国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

人命や国策を「消費」アイテムに貶める「劇場メディア」

【思想新聞2004年5月1日号】 マスコミ論壇ウオッチング

 犯人側の対応如何では、人質の生命の行方が危ぶまれた今回のイラクでの人質事件については、政府のイラク政策に反する主張を掲げる「非政府組織(NGO)」の一員やいわゆる「ボランティア」でありながら、政府の警告を無視した結果生じた危機に遭遇するや、政府に助けを求めるだけでなく、自分の息子や姉の救出のために声高に国策の変更を叫ぶ家族に多くの国民から反発を買うことになった。今回の事件は、「自己責任」が論議の中心になっているが、「自己責任論」に限らず、問題と思われる点について指摘したい。
 それはテレビに代表される、わが国のメディア状況や国民の精神状況を色濃く反映している事柄であるが、NHKを除くほぼ全ての民放の社会情報系のニュースショーやワイドショーでは、今回のような人質の人命や国の政策の行方、ひいては日米同盟の根幹まで左右しかねない深刻な問題が、それぞれの番組の「ニュースコーナー」の一つのアイテムとして「消費」されているに過ぎないということである。
 事件発生当初は当然のことながら緊急特番が組まれ、定時の番組の大半を使って事件が報道されたが、事態が解決するまで時間がかかり、これといった動きがみられないと、この事件はそれぞれの番組で扱う一つの話題でしかなく、多くの芸能ネタに挟まれて報じられることになった。
 このような傾向は、今回の事件にとどまらない。どのような深刻な事件や事故であっても、それらはほとんど例外なく、それぞれのニュースショーやワイドショーの中の一つの話題でしかなく、その事件の前では新たに公開される映画が紹介され、その事件の後には同じアナウンサーやキャスターが、ある芸能人の離婚話や密会といったスキャンダルを紹介するといったことが、ほとんど例外なくどの局の番組で毎日行われている。このような伝え方が改まらない限り、わが国が直面している様々な危機の打開策について成熟した論議の深まりは期待できない。

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