国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

「万景峰号」運航厳しい監視へ法整備を進めよ

思想新聞2003年6月15日号【主張】

 北朝鮮の不定期貨客船「万景峰号」が運航を再開し6月9日に新潟港に入港する予定だったが、日本側の徹底監視に反発して運航を中止した。これが一時的な措置なのか、それとも今後も継続させる措置なのか、今のところ不明だが、北朝鮮船舶の日本寄港は「万景峰号」に限らず全国24港、年間1400隻以上にのぼっており、入港の行方を注視する必要がある。
 在日朝鮮総連が新潟県に伝えている「万景峰号」の運航計画によると入港は今年9月末までに計10回で、次回は6月23日になっている。これも中止するのか不明だが、「万景峰号」の入港が注目されていることから、北朝鮮が他船、他港への入港に振り分ける可能性が指摘されている。いずれにしても政府は当面は法律にしたがって税関審査など監視体制を徹底強化して臨まねばならないだろう。
 我々は以前から「万景峰号」がスパイ工作船になっており、その入港に厳しく臨むことを主張してきた。昨年十月に拉致被害者が帰国するまでは「万景峰号」に対する検査・取り締まりが甘く、そのため同船は工作員の交代や連絡、不正輸出などの絶好の隠れ蓑とされていた。
「万景峰号」に対する疑惑を決定付けたのは、脱北者の証言である。5月20日に米上院の小委員会で開かれた公聴会で北朝鮮から亡命した元技師が「北朝鮮で製造するミサイル部品の90%が日本から輸入されていた」と述べ、その輸入には定期的に「万景峰号」が使われていたと証言した。こうした指摘は以前からなされていたが、米上院での証言によって日本政府は聞き捨てにできなくなった。
「万景峰号」が工作船と判明した最近の例としては今年1月、警視庁に摘発された北朝鮮工作員のものがある。同工作員は昭和24年に日本に密入国して以降、別の在日朝鮮人になりすまして不法滞在し対韓工作を行っていたが、工作指令は「万景峰号」が新潟港に入港した際、船内で受けていた。
 これらは氷山の一角といってよいだろう。さきに核開発に転用可能な電気部品を北朝鮮に不正輸出しようとした東京大田区の在日朝鮮人系企業が摘発されている。同社はコンピュータなど電子機器の心臓部とされる「直流安定化電源装置」三台を北朝鮮に輸出しようと企て、今年四月にタイに向け不正輸出、これを経済産業省が中継地の香港で差し押さえた。不正輸出は「万景峰号」への監視が強まったため、第三国を経由して行おうとしていたと見られる。
 こうした疑惑をいつまでも放置するわけにはいかない。そこで政府は現行法で対処できることを徹底して行うとしている。昨年四月から導入した全ての貨物・技術の輸出管理を行う「キャッチオール規制」などをフルに使って、検査・監視体制を強化。また外国船舶に対して寄港国が監督を行う「ポートステートコントロール」によって、北朝鮮船舶の構造や設備が安全基準を満たしているかどうかの立入検査を徹底している。
 国土交通省によると、同制度による北朝鮮船舶の出港停止措置が急増、今年1月から4月までの間に40隻に上っている(昨年は40隻を検査、うち23隻が重大欠陥)。6月10日には京都府の舞鶴港で北朝鮮船舶に是正勧告を行っている。
 しかし、これらも手ぬるい措置だ。茨城県では座礁した北朝鮮船舶が放置されたままで被害が広がっており、同県が処理に困り果てている。そこで県独自に「不良船舶の入港を規制のための条例」を今年3月に制定、船舶設備が国際基準を満たしていないと改善命令を受けたのに改善しなかったり、保険に未加入の場合、入港を拒否できるようにした。国に法律がないから条例で対応しようとしているのだが、条例では限界がある。
 だから全国的な法整備の必要性が指摘されている。拉致やスパイ工作などに関与した疑いのある外国船舶に対して入港を禁止することができる「特定船舶入港禁止法案」が国会議員の間で検討されている。だが、船舶対策だけでなく、本質的に見ればスパイ防止法こそが必要であるとの指摘が少なくない。
 なぜなら不正輸出や不正入国などは、北朝鮮の労働党対外スパイ部門がスパイ活動として行っているからだ。一連の黒幕が彼らであり、そうした人物を現行法ではいっさい摘発できないのが最大の問題であるからだ。現行法では不法入国には「出入国管理法」、不正輸出には「外為法」、そして別人になりすました工作員には「公正証書原本不実記載」が適用されているが、いずれも初犯なら執行猶予が付く軽い刑にすぎない。これでは摘発してもトカゲの尻尾切りに終わってしまう。そこで不正を根から断とうとするのがスパイ防止法制定である。
 いずれにしても「万景峰号」の運航再開や他の船舶による各港への入港に対して現行法の厳しい適用のみならず、新たな法整備を考慮しなければならないことは間違いない。その大本としてスパイ防止法制定を図るべきなのである。

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