が望むさまざまな項目が列挙されているとされ、北朝鮮寄りの内容が色濃く反映されているとされる(産経12月5日)。問題はこの共同文書によって、北朝鮮に「完全かつ再開不可能、査察受け入れを伴う核廃棄」を明確にさせることができるかである。もし、核放棄が曖昧なら当然、こうした共同文書は北朝鮮の口約束に乗せられ、援助だけを与える愚を犯すことになる。日米韓三国はこの点を十分に見極めねばならないだろう。

北朝鮮情勢を直視すべきだ

 北朝鮮が来年の米大統領選を見据えて交渉を長引かそうとしているなら、検討違いもはなはだしいと言わざるを得ない。仮に民主党大統領が当選しても、北朝鮮の核開発を容認する政権など登場する可能性が皆無だからだ。6カ国協議で米国のみならず日中露韓がそろって核放棄を迫っているように、国際社会が北朝鮮の核保有に反対しているのだ。このことを北朝鮮に十分に認識させ、核放棄を明確にさせなければ、「安全の保証」がないことを知らせなくてはなるまい。
 我々日本としては、6カ国協議では核問題だけでなく、拉致問題を含めた包括的解決を迫って行くべきことは、言うまでもない。ミサイルや生物・化学兵器などの大量破壊兵器問題もないがしろにできない。こうした包括的視点を日米韓三国が共有し、北朝鮮に対応せねばならない。

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