マッチポンプ式教科書報道で日韓外交問題煽った朝日の咎
これまで「教科書問題」といえば、今から20年ほど前の「『侵略→進出』書き換え誤報問題」を指していた。これは、1982年6月にわが国の新聞各紙が「文部省(当時)の検定によって高校の歴史教科書の多くが『日本軍が中国侵略』という表現を『進出』へと書き換えさせられた」と報じたことに端を発した問題で、中国や韓国との間で外交問題に発展した事件である。 しかし1981年に昭和56年度の検定を合格し、昭和58年度から使用される予定の高校の日本史や世界史の教科書には、「『侵略』から『進出』への書き換えの事実はなく、当時の日本テレビの記者の誤報が原因だったのである。 20年前の事件と異なり、今回「新しい歴史教科書をつくる会」が編集し、扶桑社が発行する教科書に関する問題は、教科書編集の思想的立場そのものが韓国や中国から批判されているため、問題を複雑にしている。 また今回は、扶桑社の属する「産経グループ」と思想的に対極の立場の「朝日新聞」・「テレビ朝日」など「朝日グループ」の代理戦争の様相を呈している。 韓国政府の再修正の要求に対して、日本政府は今のところ応じていないが、韓国国内での日本文化の一層の開放がストップし、さらに民間レベルでの交流が軒並み中止されるなど、今回の教科書問題によって、ワールドカップ共同開催など、かつてないほど良好といわれた日韓関係を急速に悪化させている。 ところで、今回の問題の陰の張本人ともいうべき「朝日新聞」は、扶桑社教科書採択反対のキャンペーンをはる一方で、「きしむ日韓」(7月14日朝刊)、「子供の日韓交流ピンチ」(7月21日朝刊)と、扶桑社の新しい歴史教科書問題が日韓友好を破壊しているといわんばかりの報道を行っている。 しかし、新しい歴史教科書の検定合格の可能性が高いとみた「朝日」が韓国・中国などの外圧に頼って事態の打開をはかろうとした結果、外交問題に発展してしまったということを考えれば、いつもながら「朝日」の「マッチ・ポンプ」報道の定石どおりとはいえ、その責任はあまりに重いと言わざるを得ない。
2025.02.11
マスコミ論壇ウォッチング教科書問題朝日新聞