思想新聞2003年5月15日【拉致問題国民大集会】
制裁措置含む政府対応求める

さる5月7日、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会、横田滋代表)と「北朝鮮に拉致された日本人を救うための全国協議会」(「救う会」、佐藤勝巳会長)、「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」(拉致議連、中川昭一会長)、「北朝鮮に拉致された日本人を救出する地方議員の会」(地方議連、土屋たかゆき会長)の拉致救出運動を続ける4団体の主催により、東京・千代田区有楽町の東京国際フォーラムにおいて「拉致はテロだ! 北朝鮮に拉致された日本人・家族を救出するぞ! 国民大集会 Ⅴ」が開催され、連休明けの都心に約1万人が結集、会場には約6千人が参加したほか、数千人が入場できずに帰るハプニングもあるほどの盛り上がりを見せた。
ジャーナリストの櫻井よしこ氏が司会を務めた同集会には、昨年10月に帰国した拉致被害者5人と来日中の韓国人拉致被害者の家族7人も参加し、石原慎太郎東京都知事、安倍晋三官房副長官、拉致議連の中川昭一会長、元北朝鮮工作員の安明進氏、医療活動を通じ北朝鮮の社会事情に詳しいドイツ人医師N・フォラツェン氏らが出席し、日本政府に毅然たる積極的な取り組みを求めた。

