思想新聞2001年8月15日号 1面
共産惨敗、勝共運動の成果

21世紀最初で小泉内閣初の国政選挙となった第19回参議院選挙(7月29日投票)で自民党は圧勝、これに対して小泉改革に真っ向から反対した共産党は惨敗した。この選挙結果は小泉首相の掲げる「聖域なき構造改革」を国民が支持したことを意味している。今後、小泉首相は果断に改革の実行に取り組んでいかねばならない。
選挙の結果、自民党は改選議席の単独過半数を上回る64議席を獲得して「歴史的勝利」を果たした。自民党は比例代表で約2100万票を獲得した。同党が80年以降の8回の参院選比例区(全国区)で2000万票台を獲得したのは、大平首相が選挙戦の最中に心臓病で急死、弔い合戦となった80年の参院選で2400万票、そして中曽根首相による「寝たふり選挙」と呼ばれた86年の参院選で2600万票の2回(いずれも衆参ダブル選挙)しかない。
この2回以外は1000万票台に低迷、95年参院選では1050万票しか獲得できず、今回の半分にしかすぎなかった。しかし、今回は2100万票を獲得した。しかも80、86年はともに高投票率(70%台)だったが、今回は56%という低投票率。ダブル選挙でもないのに、この得票数だ。いかに小泉首相率いる「新しい自民党」への期待が高いかがうかがえる。あきらかに90年代から続いてきた自民党不信、政治不信が払拭されたといえるだろう。
一方、共産党は惨敗した。前回の98年参院選では共産党躍進ブームが起き、15議席、得票数819万、得票率14.6%という「歴史的勝利」を果たしたが、今回は5議席、430万、8%と惨敗した。議席は前回の3分の1、得票数・率ともほぼ半減した。比例代表での獲得票は430万。史上最高だった前回は819万票だったから、これも半減した。新世紀最初の国政選挙で共産党が敗北した意味はきわめて大きい。
わが国の政治は80年代に中曽根康弘氏の「戦後政治の総決算路線」を推進したものの、それ以降、同路線は挫折。89年の参院選で自民党が大敗した後、「失われた12年」と呼ばれる政治低迷状況が続いてきた。この間の日本の政治風景は▽マドンナ旋風(女性への期待)→▽新党ブーム(女性議員への失望から新党に期待=93年・細川内閣成立)→▽無党派旋風(政党そのものへの不信=95年)→▽棄権プラス共産躍進(97年都議選・98年参院選)へと流れてきた。
つまり、89年を起点に政治不信は高まり続け、消極的な政治不信が「誰がやっても同じ」というので大量の棄権を招き、積極的ラジカルな政治不信が「自民党にお灸を据える」というので「共産党躍進」現象となって現れ、共産党が各地で跋扈することになり唯物論的風潮が一層、日本に広がる結果を招いた。
そこで本連合は共産党の思想や革命戦略の本質を本紙号外などを通じて国民に徹底啓蒙。勝共運動を通じて多くの国民が共産党の本質を改めて認識し、さらに国民が自民党に回帰することによって共産党への上げ潮は一気に引いていった。その結果が共産党惨敗である。
参院選で有権者が日本の未来を自民党に託した意味は大きい。今回の参院選の焦点は、小泉首相の「聖域なき構造改革」の賛否だった。小泉首相は選挙戦で「痛みの伴う改革を」「痛みに耐えてこそ将来がある」とあえて「痛み」を訴え、耳障りのよい甘い公約を一切掲げなかった。にもかかわらず国民は「痛みをともにする」ことを選んだ。かつての売上税や消費税騒動で象徴されるように、これまで国民は痛みを伴う改革にことごとくノーを突き付けてきたが、今回は逆に「痛み」を支持したのだ。これは戦後政治史上の画期的な出来事といえるだろう。
小泉首相が推進する「聖域なき構造改革」は「失われた12年」をリベンジ(雪辱)することを意味している。それは中曽根政権以降、棚上げされてきた「戦後政治の総決算路線」を成就することだ。中曽根政権は臨調路線を敷き「小さな政府」を作る行革を進め、国鉄、電電公社などの民営化を実現したが、特殊法人など他部門の改革は先送りされてきた。その最大の壁が郵政三事業や特殊法人の民営化だ。つまり小泉首相の「聖域なき構造改革」とは臨調路線の貫徹にほかならない。 だが、「総決算」はそれだけではない。 安全保障体制の確立である。中曽根首相は83年、レーガン大統領との初の日米首脳会談で「日本列島浮沈空母論」を語ったように、スパイ防止法、有事立法などを制定し日米同盟の再構築を目指した。現在、アーミテージ報告(昨年秋)が同じ主張を行っており、小泉首相も首相就任記者会見で憲法改正に意欲的発言を行い日米同盟の強化に向かおうとしている。これを強力に推進しなければならない。
そして「総決算」で忘れられているのが、
臨教審によって路線を引かれようとした教育改革の実現である。臨教審答申は中途半端で内容も物足りなかったが、教育基本法改正を視野にいれていたことは評価できよう。この実現を森前首相が目指そうとしたが挫折。教育改革、青少年健全育成基盤の構築が残されたままだ。小泉首相はこれも「聖域なき構造改革」に加えて、断固として実現を図るべきだ。


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