思想新聞2004年3月15日号【1面TOP】
狙いは伝統的家族の破壊日本への波及を断じて許すな
ジェンダーフリーの次なる策動か
米国の大統領選候補は共和党がブッシュ現大統領、民主党がケリー上院議員で事実上決まり、いよいよ11月の本選挙を目指して本格的に動き始めた。ケリー氏はベトナム戦争の従軍経験を背景に「安保・外交に強く、ブッシュに勝てる候補」を強調しているが、ここにきて全米的な政策論争として高まってきたのが「同性愛結婚」問題だ。ケリー氏の地元マサチューセッツ州の最高裁が「同性婚を禁じるのは州憲法違反」との判決を下したことをきっかけに、全米でリベラル派が同性婚の認可運動を始めたからだ。米国では七〇年代に文化共産主義者がウーマンリブ運動を通じて伝統的家族を崩壊させようとし、それが時間差で日本に持ち込まれ新左翼運動を形成したが、今回もこれに追従して同じ運動が国内で仕掛けられる可能性が大きい。ジェンダーフリーの次なる家族崩壊策動として警戒が必要だ。
家族・結婚問題が米大統領選の争点として急浮上してきたのは2月に入ってからだ。昨年11月にマサチューセッツ州の最高裁が「同性結を禁じるのは州憲法違反」との判決を下したのを契機に、同性愛結婚をめぐって全米で論争が巻き起こってきたが、同最高裁が2月に入って違憲判決の付帯意見を公表、同性愛結婚を男女間の結婚とまったく同様に「結婚」として認めているとしたからだ。このような“過激判決”は米国では初めてのことだ。
これまで全米37州で同性愛結婚を法律で禁じている。唯一、バーモンド州だけは2000年に同性愛結婚を男女間結婚と同じ権限を保障する「シビル・ユニオン(市民契約)」法を制定し容認した。同制度は99年にフランスが採用したもので、同性カップルに対し「正式な結婚」ではないが、税制や年金、遺産の相続などで男女間結婚と同じ措置をとるというもの。北欧諸国の一部も採用している。フランスで結婚していないカップルから生まれる子供が40%を超えているように、これらの国々では伝統的な家庭が崩壊状態にある。
今回のマサチューセッツ州の判決はこれよりもさらに過激だ。同性愛結婚を男女間結婚と全く同じ扱いにせよとしているからだ。同判決は180日以内に「適切な解決策」を取るように求めており、5月半ばまでに同性愛結婚が認められることになる。これには州議会が反発し、州憲法に「結婚は異性間に限る」と盛り込む改正案を成立しようと動いているが、州憲法改正は連邦議会選挙と同時に住民投票にかけなければならず、11月まで結論は出ない。だから5月以降、同性愛結婚は「正式な結婚」として認められることになる。
さらにカリフォルニア州のサンフランシスコ市が同性愛カップルに結婚証明書の発行を開始したため、2月末までに3千組以上が申請に詰めかけ、一大騒動を起こした。これに刺激を受けて3月3日にはニューヨーク州中部のニューパルツ村が同性愛結婚式を挙行、またニューメキシコ州でも同じような騒動が起こるなど、全米的な動きに発展してきた。ニューヨーク州のスピッツァー司法長官は州家庭関係法が定義する結婚は「男女間」としており同性間のものではないと声明を発表したものの、「(同性の)お互いの結び付きを尊重し、結婚したい願いを支持したい」と述べたため、論争に一層、火がついた。
裁判闘争で活動家判事と結託
こうした同性愛結婚を認めさせようという動きはウーマンリブ、ジェンダーフリーなどを仕掛けてきた米国の文化共産主義者らが10年以上にわたって裁判闘争を通じて全米で展開してきたもので、それだけに根が深い。
この動きに対してブッシュ大統領は1月の一般教書演説で「活動家判事らが、裁判所の命令によって結婚の再定義を始めた」と非難し、「強い米国は男女間の結婚という伝統的な価値を大切にすべきだ」と強調、司法の独断が進むならば「結婚の神聖性を守る」ために憲法修正によって同性愛者の結婚を禁じることも辞さない考えを表明した。
さらにサンフランシスコ騒動が起こると2月24日、同性愛結婚を憲法で禁止する憲法修正条項の制定を支持すると言明した。同大統領は、伝統的な結婚観を否定し「家族破壊」を企む動きを制するために、連邦憲法の改正を議会に促す意向だ。保守陣営も危機感を深めており、ウィスコンシン州下院はシビル・ユニオン制度を禁止する州憲法改正案を可決、これを上院に送付し、近く住民投票に掛けられる。カンザス州やジョージア州でも同じような憲法改正に動いている。
連邦議会では結婚を男女間に限るとする結婚保護法が96年に可決、クリントン大統領(当時)が署名し、すでに施行されている。同法は伝統的な男女間の結婚に対して連邦政府が与える権利を同性愛カップルには与えないように定め、さらにある州で合法的に同性愛結婚を認めても別の州で違法ならその別の州は同性愛結婚を認める義務はないとしている。今回、ブッシュ大統領が求める連邦憲法修正は結婚保護法だけでなく、連邦憲法で明確に同性愛結婚を禁止しようというものだ。
ケリー氏はゲイに英雄視された
