国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1898号 (令和8年5月1日)

政治決戦の最大課題 国家像・憲法観を国民に問え

思想新聞2003年9月1日号【主張】

 9月には自民党の総裁選、民主党と自由党の合併が予定されており、その後には解散総選挙が取りざたされている。現在の衆院議員の任期切れが来年夏、そしてほぼ同じ時期に参院選が行われるから、否が応でも政治決戦ムードが高まろうというものだ。

九条改憲問題を与党は明示せよ

 久々の政治決戦である。それだけに各党は小手先の選挙戦術におぼれることなく、国民に目指すべき国家像、政策ビジョンを明示すべきである。その目安になるのが憲法観である。国会では衆参両院に設置された憲法調査会が昨年秋に中間報告を発表している。これを踏まえて各党は憲法観をはっきりさせ、来るべき政治決戦を「憲法選挙」にする必要があるだろう。
 だが、政界では憲法論議があまりにも低調である。憲法だけでなく国家像も政策ビジョンもいずれもうやむやにして選挙戦術だけが論じられている。これでは日本の明日を切り開くことはできない。
 まず政権党である自民党である。9月20日に予定されている総裁選に向けて小泉純一郎総裁は自ら提示する総裁選公約を自民党の公約に据えて総選挙に臨むと言明している。これには反小泉勢力が反発しているが、総裁選に臨む候補者も政策も不透明なままである。小泉総裁も郵政民営化など「構造改革」には熱心であって、国家像とその政策ビジョンをトータルに提示しようとしていない。
 7月下旬に自民党憲法調査会の憲法改正プロジェクトチーム(谷川和穂座長)は安全保障分野に関する憲法改正要綱案を提示した。これは憲法に「国家の独立および安全を守るため、個別的自衛権および集団的自衛権を有する」と明記し、自衛権の行使する軍隊組織として「自衛軍」を保持することを規定、原則として国会事前承認を条件に多国籍軍への参加も可能としている。
 集団的自衛権問題は今日的課題であり、それを憲法に明記する改憲案は時宜にかなった提案といえる。イラク特措法が成立していながら自衛隊派遣をためらっているのも集団的自衛権行使問題が引っかかっているからであり、これをうやむやにしていては防衛も国際貢献も始まらないだろう。
 自民党はこれを単なる一プロジェクトチームの案にとどめず党の正式の改憲案として採用すべきである。総裁選では憲法問題を掲げ、それを来たる国政選挙で国民に問うという道筋を付けておくべきであろう。
 与党の保守新党は昨年暮れの結成大会において「日本の伝統と歴史を踏まえた憲法改正」を打ち出している。公明党は昨年11月の党大会で従来の「論憲」から一歩踏み出して「加憲」の運動方針を採択したが、九条については慎重姿勢を崩していない。もし、そうした方針を貫くなら憲法問題で公明党が自民党と保守新党と連立を組む整合性はなくなる。国政選挙ではこのことをはっきりさせねばなるまい。
 一方、野党第一党の民主党と自由党は9月中に合併する。新・民主党がどのような政策を掲げるのか、いまだ明らかでない。民主党の菅直人代表と自由党の小沢一郎党首が7月23日に合意した文書によれば「合併後の新政党の規約、政策、マニフェストは現在の民主党のものを継承する」としている。しかし、たとえ継承するとしても新・民主党の国家像、憲法観および政策を国民に提示するのが政党の責務である。
 自由党は平成12年に「新しい憲法を創る基本方針」を策定し、憲法改正を党の政策の柱に据えてきた。また総選挙に備えて「日本一新11基本法案」を発表し「自由で公正で開かれた社会」「自立した国民による自立国家・日本」の国家像を打ち出している。小沢党首は新・民主党ではこうした政策をどう反映させるのか明確にすべきだ。

民主党は改憲を曖昧にするな 

 民主党は昨年暮れに保守派の一部が離党して保守新党を結成したことで、憲法改正への意気込みが揺らいでいるように見受けられる。旧社会党グループが護憲を掲げており、党の統一を優先させて改憲問題を棚上げしている。自由党の合流によってこうした曖昧姿勢を一層強めていくとするなら、はたして「政権交代」可能政党と呼べるのか、国民の疑念が深まるだろう。少なくとも民主党は九条問題に決着を付けておかねばならない。これを曖昧にして政権を担うことはできない。
 国政選挙が迫っているのに各党ともに憲法問題を不透明にしておくことは許されない。社民党と共産党を除く各党はいずれも「護憲」から脱皮しようと模索しているはずである。憲法問題を掲げて国家像を有権者に問えるようにしてこそ、責任政党である。

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