開会にあたり、家族会代表で横田めぐみさんの父・滋さんが「金正日にこの会場の様子を見せてやりたい。同政権は拉致問題を解決済みとしているが、この主張を打ち破りたい」と挨拶。
続いて帰国した5人の拉致被害者、地村保志・富貴恵夫妻、蓮池薫・祐木子夫妻、曽我ひとみさんがそろって登壇し、それぞれの胸中を語った。
地村保志さんは「北朝鮮に残してきた家族との再会を果たせぬまま今日に至っている。皆さんのご協力をお願いします」と心情を吐露し、蓮池薫さんは「私の最大の願いは、家族と一緒に暮らし、子供たちが自分の意志で将来を決められること、平凡だが切実な願い。われわれは自分の意思に反し拉致された以上、日本で子供を待つと決めるのは当然。誰にとやかく言われることではありません」と強い口調で語った。
曽我ひとみさんは一緒に拉致され、いまだ消息不明の母ミヨシさんについて一週間前に見た夢に触れ「母の死をテレビで放映していた。朝起きてこれは夢で、現実ではないと思いました。もし母と会えるなら『生きていてありがとう』と涙が枯れるまで泣きたい。生死がわからない家族のことを考えるのはとてもつらい。被害者の家族の方々はその気持ちが強いでしょう。私も母の消息を待つ一人として、お手伝いできたらと集会に参加した。国民の皆様に、家族の絆の深さ、大切さを少しでも理解してもらえたらありがたいです」と率直な思いを語った。
櫻井よしこ氏は「帰国した5人の方々をここに迎えることのできた喜びと共に、ここにいない多くの人々の悲しみを知っているはず。壇上の拉致被害者の家族の方々の悲しみを思うと、すべての人たちが救われるまで、みんなで力を合わせ決して諦めないことを示そうではありませんか」と促し、会場では割れんばかりの拍手が応えた。
拉致議連関係者ら多くの政治家が出席した中で、はじめに入閣前まで拉致議連会長だった石破茂防衛庁長官が挨拶、「拉致問題を解説した英文のパンフレットを自前でつくり国連人権委員会などをまわり1年。われわれが活動してきた中、誠意は報われるとの思いを強くした。9・17の日、外務省公館で受けた知らせは、言葉にならなかった。だが横田めぐみさんの母の早紀江さんの『私は絶対に信じない』という言葉をお聞きし、あれほど感動を覚えたことはない。拉致問題解決にあたり、大事なことは、政府と国民と家族とを一つにすること。主権国家とは何かが問われる問題で、テロや脅しには決して屈しない国の態勢づくりに努めたい」と語った。
この後、石原都知事が挨拶に立ち、「北朝鮮は欧米の論調を気にせざるを得ない。具体的行動を積み重ねていくべきだ」と訴え「なぜ北朝鮮に対し経済制裁をしないのか」と政府の対応を批判した。
安倍晋三官房副長官は、「5人の方々の帰国は、それまで仕事や社会生活を犠牲にして探し続けてこられた家族の絆の賜物。拉致問題に落としどころはあり得ない。安全保障上の問題だ。日本政府は一人の日本人も見捨てない、と皆さんに約束したい」と強調した。
中山恭子内閣官房参与も駆けつけ「拉致被害者の皆さん全員が帰国するまでサポートを続けたい」と語った。
この後、判明しているだけで486人、朝鮮戦争では8万3千人が北に連行されたとの韓国での拉致被害の状況を司会が説明。これを承け、韓国から駆けつけた、拉致被害者家族協議会会長の崔祐英さん、朝鮮戦争拉致被害者家族協議会理事長の金聖浩さんがそれぞれ挨拶に立ち、日韓の家族会が一致して対応していくことを確認、日本の人々の協力を訴えた。
元北朝鮮工作員の安明進氏は、これまで一度も謝ったことがなかった金正日総書記が日朝首脳会談で小泉首相に謝罪したことについて触れ「過ちは正され、分からないことは明らかになる、との確信をその時に持った」と語り「金総書記こそまさにテロ犯だ」と断言。
米国のブラウンバック上院議員や韓国に亡命した黄長樺元書記のメッセージも披露。
特定失踪者問題調査会の荒木和博代表は「今までの調べから300人が拉致された疑いがある」と述べ、北朝鮮側の情報提供を訴えた。
この後、よど号グループによって拉致された有本恵子さんの父・明弘さんをはじめ、全国各地から出席した拉致被害者の家族が「20数年もかかった責任を政府や政治家、マスコミはどう受け止めるのか」など、それぞれ所感を吐露した。
続いて、拉致議連の中川昭一会長が「もはや拉致被害者家族だけで対応する状況ではない。日本全体が、人の生命と核を弄ぶ北朝鮮と闘わなければならない」と、共闘を呼び掛け、拉致議連の平沢勝栄・事務局長は「最近、北朝鮮は議連への分断工作に躍起だが、われわれは絶対に屈せず、家族会、救う会、政府と一体となり闘い抜く」と決意を語った。
集会は閉幕にあたり、地方議連の土屋都議が読み上げた「拉致は人類共通の敵であるテロであり、許し難い人権侵害である。北朝鮮は被害者とその家族を今すぐ帰国させよ」とする声明文が満場の拍手で採択され、拉致被害者全員の帰国を願い「ふるさと」を唱和して大集会の幕を閉じた。
「話題の拉致問題とはいえ、これだけ来てくれるとは」と大会終了後の会見で横田滋代表は驚いた。会場の6千人すべての席が埋まり、なお数千人以上の人々が入りきれず会場周辺に集まり、横田夫妻や蓮池透・家族会事務局長が頭を下げたり、石原知事の音頭で拉致被害者救出を求めて気勢を上げる場面もあった。なお、救う会の佐藤会長は「今度は被害者を奪還し武道館で大会を行おう」と約束した。
石原慎太郎都知事 具体的な報復策を

W杯で我知らず応援したように、日本の中で他人事としない共感する世界がとても大切だ。拉致被害の家族の方々の苦しみを思うととても他人事とは思えない。
かつて私は外務予算委員会等で拉致の問題を採りあげようとしたが取り合ってもらえず、その後「日本は去勢された宦官(かんがん)のような国に成り下がった」という言葉を残して国政を去った経緯がある。昔、「風とライオン」という映画があった。T・ローズベルト大統領が誘拐された米国女性を、即座に軍艦を率いて救出するという物語だが、これこそ、国民の生命を守る国家の真の姿だと思う。
そう考えると、今なぜ日本政府が積極的に北朝鮮に対し報復策を講じないのかわからない。最近、ワシントン・ポストのインタビューに応じ、日頃言っている内容がそのまま紙面に出ると、北朝鮮が「石原のような戦争愛好者を政治家に頂いているのは日本の恥だ」などとヒステリックに反応する。具体的には方策がいろいろある。東京に北朝鮮系と言われる大学のビルがある。誰も入ってないようだが、教育機関だと無税。だからこれを東京都で課税できる措置をとる。このような具体的現実的な政策を積極的に講じなければ、失われたわれわれの同胞は決して帰ってこない。


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