家族・結婚観が大統領選の争点に浮上したもう一つの理由は、結婚保護法が上院で通過した際、共和党だけでなく多くの民主党議員も賛成に回った中でケリー上院議員が反対し、ゲイやレスビアン団体から英雄視された経緯があるからだ。しかも、問題のマサチューセッツ州はケリー氏の地盤なのだ。つまり、ケリー氏は安保・外交政策でリベラルでなくても、家族・結婚観では過激リベラル思想の持ち主と見られている。
同性愛結婚が大統領選がなくても全米で論争の的になっていただけに、ケリー氏の民主党候補決定は論争に油を注ぐ格好となった。とまれ、こうした論争は時間差で日本に持ち込まれるのは必至である。それだけに警戒を要する。
思想新聞2004年3月15日号【1面左】
エイズ禍の震源「同性愛」 80年代、サンフランシスコ拠点に日本も危険水域に入った
エイズ(後天性免疫不全症候群)は現在、世界で猛威を振るっている。昨年末、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者は最大で4600万人に達し、毎日14000人が新たに感染、8000人が死亡している。アフリカで爆発的増加が続き、サハラ以南のアフリカでは5人に1人が感染。ついで中国、インド、インドネシアなどでエイズ蔓延の波が押し寄せている。
なぜHIVが出現したのか今なお謎とされている。類人猿のもっている病原体がさまざまな種を経て人間の体に侵入したというのが有力な説だが、感染ルートは解明されていない。だが、はっきりしているのは、最初のエイズ感染者(ゼロ号患者)は81年、米国で確認された31歳の同性愛者の男性だったということだ。
彼はニューヨークやロサンゼルスなど8都市で40件以上のエイズを起こしたとされる。それは患者自身とのセックス、あるいは患者とセックスした男性とのセックスとして広がっていったと言われ、医療ジャーナリストのロビン・ヘニッグ女史は、次のように述べている。
「彼自身(ゼロ号患者)によると、彼には年間250人のセックス・パートナーがいて、それは病気が始まってからも続いていたという。無防備なセックスがパートナーにも危険を及ぼすことを1982年に知らされてからも、彼はエイズをうつす恐れのあることを言わなかった。むしろ逆に駆り立てられるように征服を続け、行為が終わってから『俺は死ぬことになっている。おまえもだ』と男たちに話していた」(『ウイルスの反乱』青土社)
また、米国スクリップ研究所のウイルス免疫生物研究部長のマイケル・オールドストーン博士は『ウイルスの脅威』(岩波書店)の中で、当時の米国について次のように語っている。
「1970年の終わりから80年代の初めは、同性愛が社会的に容認された劇的な時期であった。(とくに)サンフランシスコは性的自由の約束の地となり、74年から78年にかけて2万人近い同性愛の男が移住し、その後も毎年約5千人の流入が続いた。サンフランシスコで献血される血液の5ないし7%がゲイからの献血と推定されている。エイズを起こすHIVは血液の中にある。やがて輸血を受けた患者、外科治療を受けた患者、そして血液製剤を定期的に輸血しなければならない血友病の人々にエイズに似た症状が見られるようになった」
性別の嗜好にかかわらず、際限のない野放しの性的自由はエイズのほかに、B型肝炎、アメーバ感染症、ジアルジア症、淋病、梅毒、カリニ肺炎、カポジ肉腫などさまざまな病気をばらまいた、と同博士は指摘している。
HIVは体液(血液および精液など)から感染するのであり、同博士が言うように「野放しの性的自由」は爆発的感染の主要な原因なのだ。輸血や血液製剤による二次感染はその被害者であることは論を待たない。血液感染は厳重監視で防止しやすいが、性交渉による感染は防ぎにくい。だから70年代の米国のように倫理的退廃が進むとエイズ禍が爆発するが、日本もそうした危険水域に入っていることを忘れてはならない。
実際、日本でHIV感染者が増え続けている。国連の年次報告(03年版)は年間6百件以上に増えている日本の現状について「感染報告数は1990年代の2倍に達した。日本の若者たちの間で性行動が広がっている」と指摘している。国連エイズ計画のピオット事務局長は日本に対し、①性行動が変化し若者がHIV感染の危険にさらされている②少しずつだが感染が増えている③多くの人が事態の深刻さを理解していない――の三点を挙げ、「個々には目立たなくても三つが一緒になると危険なカクテルだ」と警鐘を鳴らしている(産経新聞03年11月27日)。
にもかかわらず、政府は性モラルの確立に真っ正面から取り組もうとはしない。それどころか「コンドーム教育」などの過激な性教育すら容認している有様だ。こういう最中に米国から同性愛結婚を許容しようとする運動が日本に持ち込まれてくれば、エイズ禍が爆発的に拡大しかねない。十分な警戒が必要だ。


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