国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

イラク自衛隊派遣を支持する復興支援に大義、国際社会の要請

思想新聞2003年12月15日号【1面TOP】

「テロに屈するな」
犠牲外交官の志 継承を

 政府は9日、臨時閣議を開き、自衛隊のイラク派遣の基本計画を正式決定した。イラク復興支援は国連決議に基づくもので、国際社会の平和と安全のために切に求められており、日本が自衛隊を派遣する大義は十分に整っている。陸上自衛隊はテロへの安全確保、抑止として初めて対戦車火器や装輸送甲車などを携行するが、これは任務の性格上、当然のことだ。イラクで殺害された奥克彦参事官と井ノ上正盛三等書記官の尊い犠牲を無に帰さないためにも、日本はテロに屈することなく、毅然としてイラク復興支援に当たらねばならない。政府のみならず国民も一国平和主義や安易な人道主義から脱皮し、世界と日本の平和と安全のために決意と覚悟を固めねばならないと言えよう。

 イラク北部で11月29日、復興支援に携わっていた奥克彦参事官と井ノ上正盛三等書記官、イラク人運転手が襲撃・殺害される事件が起こり、同国で初めて日本人外交官が犠牲となった。
 これをもって「『たじろぐな』では済まぬ」(朝日・社説12月1日)とか「『立ちすくむ』勇気を」(毎日・中井外信部長12月2日)など、イラクへの自衛隊派遣反対論が頭をもたげているが、こうした時にたじろぎ、立ちすくめば、それこそテロリストの思うツボであることを忘れてはならない。奥参事官もきっぱりとその旨を述べてきた。
 同参事官は外務省のホームページに「イラク便り」を書き続け、イタリア警察軍が自爆テロに遭った際、現地まで調査に出かけ「犠牲になった尊い命から私たちが汲み取るべきは、テロとの闘いに屈しないと言う強い決意ではないか。テロは世界のどこでも起こりうる。テロリストの放逐は我々全員の課題である」(11月13日)と明言している。イラクへの自衛隊派遣を躊躇するのは、この尊い遺志を踏みにじる卑劣な敗北主義と断じざるを得ないだろう。
 イラク特措法制定から4カ月余、漸く政府が自衛隊のイラク派遣基本計画を閣議決定したのは遅きに失したとは言え、歓迎されてしかるべきだ。
 政府が閣議決定した自衛隊のイラク派遣の基本計画によると、陸上自衛隊をイラク南東部に600人規模で派遣し、医療や吸水、学校の復旧などの人道復興支援活動と米軍などの安全確保支援活動に当たるほか、航空自衛隊はクウェートを拠点にイラク国内に人道物資を輸送、さらに海上自衛隊は陸自部隊の輸送などに従事。派遣期間は半年から1年を想定している。
 これに対し左翼マスコミは「自衛隊にとって大義は」(朝日・社説12月9日)など、あたかも大義が存在しないかのような詭弁を弄するが、大義は十分すぎるほどある。
 そもそもイラクの復興支援は国際社会の要請である。国連安保理は10月16日、決議1551を全会一致で採択し、「加盟国に対し、多国籍軍への部隊派遣を含め、国連の任務に基づく支援の貢献を促す」「加盟国と国際金融機関に対し、復興と経済再建における支援努力を強化するよう訴える」など、イラクの治安回復への多国籍軍派遣と復興支援を加盟国に求めているのだ。こうした国連決議に基づき、すでに38カ国がイラク国内で復興支援を行っている。これが大義でなくて何であろうか。
 このような国際社会のイラク復興支援を阻止しようとしているのは、テロリストにほかならない。国連安保理は12月1日、国際テロ組織アルカイダの最新報告書を発表したが、その中でイラクでのテロや襲撃事件にアルカイダが関わっていると明言している。したがってイラクでの襲撃事件は「戦闘行為」ではなく「テロ行為」なのである。だからこそ、故・奥参事官は「テロに屈するな」と叫んだのだ。
 また自衛隊派遣に反対する左翼マスコミはイラク全土は今なお「戦闘中」であり、どこが「戦闘地域」か「非戦闘地域」が判別できず、そうした地域に自衛隊を派遣するのはイラク特措法に違反するばかりか憲法違反だ、と主張している。
 はたしてそうだろうか。たしかにイラク特措法は自衛隊の派遣地を「非戦闘地域」に限定している(第2条)。それで、あたかも危険のない場所に派遣するかのような錯覚を与えているが、こうした認識も間違いである。国連をはじめ国際社会が多国籍軍派遣やイラク復興支援を求めているのは、イラクが危険な地域であるからにほかならない。国際貢献に危険がともなうことは常識であり、だからこそ各国は軍隊を中心に復興支援を行っているのだ。わが国だけが「安全地帯」を望むのは、国際貢献とはかけ離れた空想的平和主義と言わざるを得ない。
 むろん、イラクではフセイン政権が打倒され、もはや国家間の戦闘はなく、その意味で「戦闘地域」は存在せず、イラクが「非戦闘地域」と判断されて当然である。自爆テロなど襲撃事件が多発しても、それは「戦闘地域」とはならず、文字通りテロ行為にすぎない。したがって自衛隊派遣はイラク特措法でも憲法でも認められることだ。「非戦闘地域」といっても危険があることは当たり前のことであり、だからこそ、日本は自衛隊を派遣するのだと心得なくてはならない。
 そこで自衛隊が携行する武器が問題になる。今回、海外派遣では初めて「84ミリ無反動砲」「110ミリ個人携帯対戦車弾」「96式武装輸送装甲車」「軽装甲機動車」などを携行するが、これも当然の武器である。これらは自動車を使用した自爆テロを阻止したり、吸水活動などで移動中に襲撃された場合に不可欠な武器であり、抑止力として有効であるからだ。左翼マスコミは「陸自最重装備」(毎日12月9日)などと言っているが、安全のため必要と指摘された戦車などを含んでいないにも拘らず、「最重装備」とはこじつけも甚だしい。
 もちろん、イラク特措法では自衛官の安全確保に不安を残しているのは事実だ。それは武器使用基準が国際社会の常識つまり国連の基準と合致していない点だ(第17条)。すなわち国連の武器使用基準には「民間人の保護」と「任務遂行に対する妨害を阻止する」があるが、同法にはこれがなく個人の正当防衛と緊急避難に限っている。これではイラク国民もターゲットにする無差別テロには対処しにくい。国連基準の二点が行えるように武器使用基準の緩和を考慮すべきだ。最低限として、武器使用は状況を最も把握している現場の指揮官に可能な限り裁量権を与えるべきだろう。
 政府は基本計画を閣議決定した以上、早期派遣を目指すべきである。

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